海棠(かいどう/かいだう) 晩春
【子季語】
眠れる花/睡花/垂糸海棠/海紅/花海棠
【解説】
バラ科。中国原産。観賞用に栽培されてきた。八重の花海棠と、一重の実海棠がありその実は食べられる。玄宗皇帝が「海棠の睡り未だ足らざるのみ」と、ほろ酔いの楊貴妃を海棠にたとえた、という故事から「眠れる花」ともいわれる。
【例句】
人の目はさむる海棠のねぶりかな
貞徳「犬子集」
海棠のうつぶくや歯の痛む時
越人「鵲尾冠」
海棠や紅粉少しある指のはら
太祗「石の月」
海棠や白粉に紅をあやまてる
蕪村「蕪村遺稿」
海棠や雨をはらめる月二夜
紫暁「松のそなた」
海棠の露をふるふや物狂
夏目漱石「漱石全集」
海棠や陪審廷の廊の庭
鈴木花蓑「鈴木花蓑句集」