歯固(はがため) 新年
【子季語】
歯固の餅/火鑚餅
【解説】
正月行事の一つで延命長寿を願い固いものを食べる風習。すでに「土佐日記」に歯固めの記載がある。歯固めの対象となる食材は餅であったが、副材料として、押アユ、シシ、シカなどの塩蔵品や大根また、かち栗、串柿などの縁起物を用いる。一条関白兼良の『世諺問答』にも「人は歯をもって命とするゆゑ、歯の字をよはいともよむなり」の記述があり古くから歯についての関心が高かったことが伺える。
【例句】
歯がために二人の翁喰ひにけり
鬼貫「辰歳旦惣寄」
歯固やとは伝ひさして水の恩
言水「初心もと帖」
歯がために杖のへるこそめでたけれ
北枝「北枝発句集」
涎して歯がためなせる童かな
如泉「新類題発句長」
歯固の歯一枚もなかりけり
一茶「八番日記」