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季語と歳時記

きごさい歳時記

作成者アーカイブ: dvx22327

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水馬(あめんぼ)三夏

季語と歳時記

【子季語】
あめんぼう、川蜘蛛、水蜘蛛、水澄し、みづすまし
【解説】
鋼のような六本の細長い足で水面を滑る。夏、池、川、湖などあちこちの水面に見られる。
【来歴】
『枝葉集』(正徳元年、1711年)に所出。
【実証的見解】
カメムシ目アメンボ科の昆虫の総称である。体長は五ミリから三十ミリくらい。細かい毛が密生した六本の長い脚を持つ。中脚と後脚がとくに発達している。水の表面張力を利用して水上を自由に移動し、魚の死骸などの獲物を探す。成虫になると羽ができ、他の水域へも移動できるようになる。捕まえると飴のようなにおいを発するので、アメンボという名がある。
【例句】
しづまれば流るゝ脚や水馬
太祇「俳諧新選」

大井川ついつい虫が澄ましけり 
一茶「八番日記」

水馬流れんとして飛び返る
正岡子規「子規句集」

水馬底藻に深さはかられず
臼田亜浪「定本亜浪句集」

水馬(みづすまし)青天井をりんりんと
川端茅舍「川端茅舍句集」

曇日や水馬の水輪ただ消ゆる
島村元「島村元句集」

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蛍(ほたる) 仲夏

季語と歳時記

【子季語】
大蛍、初蛍、蛍火、朝の蛍、昼蛍、夕蛍、宵蛍、雨の蛍、蛍合戦、平家蛍、源氏蛍、姫蛍、草蛍、ほうたる
【関連季語】
蛍籠、蛍狩、秋の蛍
【解説】
夏の夜、水辺で冷たい光を明滅させながら集団で飛び交う昆虫。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。【文学での言及】
夕されば蛍よりけに燃ゆれども光見ねばやひとのつれなき 紀友則『古今集』
もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る 和泉式部『後拾遺集』
【実証的見解】
甲虫目ホタル科の昆虫。夜になるとルシフェリンという発光物質の働きによる冷光を腹部に点滅させる。集団での求愛行動である。日本には四十種類以上のホタルが確認されているが代表的なものは国内で一番大きな源氏蛍とそれより小さな平家蛍である。独特の匂いがある。
【例句】
草の葉を落るより飛蛍哉
芭蕉「泊舟集」

己が火を木々の蛍や花の宿
芭蕉「己が光」

愚にくらく茨をつかむ蛍哉
芭蕉「東日記」

此ほたる田ごとの月にくらべみん
芭蕉「三つのかほ」

めに残るよしのをせたの螢哉 
芭蕉「真蹟詠草」

蛍火の昼は消えつゝ柱かな
芭蕉「曾良本奥の細道」

ほたる飛や家路にかへる蜆売
蕪村「夜半叟句集」

暗闇の筧をつたふ蛍かな
許六「旅館日記」

人寝て蛍飛ぶなり蚊帳の中
正岡子規「子規句集」

人殺す我かも知らず飛ぶ蛍
前田普羅「普羅句集」

山霧に蛍きりきり吹かれたり 
臼田亜浪「旅人」

瀬をあらび堰に遊べる蛍かな
原石鼎「原石鼎全句集」

蛍籠われに安心あらしめよ
石田波郷「酒中花以降」

葉先より指に梳きとる蛍かな
長谷川櫂「天球」

あつき手をもて蛍火を掬ふかな
高田正子「玩具」

草深く置けばつめたし蛍籠
高田正子「花実」

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毛虫(けむし)三夏

季語と歳時記

【子季語】
毛虫焼く、毛虫這ふ
【関連季語】
芋虫
【解説】
夏、樹木の葉などに見られる体中が毛で覆われている、芋虫に似た虫。樹木の葉を食べた、人を刺したりするため焼き、薬物で駆除する。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【実証的見解】
蝶や蛾の幼虫のうち、体が毛で覆われているものをいう。ドクガ科、カレハガ科の幼虫など、毒をもっているものもあり、それらに触れると皮膚に炎症を起こしたりする。アメリカシロヒトリなどが大発生すると、果樹などの樹木に深刻な被害を与えるので、バーナーなどで焼いたりする。蝶や蛾の幼虫のうち毛で覆われていないものは芋虫である。
【例句】
毛虫落ちてままごと破る木陰かな
言水「稲筵」

侘びぬれど毛虫はおちぬ庵かな
鬼貫「仏の兄」

袖笠に毛むしをしのぶ古御達
蕪村「新花摘」

明がたの風にふくるる毛虫かな
楚堂「新深川集」

短夜や焼酎瓶の青毛虫
北原白秋「竹林清興」

毛虫焼く炎の色のかはりけり
高田正子「玩具」

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蛾(が)三夏

季語と歳時記

【子季語】
刺蛾(いらが)
【関連季語】
火取虫
【解説】
夏に現れる蝶に似た虫。多くは夜間に活動し、静止のときは羽を広げる。蝶の触覚が棒状なのに対し、蛾の触角は櫛状や羽状である。美しく飛ぶ蝶のイメージに対し、蛾には、気味悪いというようなマイナスのイメージがつきまとう。
【実証的見解】
チョウ目に分類される昆虫のうち、チョウ以外の昆虫の総称。非常に種類が多く形態や行動様式もさまざまである。胴が太く、静止のときは羽を水平に広げる。多くは夜行性で、灯火めがけて飛び回る。幼虫は植物食のものが多く、野菜や果樹などに被害を与える。卵、幼虫、蛹、成虫という変態をおこなうが、蛹になる前に糸を吐いて繭を作るものもあり、カイコガなどは絹糸をとるために人間に飼われる。
【例句】
うらがへし又うらがへし大蛾掃く
前田普羅「定本普羅句集」

山風に闇な奪られそ灯取虫  
原石鼎「原石鼎全句集」

蛾も睡るときあるらしや稿更くる
中村草田男「中村草田男全集5」

金粉をこぼして火蛾やすさまじき  
松本たかし「松本たかし句集」

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火取虫(ひとりむし)三夏

季語と歳時記

【子季語】
灯取虫、火入虫、灯虫、火虫、火蛾、灯蛾、燭蛾、火取蛾、
【関連季語】
蛾
【解説】
夏の夜、灯火に集まってくる虫のこと。蛾などが鱗粉をまきちらしながら街灯や誘蛾灯、室内の電灯などに飛んでくるさまは夏ならではの光景である。
【来歴】
『俳諧通俗誌』(享保2年、1716年)に所出。
【例句】
電のさそひ出してや火とり蟲
丈草「丈草発句集」

夕立にこまりて来ぬか火とり蟲
正秀「初便」

筆とめて打払ひけり火とり蟲
闌更「半化坊発句集」

火蛾舞ふや真白の眉をふりかぶり
長谷川櫂「新年」

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揚羽蝶(あげはちよう、あげはてふ)三夏

季語と歳時記

【子季語】
黒揚羽、烏揚羽、烏蝶、鳳蝶
【関連季語】
夏の蝶
【解説】
夏にみられる大型の蝶。キアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハなどの種類があり、いずれも羽の文様が美しい。春はやや小さめだが夏になると一回り大きくなる。
【来歴】
『俳諧初学抄』(寛永18年、1641年)に所出。
【実証的見解】
アゲハチョウ科の蝶の総称であるが、一般にアゲハチョウといわれるものは、アゲハチョウ亜科に属す。北海道から沖縄まで日本全土に分布し、都会でも目にすることができる。大きさは三センチから六センチくらいで、黄色い地に黒い筋模様をもつ。三月から十一月までが活動期。幼虫はミカンやサンショウなどのミカン科植物の葉をたべて成長する。

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海月(くらげ)三夏

季語と歳時記

【子季語】
水母、海折、石鏡、水海月、備前海月、越前水母、行燈海月、天草水母、幽霊海月
【解説】
傘状の海洋生物。傘を開いたり閉じたりして移動する。乳白色や透明のものが多いが、色
や形大きさはさまざまである。中には毒をもつものもあり、土用のころ、海水浴場などで
人を刺す。塩漬けなどにして食材になるものもある。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【文学での言及】
わが恋は海の月をぞ待ちわたるくらげの骨にあふ夜ありやと 源仲正『夫木和歌抄』
【実証的見解】
刺胞動物門に属する動物のうち、おもに海などで浮遊生活する生物の総称で実体はプランクトン。種類が多く大きさも形もさまざま。エチゼンクラゲは傘の直径が一メートルにもなる。体はゼラチン質で体全体は傘のような形をしている。傘を開いたり閉じたりして進行するが、動きをやめて水中を浮遊していることも多い。カツオノエボシやハブクラゲ、アンドンクラゲなどは毒クラゲとして有名。エチゼンクラゲ、ビゼンクラゲは塩漬けなどにして食材にする。
【例句】
白雲の影きれぎれの海月かな
暁台「暁台句集」

取り逃がし掴み崩して海月取
正岡子規「子規全集」

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穴子(あなご)三夏

季語と歳時記

【子季語】
真穴子、銀穴子、穴子釣、焼穴子、穴子鮓
【解説】
ウナギに似た海洋魚。眼も鱗もヒレもなくぬるぬるしている。産卵期の夏によく獲れ、天ぷらや穴子鮓などに利用される。味はウナギよりも淡白である。
【実証的見解】
ウナギ目アナゴ科の魚の総称。ウナギによく似た海水魚であるがウナギと違い鱗がない。成魚の全長は三十センチほどから一メートルをこえるものまである。昼は海底の穴や岩間などに潜み、夜、泳ぎだして小魚や貝などを捕食する。海中の浮遊卵から生まれた稚魚は透明で浮遊しながら成長する。穴子の仔魚は「ノレソレ」といって食すと美味。穴の中で生活している魚なので穴子という和名をもつ。
【例句】
夜の底の藻屑の穴子釣られけり 
松田季風「新渋柿句集」

穴子裂く大吟醸は冷やしあり
長谷川櫂「果実」

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鱧(はも)三夏

季語と歳時記

hamo【子季語】
生鱧、祭鱧、小鱧、落し鱧、鱧ちり、鱧料理
【関連季語】
水鱧
【解説】
鱧ときくと祗園囃子を思うほど、祇園祭のころの京都の味覚を代表するものである。身と皮の間に小骨が多く骨切りをしてから料理する。身だけでなく皮、骨、浮袋まで賞味する。白身であっさりとした味わいの夏の高級魚である。旬にさきがけて獲れる小さなものは水鱧という。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に水鱧で所出。
【実証的見解】
ウナギ目ハモ科の魚。形は鰻に似て、二メートル近くなるものもいる。骨は硬く、鋭い歯を持つ。鱗はなく、腹部は銀白色で、背は灰褐色。本州中部以南の沿岸域に生息する。昼は海底の泥のなかにひそみ、夜、動き回って、小魚、甲殻類などを捕食する。
【例句】
飯鮓の鱧なつかしき都かな
其角「五元集」

大阪の祭つぎつぎ鱧の味
青木月斗 (同人)

竹の宿昼水鱧を刻みけり
松瀬青々「妻木」

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鯵(あじ、あぢ)三夏

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aji【子季語】
真鯵、室鯵、小鯵、鯵釣、鯵売
【関連季語】
沖膾
【解説】
梅雨のころ旬を迎える海洋魚。鯖、鰯と並ぶ大衆魚である。代表的な料理「鰺のたたき」は漁師料理の沖膾から始まったとされる。沖膾は、漁師が獲ったばかり魚をその場で料理して食べるというもの。ほかに刺身、塩焼き、フライ、干物などにして食す。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【実証的見解】
スズキ目アジ科に含まれる海洋魚の総称。背は黒っぽく腹は銀色。大きさは十五センチくらいが一般的であるが、大きいもので四十センチにもなる。種類はマアジが多く他に、ムロアジ、シマアジなどが市場に出回る。黒潮に乗って回遊するものと沿岸の岩場などに住み着いて回遊しないものがあり、後者は関鯵が有名である。四月ころ産卵のために沿岸に近寄る。夏から秋にかけてが漁期。
【例句】
世の中を知らずかしこし小鯵売
其角「其袋」

活鯵や江戸潮近き昼の月
一茶「享和句帖」

小鯵焼く妻や厨の片襷
巌谷小波「さゞら波」

小鯵売虹にそむきて行きにけり
五十崎古郷「古郷句集」

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