【子季語】
鞍馬祭、火祭、靫大明神祭
【解説】
十月二十二日の夜の京都鞍馬山由岐神社の祭礼。六時過ぎ、街道に篝火が焚かれ、「サイレヤ、サイリョウ」の掛声と共に、大小三百の松明が練り歩く。やがて松明は山門前に集結し祭は最高潮、辺りは火の海と化す。深夜まで神事が続く。
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鳴滝の大根焚(なるたきのだいこたき)仲冬
御火焚(おほたき)初冬
【子季語】
御火焼、おひたき、おしたけ、新玉津嶋の御火焚
【解説】
十一月中、京都伏見稲荷大社はじめ多くの社寺が行う新穀感謝の祭事。神前に五穀・果物・餅・酒等を供え、庭に割木を組み竹を立てて火を起す。火が燃え盛れば、竹に神酒を注ぐ。その後、供物を参詣人や氏子に分けて、共に五穀豊穣を祝う。
【例句】
お火焼や塵にまじはる箒の神
才麿「江戸弁慶」
御火焼や風雅と呼ばる友ほしゝ
桃隣「古太白堂句集」
御火焚や霜うつくしき京の町
蕪村「蕪村句集」
御火焚や鎌倉山は星月夜
鳳朗「鳳朗発句集」
御火焚や蜜柑ころがる潦
中川四明「四明句集」
誓文払(せいもんばらい、せいもんばらひ)初冬
【子季語】
誓文祓
【解説】
京都では陰暦十月二十日、商家・花柳界の人が四条京極の官者殿に参詣する習慣があった。商売上心ない駆引きをし、利をむさぼった罪を払うためで、その罪ほろぼしに一斉に安売りをした。誓文払の売出しとして定着、呉服店・デパートの特売につながる。
太秦の牛祭(うずまさのうしまつり、うづまさのうしまつり)晩秋
【子季語】
牛祭、魔多羅神、太秦牛祭
【解説】
十月十二日夜、京都太秦の広隆寺で行われる、悪疫退散、五穀豊穣を祈る奇祭。摩陀羅神の白い紙の面をつけた僧が牛に乗り、赤鬼青鬼の面をつけた四天王を従え練行の後、薬師堂前で長い祭文を読み上げる。牛の調達が困難なため現在不定期。
【例句】
角文字のいざ月もよし牛祭
蕪村「俳諧新選」
里の子も覚えて所まだら神
太祇「俳諧新選」
油断して京へ連なし牛祭
召波「春泥句集」
牛祭り能なし女聞きや居ん
嘯山「俳諧新選」
牛祭尻張声の事々し
嘯山「葎亭句集」
消し廻る灯に果て行くや牛祭
大谷句仏「我は我」
松明や牛に乗りたる摩陀羅神
中川四明「改造文学全集」
時代祭(じだいまつり)晩秋
壬生念仏(みぶねんぶつ)晩春
【子季語】
壬生狂言、壬生祭、壬生踊、壬生の鉦、壬生の面
【解説】
四月二十一日から二十九日まで、京都壬生寺で行われる花鎮法会の行事。俗に、壬生狂言ともいう。鰐口、太鼓、笛に合わせくり広げられる無言の仮面劇。演目は三十あり、毎日最初の演目に「炮烙割り」がある。国の重要無形民俗文化財に指定されている。
【例句】
長き日を云はで暮れ行く壬生念仏
蕪村「落日庵句集」
墨染のうしろ姿や壬生念仏
太祇「太祇句選」
山吹やいはでめでたき壬生ねぶつ
召波「春泥発句集」
誰布施の昔小袖や壬生念仏
召波「俳諧新選」
野にわたり山にわたりぬ壬生念仏
樗良「題林集」
御身拭(おみぬぐい、おみぬぐひ)晩春
【解説】
四月十九日、京都嵯峨清涼寺(釈迦堂)の大法要。本尊の開扉、引声念仏を唱え、香湯にひたした白布で本尊の釈迦如来を拭い清める。拭った白布には霊験があり、経帷子にすると極楽往生ができるという。安喜門院の母が浄土に往生した縁起にちなむ法要。
【例句】
御僧のその手嗅(かぎ)たや御身拭
太祇「太祇句選」
埃たつうき世の嵯峨や御身拭
蝶夢「草根発句集」
乗物で優婆夷も来るや御身拭
召波「春泥発句集」
鞍馬の花供養(くらまのはなくよう、くらまのはなくやう)晩春
【子季語】
花供養、花供懴法
【解説】
桜の頃十五日間にわたる行事で、期間中京都鞍馬寺では、開闢中日・結願の法要が営まれ、本尊に花や茶を献じ、舞楽を奉納する。特に中日法要を花会式といい、稚児のお練り行列も行われる。また、鞍馬に咲く桜を総称して雲珠(うず)桜という。
嵯峨大念仏(さがだいねんぶつ)晩春
【子季語】
嵯峨念仏、嵯峨大念仏狂言
【解説】
京都嵯峨清凉寺(嵯峨釈迦堂)で四月上旬の土、日曜に上演される狂言。鎌倉時代に円覚上人が広めた融通念仏が始まりという無言劇。カンデンデンと独特の鉦や太鼓の音と共に、土蜘蛛、釈迦如来、とろろ等が演じられる。国の重要無形民俗文化財に指定。
八分咲く花の盛や大念仏
大谷句仏「我は我」


