【子季語】
菖蒲風呂
【解説】
端午の節句に、菖蒲の葉を湯にうかべて入浴する。菖蒲の葉が、邪気を祓い身を清めてくれるという。かって、疫病がはやり始めるのは、この季節からであった。
【例句】
さうぶ湯やさうぶ寄りくる乳のあたり
白雄「白雄句集」
菖蒲湯も小さ盥ですましけり
一茶「七番日記」
灯のさして菖蒲かたよる湯舟かな
内藤鳴雪「春夏秋冬」
菖蒲湯を出てかんばしき女かな
日野草城「花氷」
菖蒲湯やなみなみとしてあごの下
日野草城「花氷」
【子季語】
菖蒲風呂
【解説】
端午の節句に、菖蒲の葉を湯にうかべて入浴する。菖蒲の葉が、邪気を祓い身を清めてくれるという。かって、疫病がはやり始めるのは、この季節からであった。
【例句】
さうぶ湯やさうぶ寄りくる乳のあたり
白雄「白雄句集」
菖蒲湯も小さ盥ですましけり
一茶「七番日記」
灯のさして菖蒲かたよる湯舟かな
内藤鳴雪「春夏秋冬」
菖蒲湯を出てかんばしき女かな
日野草城「花氷」
菖蒲湯やなみなみとしてあごの下
日野草城「花氷」
【子季語】
端午の節句、重五、五月の節句、菖蒲の節句、菖蒲の節会、初節句、菖蒲の日
【解説】
旧暦の月の端(はじめ)の午(うま)の日の意。現代では多くは新暦の五月五日に祝う。邪気を払うといわれる菖蒲や蓬を軒に吊るしたり、菖蒲湯に入ったりする。又、「菖蒲」と「尚武」の読みから、近世以降は男子の節句となった。
【例句】
風さけて入り日涼しき菖蒲の日
千代女「真蹟」
四辻や匂ひ吹きみつあやめの日
闌更「半化坊発句集」
孫六が太刀の銘きる端午かな
鳳朗「鳳朗発句集」
【子季語】
氷室守、氷室の山、氷室の雪
【解説】
冬の天然氷を夏まで貯蔵するための室または洞穴。それを守る人が氷室守。『日本書紀』にすでに記述がある。春は四月から九月にかけて、各地の氷室から宮中に氷が献上された。現在も一部の地方に氷室がある。
【例句】
水の奥氷室尋ぬる柳かな
芭蕉「曽良書留」
神秘(じんぴ)そも人にはとかじ氷室守
蕪村「夜半臾句集」
六月を桜に知るや氷室もり
蓼太「蓼太句集」
氷室山雲鎖す木々の雫かな
大須賀乙字「乙字俳句集」
氷室守清き草履のうらを干す
前田普羅「定本普羅句集」
日はしんと空の深みに氷室跡
長谷川櫂「天球」
ひややかに神のこもれる氷室かな
長谷川櫂「新年」
【子季語】
瀑布、飛瀑、滝壺、滝しぶき、滝風、滝の音、男滝、女滝、滝見、滝涼し、滝道、滝見茶屋
【解説】
年中滝はあるが涼気から夏の季語とされた。人工的に庭園などに作られたものを作り滝という。季語として認められたのは近代以降である。江戸期は別の季の詞を必要とした。
【例句】
奥や滝雲に涼しき谷の声
其角「新山家」
うら見せて涼しき瀧の心哉
芭蕉「宗祇戻」
酒のみに語らんかゝる瀧の花
芭蕉「笈の小文」
滝水の中やながるる蝉の声
惟然「草庵集」
山鳥の尾上に滝の女夫かな
几董「井華集」
神にませばまこと美はし那智の滝
高浜虚子「五百句」
滝をのぞく背をはなれゐる命かな
原石鼎「原石鼎全句集」
滝殿に人あるさまや灯一つ
内藤鳴雪「春夏秋冬」
たのしさとさびしさ隣る滝の音
飯田龍太「山の木」
羽衣のごとくに滝の吹かれをり
長谷川櫂「虚空」
瀧の影瀧におくれて落ちにけり
高田正子「花実」
夢に聴くいづこの山の瀧の音
高田正子「花実」
【子季語】
真清水、山清水、岩清水、底清水、苔清水、草清水、清水汲む、清水掬ぶ、清水茶屋
【解説】
岩陰から天然に走りでる水や、流れる水、湛えられた水。また地下から湧き出てくる清冽な水をいう。 清水のある場所やその状態により山清水、岩清水、草清水、苔清水などという。
【例句】
城跡や古井の清水まず問はん
芭蕉「真蹟懐紙」
湯をむすぶちかひもおなじ石清水
芭蕉「陸奥鵆」
底清水心の塵ぞしづみつつ
嵐雪「玄峰集」
月山や鍛冶が跡とふ雪清水
曾良「雪まろげ」
青あをと見えて底根のある清水
千代女「千代尼尺牘」
石工の鑿冷し置く清水かな
蕪村「果報冠者」
あとざまに小魚流るる清水かな
几董「普明集二稿」
底見えて小魚も住まぬ清水哉
正岡子規「子規全集」
岩つかみ片手に結ぶ清水哉
正岡子規「子規全集」
底の石動いて見ゆる清水かな
夏目漱石「漱石俳句集」
岩清水十戸の村の筧かな
夏目漱石「漱石俳句集」
【子季語】
泉川、やり水
【解説】
山中の岩間などから清冽な地下水が地表に湧き出して、小さな流れや池となったもの。湧き出るときの静かな音や、水の透明感が夏の涼しさを呼ぶ。清らかな水であることから、古くは旅人が乾いた喉を潤した。
【例句】
結ぶより早歯にひゞく泉かな
芭蕉「都曲」
緑わく夏山陰の泉かな
蓼太「蓼太句集三編」
さゝれ石もわきて泉の流れかな
紹巴「大発句」
青松葉見えつゝ沈む泉かな
正岡子規「子規句集」
刻々と天日くらきいづみかな
川端茅舍「華厳」
千年の泉ごぼりとたなごころ
加藤楸邨「死の塔」
泉への道後れゆく安けさよ
石田波郷「春嵐」
淋しさの底より湧ける泉かな
長谷川櫂「初雁」
【子季語】
夏野原、夏の原、青野、卯月野、五月野
【解説】
夏野といえば美ヶ原とか富士の裾野など、広々としたところが思い描がかれる。風が渡ると青々と生い茂った草が、いっせいに靡いて大海原のようでもある。
【例句】
巡礼の棒ばかり行く夏野かな
重頼「藤枝集」
馬ぽくぽく我を絵に見る夏野かな
芭蕉「水の友」
もろき人にたとへむ花も夏野かな
芭蕉「笈日記」
秣負ふ人を枝折の夏野哉
芭蕉「陸奥鵆」
我ひとり行くかと思ふ夏野かな
二柳「やまかけ集」
一すぢの道はまよはぬ夏野かな
蝶夢「露の一葉」
絶えず人いこふ夏野の石一つ
正岡子規「子規句集」
夏の行きつくしぬ大河横たはり
石井露月「露月句集」
ぐいぐいと山退いてゆく夏野かな
高田正子「玩具」