【子季語】
花供養、花供懴法
【解説】
桜の頃十五日間にわたる行事で、期間中京都鞍馬寺では、開闢中日・結願の法要が営まれ、本尊に花や茶を献じ、舞楽を奉納する。特に中日法要を花会式といい、稚児のお練り行列も行われる。また、鞍馬に咲く桜を総称して雲珠(うず)桜という。
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嵯峨大念仏(さがだいねんぶつ)晩春
【子季語】
嵯峨念仏、嵯峨大念仏狂言
【解説】
京都嵯峨清凉寺(嵯峨釈迦堂)で四月上旬の土、日曜に上演される狂言。鎌倉時代に円覚上人が広めた融通念仏が始まりという無言劇。カンデンデンと独特の鉦や太鼓の音と共に、土蜘蛛、釈迦如来、とろろ等が演じられる。国の重要無形民俗文化財に指定。
八分咲く花の盛や大念仏
大谷句仏「我は我」
御影供(みえいく)仲春
【子季語】
みえく、御影講、空海忌、正御影供、御衣替、御衣井、三弘法詣、弘法忌、高雄山女詣
【解説】
真言宗で、空海入定の日に営む法要。京都東寺では、毎月二十一日を御影供四月二十一日を正御影供とする。境内に弘法市が立ち、京都人は「弘法さん」と呼んで親しむ。昔は、御室詣・三弘法「東寺、仁和寺、神光寺」詣・高雄山女人詣等の風習があった。
【例句】
御影供や人に埋もるる壬生朱雀
太祇「題林集」
御影供やひとの問よる守敏塚
太祇「太祇句選」
北面の御堂かしこし御影供
召波「春泥発句集」
島原やどつと御影供のこぼれ人
一茶「八番日記」
絹脚胖高雄へまゐる女かな
孤松「新派句選」
御影供やさらぬ小寺の花も見る
松瀬青々「妻木」
山吹の黄金(くがね)とみどり空海忌
森澄雄「空艪」
嵯峨の柱炬(さがのはしらたいまつ)仲春
【子季語】
嵯峨御松明、柱松明、お松明
【解説】
三月十五日、涅盤会行事の一つとして、京都嵯峨清凉寺で行われる火祭。夜八時頃から、高さ七メートル余の大松明三基が燃やされ、火柱となって夜空を焦がす。釈迦を荼毘に伏した様を表わすと伝える。三本の松明の火勢で農作物の豊凶を占う。
【例句】
松明や鶴の林の夕煙
方山「発句題叢」
松明もいかに嵐の山近し
野明「類題発句集」
やすらゐまつり 晩春
【子季語】
安良居祭、やすらゐ花、やすらゐ
【解説】
京の春祭に先がけ、四月第二日曜に行われる京都紫野今宮神社の祭礼。厄よけの風流花傘を先頭に、鬼に扮装した男と少年が羯鼓を持ち踊りつつ町内を巡り、最後は社前で舞い納める。花傘に入ると厄のがれができるという。祇園祭の原形となる花鎮めの祭。
【例句】
やすらひの花よふまれな跡なる子
暁台「夜のはしら」
やすらゐや鬼も籠れ若草野
几菫「井華集」
尻餅もやすらひ花よ休らひよ
一茶「文化句帖」
安良居や花傘かへる采女村
中川四明「改造文学全集」
北野菜種御供(きたのなたねごく)初春
【子季語】
梅花祭、菜種御供、梅花御供、天神御忌、道真忌
【解説】
菅原道真の忌日、二月二十五日の京都北野神社の祭礼。菜種の花を挿して献じたが、花がない時期には道真が好んだという梅を代わりにし、近年は梅花祭として親しまれる。紙屋川に添う探梅、野点の茶席、露店も出て賑々しく、年により雪が舞う。
白朮詣(おけらまいり、をけらまゐり)新年
【子季語】
白朮祭、白朮火、白朮縄、吉兆縄、火縄売、祇園削掛神事、削掛の行事
【解説】
元旦の早朝、京都祇園八坂神社で行われる削掛(けづりかけ)の神事。参詣人は、白朮(薬草)を加えた篝火から吉兆縄に火を移し、消えないようにぐるぐる振り回しながら家に持ち帰り、神棚の灯明や雑煮を炊く火種にした。今も、大晦日の夜のおけら詣の風習が残る。
【例句】
火縄ふる影朧なり削りかけ
風枝「新類題発句集」
まだ風の細み残して削掛
元夢「千題集」
削掛火種ふく袖かはし行く
高田蝶衣「青垣山」
鳥居出てにはかに暗し火縄振る
日野草城「花氷」
波郷忌(はきょうき、はきやうき)初冬
【子季語】
忍冬忌、風鶴忌、惜命忌
【解説】
十一月二十一日。俳人石田波郷の忌日。大正二年松山市生まれ。上京して「馬酔木」編集部に入って秋櫻子の知遇を得る。昭和十二年「鶴」創刊主宰。戦後は胸部疾患のため療養生活を送り、昭和四十四年没。五十六歳。墓は東京深大寺にある。
博多祇園山笠(はかたぎおんやまがさ、はかたぎをんやまがさ)晩夏
【子季語】
博多の祇園祭、博多祭、山笠、追山笠
【解説】
七月一日から十五日にかけて、福岡市博多の櫛田神社で行われる祇園祭。山笠と呼ばれる大きな山車が出る。飾山笠と追山笠があり、前者は商店街などに飾られ、後者は十日から水法被の若者た ちが水を浴びながら市内を担ぎ回る。
西鶴忌(さいかくき)仲秋
【解説】
浮世草子・人形浄瑠璃作家、井原西鶴(一六四ニ~一六九三)の忌日。陰暦八月十日没。住吉神社において、一昼夜で二万三千句を詠じたことは有名である。代表作に「好色一代男」「好色五人女」など。