【子季語】
栗おこわ
【解説】
鬼皮、渋皮をむいた栗を米とあわせ、塩、酒を加えて炊いたごはんのこと。むいた栗を焼いてから炊く場合もある。もち米を使っ て、おこわに炊くこともある。
【例句】
栗めしや根来法師の五器折敷
蕪村「落日庵句集」
栗飯や目黒の茶屋の発句会
正岡子規「子規全集」
栗飯や水上泊りの二三日
松瀬青々「倦鳥」
栗飯や人の吉凶入りみだれ
日野草城「旦暮」
推敲の力やしなへ栗の飯
長谷川櫂「新年」
【子季語】
忍冬忌、風鶴忌、惜命忌
【解説】
十一月二十一日。俳人石田波郷の忌日。大正二年松山市生まれ。上京して「馬酔木」編集部に入って秋櫻子の知遇を得る。昭和十二年「鶴」創刊主宰。戦後は胸部疾患のため療養生活を送り、昭和四十四年没。五十六歳。墓は東京深大寺にある。
【子季語】
蛇の衣、蛇の殻、蛇の蛻、蛇皮を脱ぐ、蛇の脱け殻
【解説】
蛇が脱皮すること。最も活動的な初夏に脱け殻を見ることが多い。脱け殻は白っぽく光沢があり、すぐに乾燥してからからになる。
【科学的見解】
ヘビ類は、皮膚の構成として外側の表皮と内側の真皮が存在する。外側の表皮は、擦り傷や?み傷等の外傷を受けるために、ヘビ類は定期的に表皮を取り換えており、その取り換えが脱皮である。脱皮はヘビ類が活動しているどの季節にも行われるが、温帯地域の場合冬の寒さや逆に夏の暑い時期には活動が低下するため、あまり脱皮は行われない。また、脱皮の間隔は一定ではなく、皮膚に傷を負った時等は脱皮周期が短くなり、回数も増える。成体(成蛇)よりも幼体(幼蛇)の時期の方が成長が活発であるため、脱皮回数は多くなる傾向である。。ヘビ類の脱皮は抜け殻が残されるために、人目に付きやすいが、同じ爬虫類のトカゲ類やカエル等の両生類も脱皮を行うことが知られている。しかし、それらの多くは自身で脱皮殻や膜を食べてしまうために抜け殻は残されず、あまり気付かれることはない。(藤吉正明記)
【例句】
蛇の皮ぬぎてかけたる桜かな
許六「正風彦根躰」
蛇の衣滝を見ずして返しけり
正岡子規「子規句集」
露に脱ぎて全き蛇の衣かな
島田五空「裘」
【子季語】
敗戦忌、終戦の日、敗戦の日、八月十五日
【解説】
八月十五日。昭和二十年のこの日、日本はポツダム宣言を受諾して第二次世界大戦は終了した。戦争の誤ちを反省し、平和の希求を確認する日。各地で戦没者を追悼する催しが行われる。
【例句】
暮れはててなほ鳴く蝉や敗戦日
石田波郷「酒中花」
【子季語】
水大葉子、水朝顔、たおほばこ
【解説】
水田や溝に生える。葉がオオバコに似ているためミズオオバコという。花は直径三センチほどで、水面に出て咲く一日花。白地に淡い紫色を帯びる。花期は八月から十月。花の形が朝顔に似ているため、ミズアサガオともいわれる。
【科学的見解】
ミズオオバコは、トチカガミ科の一年草または多年草で、北海道から沖縄までの水田やため池に沈水して生育している。葉は根生し、陸地に生えるオオバコに似た広卵形から円形の葉となる。沖縄の水深が深いため池などでは、葉身から葉柄までの長さが六十センチメートルを超える大型のものも存在する。本種は、近年急速に個体数を減少させており、絶滅危惧種に選定されている。(藤吉正明記)
【子季語】
蓬たく
【解説】
丈高く伸びた夏の蓬のこと。茎は木のように堅くなり、淡褐色の 花をつける。夏蓬が生い茂って荒れはてた様から「蓬々」という形容詞が生まれた。葉裏に白い細かい毛が生えた夏蓬の葉を乾燥させて艾(もぐさ)を作る。
【科学的見解】
ヨモギは、キク科の多年草であり、日本各地の市街地から丘陵地まで広く生育している。春先の新芽・若葉の時期には、草餅作りの材料として摘まれることが多いが、夏になると茎が生長し、一メートルほどになるため、春先の様相と大きく異なる。近縁種としては、同じキク科ヨモギ属のオトコヨモギが存在するが、オトコヨモギの葉の裏には白毛がないため、その点で区別できる。(藤吉正明記)