【解説】
主に野性の小鳥の繁殖を助けるために樹木に取りつける人工の巣 のこと。四十雀、山雀等々、それぞれの種類によって巣箱の入口が異なるので、取り付ける場所や巣箱の大きさを鳥の習性に合わせて作る。
【科学的見解】
一部の野鳥は、樹木に形成された洞(樹洞)を営巣場所として利用している。その樹洞は、樹木が成長する過程で木材分解性の菌類が体内に侵入し、体内の木材が長い時間をかけて分解された結果として生み出されているものである。したがって、若い樹木には樹洞はなく、長い年月を生き抜いた大木に樹洞は形成されている。近年、森林開発等の影響で、樹洞を有する大木が減少しており、樹洞を営巣場所として利用する野鳥の保護的観点から樹洞の代替環境として巣箱作りやその設置が行われている。樹洞を営巣環境としている野鳥は、シジュウカラ、ヤマガラ、スズメ、ムクドリ、アオバズク、フクロウ等が知られており、巣箱をかけるとそれらの営巣・繁殖の手助けとなる。(藤吉正明記)
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麦鶉(むぎうずら/むぎうづら) 晩春
【子季語】
合生/ひひ鳴
【解説】
鶉はキジ科の渡り鳥。草原などで繁殖する。晩春、麦の伸びる頃、繁殖期に入る。この時期の鶉をとくに「麦鶉」という。雄は「グ ワグルルー」雌は「ヒヒ」と大きな声で鳴く。
【例句】
麦鶉露けき鳥は先づこれか
寥松「発句題叢」
ひひ鳴やまだ穂に出でぬ麦鶉
巴静「類題発句集」
麦鶉畦をよぎりぬ庵の前
鈴木花蓑「鈴木花蓑句集」
接骨木の花(にわとこのはな/にはとこのはな) 晩春
【子季語】
接骨の花/みやつこぎ
【解説】
スイカズラ科の落葉低木。山野に自生し、庭などにも植える。白い小花が円錐状に咲く。古名をミヤツコギといい、それが訛ってニワトコとなったという。又、文字通りセッコツボクとも読む。 花も薬用になる。
【科学的見解】
ニワトコは、ガマズミ科(旧スイカズラ科)の落葉低木で、東北から九州までの山野に生育している。近縁種としては、ソクズが知られているが、ソクズは多年草であり、また花序に黄色の腺体が存在することなどで、区別することができる。ニワトコの花は、春に開花し、放射相称で車状の小さな花冠を多数つける。(藤吉正明記)
桑摘(くわつみ/くはつみ) 晩春
【子季語】
桑摘女/桑摘唄/桑籠/桑車/桑倉
【解説】
その年の新しい枝に出た葉を蚕のために摘むこと。孵ったばかりの蚕には柔い葉を一枚ずつやる。蚕の成長するにつれて次第に大きな葉を採り、やがて枝ごと採取する。かつては多くの人の手を必要とした作業だった。
【例句】
桑の葉のいつもぎ果てん我がこころ
憔然「遅れ馳」
桑摘や枝に夕日のあかね裏
蝶夢「類題発句集」
大試験(だいしけん) 仲春
【子季語】
学年試験/進級試験/卒業試験/及第
【解説】
進級のための学年試験や、卒業試験をいう。期末試験が小試験なのに対しての大試験である。今はあまり用いられていない言葉か。
【例句】
日ならべて空の碧さよ大試験
日野草城「昨日の花」
山の手の旗雲一つ試験すむ
久米三汀「返り花」
蔦の芽(つたのめ) 仲春
【解説】
蔦は他の草木に遅れて芽吹く。その芽は新しい蔓となり、ぐんぐん伸びる。さらに蔓から伸びた無数の細い巻蔓には吸盤があり、手近なものに貼り付き這い登る。逞しい生命力を秘めた芽である。
【例句】
蔦の芽の枯木にかかる青みかな
唇風「新類題発句集」
ものの芽(もののめ) 仲春
【子季語】
芽
【解説】
春のもろもろの草木の芽のこと。これという特定の草木のそれではない。春の息吹を感ずる言葉のひとつ。
【例句】
夕月に輝くごとき太芽かな
高橋馬相「秋山越」
一人静(ひとりしずか/ひとりしづか) 仲春
【子季語】
吉野静/眉掃草
【解説】
センリョウ科。山野に自生するが、原産は中国。江戸時代、観賞用に栽培された。二十~三十センチの茎の先端に対生の葉を四枚つけ、その中心からさらに茎を伸ばしブラシ状の白い小花をつけ る。一人舞う静御前になぞらえた命名。
【科学的見解】
一人静(ヒトリシズカ)は、チャラン属の多年草であり、北海道から九州にかけて広く分布する。似た種としては、岡山から九州北部に生育するキビヒトリシズカや花序が枝分かれするフタリシズカが知られている。これら三種は、林内に自生するや在来の植物であるが、江戸時代に中国から渡来したチャランという似た種は、稀に観賞用として庭先などで栽培されている。(藤吉正明記)
春暑し(はるあつし) 晩春
【子季語】
春の汗
【解説】
仲春或いは晩春の季節の移り行く時、好天に恵まれたりして、気温がぐんと上がり、時には汗ばむほどの暑さを覚える。夏の耐え難い暑さとは違う。

