防風(ぼうふう/ばうふう) 三春
【子季語】
浜防風/はまにがな/防風の花/防風摘/防風掘る/防風採る
【解説】
セリ科の多年草。各地の海浜の砂地に自生する。根には発汗、去痰などの薬効がある。根が深くひこばえが長くのびて風による砂の飛散を防ぐといわれている。葉は丸みをおびて深い切れ込みがあり、茎は短く根元は淡い紅紫色をしている。色も美しく香気があるため、刺身のツマや汁物の吸い口など、古くから利用されてきた。
【科学的見解】
防風の名がつく植物は、砂浜に生育するハマボウフウと、岩礁などの岩場付近に生育するボタンボウフウが知られている。ハマボウフウは、北海道から沖縄まで幅広く分布し、コウボウムギやハマヒルガオなどの砂浜植物群落中に点在して生育している。一方、ボタンボウフウは、本州中部から沖縄にかけて分布し、岩場や一部砂地などにも生育している。沖縄では、特にこの種が好まれ、長命草と呼ばれて食用として利用されている。生薬としての防風は、中国に自生するセリ科の種の根茎部分を乾燥させたものであり、解熱や鎮痛作用があるとされる。(藤吉正明記)