蛇衣を脱ぐ(へびきぬをぬぐ)仲夏
【子季語】
蛇の衣、蛇の殻、蛇の蛻、蛇皮を脱ぐ、蛇の脱け殻
【解説】
蛇が脱皮すること。最も活動的な初夏に脱け殻を見ることが多い。脱け殻は白っぽく光沢があり、すぐに乾燥してからからになる。
【科学的見解】
ヘビ類は、皮膚の構成として外側の表皮と内側の真皮が存在する。外側の表皮は、擦り傷や?み傷等の外傷を受けるために、ヘビ類は定期的に表皮を取り換えており、その取り換えが脱皮である。脱皮はヘビ類が活動しているどの季節にも行われるが、温帯地域の場合冬の寒さや逆に夏の暑い時期には活動が低下するため、あまり脱皮は行われない。また、脱皮の間隔は一定ではなく、皮膚に傷を負った時等は脱皮周期が短くなり、回数も増える。成体(成蛇)よりも幼体(幼蛇)の時期の方が成長が活発であるため、脱皮回数は多くなる傾向である。。ヘビ類の脱皮は抜け殻が残されるために、人目に付きやすいが、同じ爬虫類のトカゲ類やカエル等の両生類も脱皮を行うことが知られている。しかし、それらの多くは自身で脱皮殻や膜を食べてしまうために抜け殻は残されず、あまり気付かれることはない。(藤吉正明記)
【例句】
蛇の皮ぬぎてかけたる桜かな
許六「正風彦根躰」
蛇の衣滝を見ずして返しけり
正岡子規「子規句集」
露に脱ぎて全き蛇の衣かな
島田五空「裘」
