蜥蜴(とかげ)三夏
【子季語】
青蜥蜴、瑠璃蜥蜴、縞蜥蜴
【解説】
トカゲ亜目に属する爬虫類の総称。体長は大きなもので三十センチにもなるが、よく見かけるのは十センチ前後。肌はぬれて光沢があり、青や緑の縞模様がある。尾は切れやすく、切れても再生する。夏になると活発に動き回り、虫や蜘蛛などを捕食する。
【科学的見解】
蜥蜴は、トカゲ科に属する爬虫類で、体が鱗で覆われ、長い尾と爪のある四肢を持つところが特徴である。日本には、全国的に広く分布するニホントカゲが生息しているが、近年分類学的研究が進み、近畿以西の地域に生息する種がニホントカゲとなり、近畿以東から北海道までの主に東日本の地域に生息している種はヒガシニホントカゲとして種が分かれることになった。それらは、山地から低地の民家・田畑・河川周辺の草むらや岩場に生息し、よく日光浴をしている姿を目撃する。産卵期は五月から七月であり、十個程度の卵を産卵する。生まれた幼体は、青紫色の金属光沢をもつ美しい尾を有するが、基本的に成体になるとその美しさは失われていき、黒筋の入った褐色の体色となる。肉食性であり、昆虫類やクモ類を主食としている。天敵に襲われると尻尾を自切して天敵の注意をそらし、そのすきに逃げる習性がある。自切後、尻尾は二ヶ月程度で再生する。それら二種の他に、伊豆諸島周辺にオカダトカゲ、南西諸島にバーバートカゲ、オキナワトカゲ、オオシマトカゲ、イシガキトカゲ、クチノシマトカゲ、アオスジトカゲ、キシノウエトカゲ等が存在する。日本最大のトカゲ類は、八重山諸島や宮古諸島に分布するキシノウエトカゲであり、最大全長は四十センチメートルにもなる。また、トカゲ類に似た種としては、北海道から九州屋久島までの広範囲に分布しているニホンカナヘビが知られており、トカゲ類の皮膚表面には光沢があるのに対して、ニホンカナヘビの表面には光沢がなく、カサカサした鱗を持つところが特徴である。本種は、ニホントカゲやヒガシニホントカゲと同じような環境に生息しているため混同されることがあるが、皮膚表面の光沢が見分けるポイントである。(藤吉正明記)
【例句】
我を見て舌を出したる大蜥蜴
高浜虚子「七百五十句」
蜥蜴交るくるりくるりと音もなく
加藤楸邨「起伏」蜥蜴
やはらかく蜥蜴くはへて猫歩む
長谷川櫂「天球」
