神の留守(かみのるす)初冬
【解説】
陰暦十月は神無月と呼ばれ、全国の八百万の神様がこぞって出雲大社に集まる。神が留守となった神社の氏子たちは不安を覚え、恵比寿様などを留守神として祀る。信心の厚さゆえか、「神の旅」「神送」「神迎」、神が集まる出雲は逆に「神在祭」など類似の季語も多い。
【例句】
留主のまに荒れたる神の落葉かな
芭蕉「小文庫」
何人のいひひろげてや神の留主
北枝「柞原」
開山忌となりは留主のいなり山
浪化「有磯海」
なら山の神の御留主に鹿の恋
一茶「八番日記」
うつせみの羽衣の宮や神の留守
正岡子規「子規句集」
神の留守立山雪をつけにけり
前田普羅「新訂普羅句集」
通ひ路の一礼し行く神も留守
松本たかし「たかし句集」