【子季語】
麦扱機
【解説】
刈り取った麦の穂を落とす作業のこと。かつては、金属または竹製の歯を櫛状に並べた千歯扱きという器具に麦の穂をかけて引っぱった。足踏み式の脱穀機の時代もあったが、近年では全て機械化されている。
【例句】
麦扱や暫く曇る塀の先
非群「類題発句集」
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時の記念日(ときのきねんび )仲夏
【子季語】
時の日
【解説】
六月十日。一九二〇年にはじまる。六七一年、天智天皇のとき、漏刻(水時計)を設置して時刻制度を定めた日が四月二五日(太陽暦六月十日)であったいわれに基づく。
水中眼鏡(すいちゅうめがね)三夏
【子季語】
水眼鏡
【解説】
水中で目をあけるために用いる眼鏡。ゴムの縁取りがあって水が入らない構造になっている。これを使って魚を突き採ったり、貝などを採取したりする。競泳用にも用いられる。
山牛蒡の花(やまごぼうのはな、やまごばうのはな)仲夏
滝浴(たきあび)晩夏
【子季語】
瀑浴、滝垢離、滝行者
【解説】
暑中に涼を求めて滝に打たれること。修行のための滝浴は季節に関係なく行われるが、滝垢離・滝行者も含めて夏の季語としている。
【例句】
滝浴びのひたに唱ふる声来る
日野草城「青芝」
孔雀草(くじゃくそう、くじやくさう)晩夏
【子季語】
波斯菊、蛇の目草
【解説】
メキシコ原産のキク科の一年草。園芸品種が多く、高さ三十~五十センチほど。葉は羽状複葉。夏、径三センチほどの舌状花を開く。花は鮮黄色で基部に濃赤褐色の斑紋があり蛇の目傘のように見える。
【科学的見解】
クジャクソウという名を別名に持つ植物は、複数種存在する。まず、標準和名としてコウオウソウと呼ばれるメキシコ原産のキク科一年草があり、英名はフレンチマリーゴールドであるが、別名としてクジャクソウという名を持つ。また、北米原産のキク科一年草のハルシャギクも別名としてクジャクソウと呼ばれている。その他、近年切り花として需要が増えている流通名の宿根アスターもクジャクソウと呼ばれているため、この名を用いるときには注意が必要である。(藤吉正明記)
出水(でみず/でみづ)仲夏
菊挿す(きくさす)仲夏
【子季語】
挿菊、菊挿芽
【解説】
菊を繁殖させる方法の一つで挿し芽のこと。大菊はこの方法による。梅雨の頃、挿し穂を五センチほどに剪って水はけのよい土に挿すと、二十日ほどで発根する。ほかに根分けがあって、これは春に行う。
土用鰻(どよううなぎ)晩夏
健吉忌(けんきちき)初夏
【解説】
文芸評論家山本健吉(一九〇七~一九八八)の忌日。五月七日。本名石橋貞吉。慶応義塾大学で折口信夫に学び、近世俳諧から現代俳句にいたるまでの研究など、俳句界に及ぼした影響は大きい。