【子季語】
おだまき/いとくり/糸繰草
【解説】
キンポウゲ科の多年草。五月頃、青紫または白の五弁の花をうつむきに咲かせる。この花が、紡いだ麻を巻きつけた苧環に似ていることから名前がついた。葉は枝の先についた三枚の小葉であり、粉白色を帯びている。
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林檎の花(りんごのはな) 晩春
【子季語】
花林檎
【解説】
現在、多く見られるのは明治初期に導入された西洋林檎。中央アジア原産、寒冷地を好むバラ科の落葉高木。晩春、ほのかに紅を帯びた白色の五弁花を傘状につける。芳香をもち、清楚な中にも艶をふくんだ凛とした美しさがある。
【科学的見解】
日本で一般的に栽培されている林檎は、セイヨウリンゴと呼ばれるもので、バラ科リンゴ属の落葉木である。明治以降に様々な品種が海外から導入され、冷温帯気候の青森県を中心に栽培が進められた。その中でも、海外品種に日本名を付けた「国光」と「紅玉」の生産量が増したが、現在では海外品種同士を交配して日本で作出された「ふじ」が日本の主流品種となっている。セイヨウリンゴの花は、白色から桃色の五枚の花弁を有し、短い枝に複数の花をつけた散形花序となる。(藤吉正明記)
山桜桃の花(ゆすらのはな) 晩春
【子季語】
梅桃の花/英桃の花
【解説】
中国原産、バラ科の落葉低木。四月中頃、新葉とほぼ同時に、白か薄紅の素朴な花を咲かせる。葉は桜の葉を小型にした形で、生毛が密集。六月頃には、艶やかな紅い実をつける。梅に似ていることから、ゆすら梅ともよぶ。
【科学的見解】
ゆすらの標準和名は、ユスラウメである。ユスラウメは、バラ科の落葉低木で、古い時代に中国から導入された植物である。近縁種としては、同じく中国から導入されたニワウメが知られている。ユスラウメの花は、白色から桃色をしており、五枚の花弁はほぼ水平に開く。ニワウメも含め両種とも低木で、可愛らしい小振りのウメの花に似た花を咲かせることから、庭園等の植栽木として利用されている。(藤吉正明記)
【例句】
ゆすら花咲くや庭木の小暗がり
秋虹「新類題発句集」
万両にゆすらの花の白き散る
正岡子規「子規全集」
ヘリオトロープ 晩春
春の筍(はるのたけのこ) 晩春
【子季語】
春筍
【解説】
筍は初夏が最盛期であるが、西日本では晩春に掘り採られるものがあり、これを春の筍、または春筍という。主に孟宗竹の筍であるが、柔らかく美味。香りもよく、いかにも春らしい味覚である。
【科学的見解】
筍は、竹類の新芽であるが、食用とされる竹類は、マダケ、ハチク、モウソウチク等が有名である。それらの新芽の出る時期は、種により異なり、春先に出るのはモウソウチクである。マダケとハチクの筍は、初夏から仲夏にかけて伸びてきたものが食される。モウソウチクの場合は、大型の竹類であるため、大きく育つと繊維質で硬く食べづらくなるため、なるべく小さく若いものが好まれる。そのため、春先地中にある地下茎から新芽が生長し、その先端が地表に出るか出ないかぐらいのものが掘り返されて収穫されている。(藤吉正明記)
髢草(かもじぐさ) 晩春
【子季語】
雛草/鬘草
【解説】
イネ科の多年草で、各地の野原や道端に生える。草丈五十~八十センチほどで、葉はやや白っぽい緑色。春から初夏にかけて長い花穂を垂れる。かつて子どもたちがこの若葉を集めて束ね、雛人形の髢をつくって遊んだことが名前の由来。
【例句】
肩過ぎぬ髪の姿やかつら草
雲化「新類題発句集」
煙草の花(たばこのはな) 初秋
蘆の穂絮(あしのほわた) 晩秋
【子季語】
蘆の穂
【解説】
熟した蘆の花穂には長い白綿毛が生えており、風をとらえて遠くまで飛んでゆく。
【科学的見解】
蘆の標準和名は、ヨシである。ヨシは、イネ科の多年草で、日本各地の湿地や池などの水辺に普通に生育している。花は、多数の小花が小穂として集まり、円錐花序を形成する。小花は、成熟すると乾燥で付け根の冠毛は開き、花序全体が膨らんでくる。それらは、風をとらえて四方八方へ飛散していく。(藤吉正明記)
【例句】
高水や蘆の白穂に雲おこる
白雄「白雄句集」
蘆の穂に家の灯つづる野末かな
富田木歩「定本木歩句集」
占地(しめじ/しめぢ )晩秋
【子季語】
湿地茸/湿地/ほんしめぢ/千本しめぢ/一本しめぢ
【解説】
マツタケ科。灰または淡灰色の茸。秋、雑木林や松林にかたまって生える。美味で、俗に「におい松茸、味しめじ」といわれる。
【科学的見解】
占地の名の付くキノコは、複数種存在するが、味の良いものとしてはホンシメジが挙げられる。ホンシメジは、樹木と共生をする菌類として知られているものの、近年人工栽培が成功し、販売もされている。その他、食用になる種としては、ブナシメジやハタケシメジが有名である。(藤吉正明記)
若煙草(わかたばこ) 三秋
【子季語】
今年煙草/新煙草/煙草干す/懸煙草/縄煙草
【解説】
秋、収穫されたばかりの煙草の葉をいう。これを掛け干しにしてよく乾かし、煙草を製する。
【例句】
たばこ干す山田の畔の夕日かな
其角「五元集」
若たばこ軒むつまじき美濃近江
蕪村「夜半叟句集」
たばこ干す寺の座敷に旅寝かな
几董「晋明集二稿」
わかたばこ丹波の鮎の片荷かな
維駒「五車反古」
莨干す壁に西日のよわりかな
正岡子規「子規句集」


