一人静(ひとりしずか/ひとりしづか) 仲春
【子季語】
吉野静/眉掃草
【解説】
センリョウ科。山野に自生するが、原産は中国。江戸時代、観賞用に栽培された。二十~三十センチの茎の先端に対生の葉を四枚つけ、その中心からさらに茎を伸ばしブラシ状の白い小花をつけ る。一人舞う静御前になぞらえた命名。
【科学的見解】
一人静(ヒトリシズカ)は、チャラン属の多年草であり、北海道から九州にかけて広く分布する。似た種としては、岡山から九州北部に生育するキビヒトリシズカや花序が枝分かれするフタリシズカが知られている。これら三種は、林内に自生するや在来の植物であるが、江戸時代に中国から渡来したチャランという似た種は、稀に観賞用として庭先などで栽培されている。(藤吉正明記)