鳴子(なるこ)三秋
【子季語】
鳴竿、鳴子縄、鳴子綱、鳴子守、鳴子引、鳴子番、引板、鳴子田
【解説】
実った穀物などを守るためのしかけ。鳥威しのひとつ。さほど大きくない板に細い竹管を幾つか糸で懸けたもの。縄を引いて音を立て、鳥や猪などを追い払う。
【例句】
谷越に鳴子の縄や窓のうち
丈草「丈草発句集」
家ありや烟のつとふ鳴子縄
蕪村「落日庵」
ちかづきの鳴子鳴らして通りけり
蕪村「落日庵句集」
野ねずみの逃ぐるも見ゆる鳴子かな
召波「春泥発句集」
揉みに揉んで夜嵐わたる鳴子かな
太祇「俳諧新選」
ひとしきり鳴子音して日は入りぬ
大江丸「俳懺悔」
きらきらと音に日のさす鳴子かな
田川鳳朗「鳳朗発句集」
引かで鳴る夜の鳴子の淋しさよ
夏目漱石「漱石全集」
余り淋し鳥など飛ばせ鳴子引き
正岡子規「子規句集」
鳴子縄引きたしかめて出来にけり
松本たかし「たかし句集」
稲穂波鳴子進むが如くなり
島村元「島村元句集」