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NPO法人季語と歳時記の会のホームページ

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韓国、仁荷大学に植樹した山桜の写真です

きごさいBASE 投稿日:2024年4月14日 作成者: dvx223272024年4月21日

季語と歳時記の会(きごさい)の仕事の一つに「山桜100万本植樹計画」があります。
第1回目は2008年5月、新潟県加茂市の雙璧寺に120本を植樹しました。二回目は翌年2009年10月、韓国仁川市にある仁荷(インハ)大学校キャンパスに3本を植樹しました。
仁荷大学の王淑英先生からその山桜の写真が送られてきましたので掲載いたします。今日(4/14)の朝撮った写真です。クリックすると大きくなります。




「動物季語の科学的見解(鳥類)」を追加しました

きごさいBASE 投稿日:2024年4月8日 作成者: dvx223272024年4月10日

 東海大学教養学部の藤吉正明先生による「動物季語の科学的見解」の追加です。二回目は鳥類の73季語、

赤鬚(あかひげ) 鷽(うそ) 鵲の巣(かささぎのす) 河烏(かわがらす) 河原鶸(かわらひわ) 小綬鶏(こじゅけい) 鷺の巣(さぎのす) 雀の巣(すずめのす) 巣箱(すばこ) 燕の巣(つばめのす) 鴉の巣(からすのす) 鳩の巣(はとのす) 松毟(まつむしり) 山鳥(やまどり) 白鳥帰る(はくちょうかえる) 引鶴(ひきづる) 岩燕(いわつばめ) 山椒喰(さんしょうくい) 仙台虫喰(せんだいむしくい) 頬白(ほおじろ) 藪雨(やぶさめ) 青鷺(あおさぎ) 蒿雀(あおじ) 青葉木菟(あおばずく) 青鳩(あおばと) 赤翡翠(あかしょうびん) 赤腹(あかはら) 鯵刺(あじさし) 雨燕(あまつばめ) 桑扈(いかる) 磯鵯(いそひよどり) 岩雲雀(いわひばり) 海猫(うみねこ) 蝦夷虫喰(えぞむしくい) 柄長(えなが) 大瑠璃(おおるり) 郭公(かっこう) 雷鴫(かみなりしぎ) 河鵜(かわう) 黄鶲(きびたき) 黒鶫(くろつぐみ) 鳧(けり) 小雀(こがら) 五十雀(ごじゅうから) 駒鳥(こまどり) 小瑠璃(こるり) 笹五位(ささごい) 鮫鶲(さめびたき) 三光鳥(さんこうちょう) 四十雀(しじゅうから) 雪加(せつか) 玉鴫(たましぎ) 筒鳥(つつどり) 虎鶫(とらつぐみ) 野鶲(のびたき) 鷭(ばん) 日雀(ひがら) 便追(びんずい) 仏法僧(ぶっぽうそう) 頬赤(ほおあか) 星鴉(ほしがらす) 眉白(まみじろ) 水薙鳥(みずなぎどり) 溝五位(みぞごい) 眼白(めじろ) 眼細(めぼそ) 山雀(やまがら) 山翡翠(やませみ) 葭五位(よしごい) 夜鷹(よたか) 雷鳥(らいちょう) 瑠璃鶲(るりびたき) 巣立鳥(すだちどり)

 以上季語の解説が新しくなりました。ぜひ、お読みください。今後は、鳥類の追加や魚類、爬虫類、昆虫などについての改訂も予定しております。
 なお、今回の改訂にあたって引用及び参考にした文献は以下の通りです。

引用及び参考文献
・叶内拓哉・浜口哲一(二〇〇八)新装版山渓フィールドブックス十五 野鳥、山と渓谷社
・小林桂助(一九九六)エコロン自然シリーズ 鳥、保育社
・小宮輝之(二〇一〇)増補改訂フィールドベスト図鑑 日本の野鳥、学研教育出版
・高野伸二(二〇一五)増補改訂新版 フィールドガイド 日本の野鳥、日本野鳥の会
・高野伸二(一九九六)山渓カラー名鑑 日本の野鳥、山と渓谷社
・戸塚学・箕輪義隆(二〇一二)身近な野鳥観察図鑑、文一総合出版
・中村登流・中村雅彦(一九九五)原色日本野鳥成体図鑑(水鳥編)、保育社
・中村登流・中村雅彦(一九九五)原色日本野鳥成体図鑑(陸鳥編)、保育社
・松田道生(二〇〇八)日本の野鳥図鑑、ナツメ社
・本山賢司・上田恵介(二〇〇六)鳥類図鑑、東京書籍

きごさい 第十六号が出ました

きごさいBASE 投稿日:2024年3月27日 作成者: dvx223272024年4月2日

特集 AI俳句の現在
AI&人間 合同誌上句会           きごさい編集部編
誌上座談会AI句作を語る           きごさい編集部編
AI一茶くんの仕組み             山下倫央
考察人間はなぜ俳句を詠むのか         藤英樹

明治以降に生まれた季語            橋本直
牧野富太郎が名付けた身近な植物        藤吉正明
『新版角川俳句大歳時記』ここが変わった    高橋真樹子

連載 加藤楸邨×大岡信 対談④
検証 草田男の「楸邨氏への手紙」 構成・解説 西川遊歩

連載 末期的大衆社会をどう乗り越えるか⑤
俳句はネット社会を生き抜けるか        関根千方

HAIKU+(今何が問題か)
季語と暮らし                 谷口智行

きごさい+(講座+句会)
小倉百人一首 競技かるたの世界        ストーン睦美
台湾映画の世界「悲情城市」から多様性の台湾へ 林ひふみ
異国への憧れ、南蛮菓子あれこれ        中山圭子
季節をめぐる鳥の世界             樋口広芳

動物季語の科学的見解 鳥類(春・夏)     藤吉正明

「一月の川一月の谷の中」はなぜすばらしいのか 長谷川擢

第十二回きごさい全国小中学生俳句大会報告

第十三回 きごさい全国小中学生俳句大会 表彰式

きごさいBASE 投稿日:2024年3月20日 作成者: dvx223272024年3月20日

3月9日(土)都立清澄庭園内、大正記念館におきまして「第十三回きごさい全国小中学生俳句大会 表彰式」が行われました。
授賞式参加のために来場した皆さまが、清澄庭園の池を巡り、ご家族そろって笑顔で大正記念館に入ってこられ受付をなさる姿が印象的でした。保護者の方から「三月の青空と優しいひかりそして澄み切った空気、開放的なガラス張りの記念館とお庭、鮮やかな花と鳥たち」と表現された庭園はいつまでも見飽きない景色でした。
今回の「きごさい全国小中学生俳句大会」には、大賞、特選、入選、佳作、研究会賞、学校賞の表彰者約30名と、保護者約50名、合わせて80名を超える皆さまが、東京都内はもちろんのこと、大分県や山口県、また高知県や京都府など遠方からもお越しになりました。本俳句大会では、外国の日本人学校を含め、29都道府県132校から17,000名の応募があり、過去最高の応募数となりました。
表彰式では、壇上の受賞者が緊張しながらも、賞状を客席にご披露くださる場面も見られ、会場から盛んな拍手が送られておりました。

【大賞】
あせいっぱいぼくのからだであそんでる
土佐市立高岡第一小学校
五年 関 隆佑さん

髙田正子氏
【特選】
いますぐにはしりだしたいとかげかな
世田谷市立桜丘小学校
三年 濱﨑 葵さん

ドッカーンほえているんだ大花火
土佐市立高岡第一小学校
四年 中平琉輝矢さん

満月へ道がつながるはしの上
江東区立川南小学校
六年 伊藤 翔さん

長谷川櫂氏
【特選】
父がつくる雑煮の味は母の味
山口大学教育学部附属光中学校
三年 久保めぐみさん

終戦日影も子どももみな消えた
大分市立大在小学校
五年 松尾彩希さん

あせいっぱいぼくのからだであそんでる
土佐市立高岡第一小学校
五年 関 隆佑さん

小山正見氏
【特選】
夏祭りみこし空まで持ち上げる
静岡学園中学校
三年 宮村 圭さん

マイルール白線たどる春の道
足立区立島根小学校
五年 杉瀬 葵さん

青空を貸し切りにして運動会
江東区立明野小学校
六年 安井彬人さん

その後行われた講評会では、長谷川櫂氏、髙田正子氏、小山正見氏、飛岡光枝氏、上澤篤志氏による鑑賞講評とともに、受賞者自身の飾らない生の思いも語られ、受賞作品をより深く多面的に味わう機会になりました。
表彰式では、副賞として、書道家であり、日本学校俳句研究会理事の白川鼎心氏が受賞句を揮毫くださった色紙(大賞)、きごさい代表の俳人、長谷川櫂氏著の『四季のうた』(中公文庫)、『こども歳時記』(小学館)、開明の墨汁が贈られました。
昨年にひき続き、オンライン(リアルタイム)での表彰式参加者も募ったところ、7名の児童生徒とそのご家族さまからご希望があり、美しい画面のモニターをとおして、賞状を受け取ったり、コメントを返したりする場面も見られ、モニター越しに全体写真に参加するなど、工夫の活かされた式となりました。
今回から、読売新聞社東京本社のご後援をいただけるようになりました。「きごさい全国小中学生俳句大会」の重要性が理解され、子どもたちの感性を磨く場がますます広がっていきますこと、大変有り難く存じます。ご協賛くださっている(株)小学館、開明(株)をはじめ、ご協力くださった清澄庭園、江東区芭蕉記念館等、関係するすべての皆さまが全面的にご支援くださり、おかげさまで会場に集ったすべての方々が潤いのある、豊かな時間をともに味わう表彰式となりました。この場をお借りし深く感謝申し上げます。

5/12(日) ズームできごさい+ 「韓国の四季と生活」

きごさいBASE 投稿日:2024年3月17日 作成者: dvx223272024年5月12日

さまざまなジャンルから講師をお迎えして季節や文化に関わるお話をお聞きする「きごさい+」
今回の講師は、俳人で長きにわたってソウル俳句会を牽引されてきた山口禮子さんです。
どうぞぜひご参加ください。
講演の後、句会もあります。(選者:山口禮子、趙栄順、長谷川櫂)

日 時 : 2024年5月12日(日) 13:30~16:00
演 題 : 韓国の四季と生活 ―ソウル俳句会の俳句から―
講 師 : 山口 禮子 (やまぐち・れいこ)

プロフィール:
1950年、東京都葛飾区生まれ。慶應義塾大学 文学部卒。史学科民族学考古学専。
1991年渡韓、延世大学、梨花大学語学堂にて韓国語、成均館大学大学院にて考古学を習得。1995年4月、ソウル俳句会入会。1996年よりソウルガーデンホテルに勤務。
2006年より2023年までソウル俳句会主宰。現在、同句会顧問。
『歳時記学 第3号』、『半島 山口禮子句集』に収録した「覚書 韓国歳時記」では50余の韓国季語を紹介している。

講師からのひと言
ソウル俳句会は1993年3月、旭化成のソウル駐在員だった故戸津真乎人氏の声掛けで日韓の会員10名ほどの日韓友好の草の根交流をめざす同好会として発足した。師もなく派もなく、ただ地縁だけで結ばれた俳句会ではあるが、31年間の時と5代の主宰を経て、現在はソウルの本部、および帰国者によるなにわ支部、東京支部と合わせて81名を擁し、本部では月2回の定例句会、各支部では不定期に句会を行っている。
臨場感を定法の一つとする俳句。これまでに詠まれた数千、いや数万になろうかという莫大な句に、韓国ならではの風景、生活、季節感の描かれたものを拾ってみることは可能だろう。それらの句を通して、韓国への理解が深められたらと思う。

2024年5月12日(日) 13:30~16:00  (13:15~ Zoom入室開始)
13:30~14:45  講演
14:50~15:20  句会(選句発表)
15:20~16:00  趙栄順(きごさい編集委員)との対談、質疑応答

第13回きごさい全国小中学生俳句大会

きごさいBASE 投稿日:2024年3月1日 作成者: dvx223272024年3月17日


【大賞】
あせいっぱいぼくのからだであそんでる
土佐市立高岡第一小学校 五年 関 隆佑

【学校賞】
土佐市立高岡第一小学校
山口大学教育学部附属光中学校

【奨励賞】
江東区立第二亀戸小学校
大分市立大在小学校

小山正見 選

【特 選】
夏祭りみこし空まで持ち上げる 
静岡学園中学校 三年 宮村 圭
コロナ感染が下火になり、三年ぶりのお祭りが弾けるように各地で行われた。神輿が町をうねり、威勢のよいかけ声が響いた。そこには日常が戻って来た喜びが込められている。

マイルール白線たどる春の道 足立区立島根小学校 五年 杉瀬 葵
学校の登下校、石を蹴り続けて歩いたり、線の上から外れないように歩いたり・・・一人でそんな遊びをしたことがある。自分だけの「マイルール」を決めた遊びなのだ。こどもはすべてを遊びにしてしまう天才だ。

青空を貸し切りにして運動会 江東区立有明小学校 六年 安井彬人
運動会の天候だけは、先生方や保護者の力ではどうにもならない。ところが、当日は素晴らしい秋晴れ。「やった!」と叫びたくなるほどだ。地上では素敵な演技が繰り広げられたに違いない。

【入 選】
花束のようにかかえる稲の束 大分市立大在小学校 五年 白井海翔
咲きたての桜のような十二歳 豊島区立西池袋中学校 三年 石山結華
風船が空に吸われて終戦日 大分市立大在小学校 五年 秦野琥羽
しんしんと雪の音色がふりつもる 京都女子大学附属小学校 三年 下園紗代
あせいっぱいぼくのからだであそんでる 土佐市立高岡第一小学校 五年 関 隆佑
点Pに点Q追加小鳥来る 仙台市立郡山中学校 三年 石川寿々
終戦日影も子どももみな消えた 大分市立大在小学校 五年 松尾彩希
うらがえるセミのちかくをおそるおそる 千代田区立九段中等教育学校 二年 久木元秀至
新米の一つ一つの物語 江東区立扇橋小学校 六年 越島優奈
ぱくぱくときんぎょものいうことがある 土佐市立高岡第一小学校 二年 田中詩乃梨

【佳 作】
あきのはれジャングルジムにぶらさがる 江東区立数矢小学校 一年 横澤吾郎
夕立といっしょに帰る午後三時 江東区立第一亀戸小学校 五年 瀧澤彩妃
まく種は亀戸大根秋日和 江東区立第二亀戸小学校 四年 川﨑佑馬
青森で最初は雪をかく仕事 江東区立浅間竪川小学校 四年 清野太翔
せみとったぼくよりよろこぶおじいちゃん 京都女子大学附属小学校 二年 浮村聡一
夜食とる母の愛情重すぎる 仙台市立郡山中学校 三年 黒田春美
髪洗ふ今日の失敗流れゆく 鹿児島市立坂元中学校 二年 住本愛恵
秋驟雨ノイズ混じりのレスポール 大阪市立都島中学校 三年 甲田莉久
耕せば土を跳び越す雨蛙 お茶の水女子大学附属中学校 三年 由宇弘賢
東照宮博識になる秋うらら 江戸川区立北小岩小学校 六年 吉羽悠人
どんぐりのサイズのちがうぼうしかな 江東区立第二亀戸小学校 四年 戸倉煌希
アンカーは君に任せた赤とんぼ 江東区立数矢小学校 五年 藤本亮馬
るすばんの庭にゆれてる秋ざくら 足立区立西新井小学校 三年 加藤 絢
秋の空まがってにげるおにごっこ 葛飾区立新宿小学校 四年 手嶋琉斗
秋の空十秒まったらかげおくり 葛飾区立新宿小学校 四年 長野璃々

髙田正子 選

【特 選】
いますぐにはしりだしたいとかげかな 世田谷区立桜丘小学校 三年 濱﨑 葵
このとかげは、作者が自分を見ていることを知っているのでしょう。のどのあたりがドキドキと大きく動いています。つかまえようと手を伸ばしてきたら、さっと逃げるからな、と言わんばかりに小さな眼が動きます。とかげの身になって詠み切ったところが楽しい句です。

ドッカーンほえているんだ大花火 土佐市立高岡第一小学校 四年 中平琉輝矢
中止が続いていた花火大会が次々に再開された二〇二三年でした。河原や海辺へ出かけて、本物の打ち上げ花火を見上げた作者でしょう。テレビで観るのとは違ってすごい迫力です。全身でとらえた花火は猛獣のようにほえていました。「ほえる」が光る句です。

満月へ道がつながるはしの上 江東区立川南小学校 六年 伊藤 翔
作者は今どこかの橋を渡ろうとしています。真正面には大きな満月。月の光を受けて橋は白い道のようです。このまままっすぐ渡っていくと月まで行けるかもしれない。そんな気分になったのでしょう。「道がつながる」と言い切ったところがすばらしいです。

【入 選】

キューピーのあたまみたいなミニトマト江東区立豊洲北小学校 二年 村上杏那
春の朝鳥がきれいにしゃべってる江東区立東砂小学校 六年 髙橋想來
夏祭りみこし空まで持ち上げる静岡学園中学校 三年 宮村 圭
天の川空が遠くてつかめない鹿児島市立坂元中学校 三年 子島悠飛
赤いみちたどるように林檎剥く学習院女子中等科 三年 西村理子
ひまわりはアップルパイのかおみたい土佐市立高岡第一小学校 三年 野瀬悠吏
ばあちゃんち跣であるく木の廊下山口大学教育学部附属光中学校 三年 長沼美波
のぼりぼうたかくのぼれたあきのそら江東区立第一亀戸小学校 一年 田中奏多
青空を貸し切りにして運動会江東区立有明小学校 六年 安井彬人
こおろぎは静かになったら鳴いてくる江東区立東砂小学校 五年 川鍋彩羽

【佳 作】
風船が空に吸われて終戦日 大分市立大在小学校 五年 秦野琥羽
ベランダの手すりをはじく春の雨 町田市立南中学校 二年 山口花音
雨つぶは涙みたいにふって来る 南あわじ市立志知小学校 三年 船本紗世
庭先のあじさい一輪雨のにおい 鹿児島市立坂元中学校 一年 小野由莉子
はくちょうがぐんぐんぐんとおよいでる 美濃加茂市立太田小学校 二年 今井蒼音
ばあちゃんにやきいもおいしくやけました 高岡市立伏木小学校 四年 井菜々海
秋探し寂しい顔のすべり台 学習院女子中等科 三年 皆川彩葉
ラムネ瓶滴る水に青い空 枚方市立小倉小学校 五年 山本宇架
青森で最初は雪をかく仕事 江東区立浅間堅川小学校 四年 清野太翔
藍色の額紫陽花と雨の色 山口大学教育学部附属光中学校 三年 梶本心咲
秋日和よそいきのふくなびかせる 江東区立豊洲北小学校 四年 別所和佳奈
こすもすがゆれるわらっているみたい 高岡市立伏木小学校 一年 今井 尊
弟が生意気になる夏休み 大分市立大在小学校 五年 太田美結
校ていに小さな風の九月かな 足立区立中川北小学校 五年 山地光星
カーテンのすきまの光春近し 江東区立豊洲北小学校 四年 満行悠衣

長谷川櫂 選

【特 選】
父がつくる雑煮の味は母の味山口大学教育学部附属光中学校 三年 久保めぐみ
お母さんのいない家族を想像した。雑煮もお父さんが作るのだが、お母さんが作っていた雑煮の味がする。どういう事情かわからないが、複雑な背景を表現している。たまたま、お父さんが雑煮を作っただけかもしれないが、それならそれで、また別の味わいがある。

終戦日影も子どももみな消えた大分市大在小学校 五年 松尾彩希
ウクライナやガザで大人たちが戦争をしている。そして誰よりも犠牲を強いられているのが、子どもたちという現実を前にして、子どもたちが戦争に関心をもつ、戦争という言葉を日常語として使う。それはしかたないことであるよりは、そうあるべきだろう。こんな時代、子どもの世界だけが楽園ではいられない。

あせいっぱいぼくのからだであそんでる土佐市立高岡第一小学校 五年 関 隆佑
身体中の汗の玉を遊んでいるととらえたところ。「ぼくのからだ」を遊び場にして。汗の玉一つ一つが命あるものに見えてくる。

【入 選】

いつもより兄弟でいる夏休み 大分市立大在小学校 五年 篠原奏太
けんかして心の中がうろこ雲 江東区立第二亀戸小学校 四年 中島颯希
鯉幟どこにもいけない受験生 玉城町立玉城中学校 三年 宮本徠翔
座禅して頭の中も雪景色 古河市立総和中学校 三年 小岩大和
何気ない親の一言稲光 玉城町立玉城中学校 三年 木村優峨
恐竜がたんじょうすれば夏がくる 都立立川国際中等教育学校附属小学校 二年 萩野 優
風にのる落ち葉は空のぼうけんか 江東区立第二亀戸小学校 一年 松坂美空
夜食とる母の愛情重すぎる 仙台市立郡山中学校 三年 黒田春美
せんぷうきいくないくなとくびをふる 西宮市立春風小学校 二年 安部穂乃香
び生物見ているつゆのけんびきょう 高岡市立伏木小学校 四年 阿久津結羽

【佳 作】
はざくらのはのかげわいわいおどってる 江東区立平久小学校 三年 松本歩花
大空をいろんな風で泳ぐ鯉 足立区立花畑第一小学校 六年 綱島汰一
口の中湯気ふく焼き芋活火山 江戸川区立南篠崎小学校 四年 柳沢悠斗
どんぐりのサイズがちがうぼうしかな 江東区立第二亀戸小学校 四年 戸倉煌希
夏舞台汗の量だけ変われるか 大阪市立都島中学校 三年 上江洲つばめ
ひがん花花びらおちてもえている 江東区立第一亀戸小学校 二年 三浦永都
サングラス外すと世界光りだす 麗澤中学校 三年  大滝友翔
終わりゆく中三の日々桜かな 浜松市立北部中学校 三年  古𣘺瑞稀
いますぐにはしりだしたいとかげかな 世田谷区立桜丘小学校 三年  濱﨑 葵
戦争だ我が我がと扇風機 玉城町立玉城中学校 三年 藤川廉真
画用紙にくっついているせみのから 江東区立第二亀戸小学校 三年 金指 蓮
夕立といっしょに帰る午後三時 江東区立第一亀戸小学校 五年 瀧澤彩妃
いやなこと全部ふきとぶせんぷうき 江東区立第二亀戸小学校 六年 青山孟生
初日だけ気合が入る夏休み 江東区立平久小学校 六年 西 篤輝
たいやきの少しとまどう一口め 仙台市立郡山中学校 三年 奥山詩音

日本学校俳句研究会が選ぶ二十句

バレンタイン余ったチョコと嘘をつく 山口大学教育学部附属光中学校 三年 山根温花
バレンタインデーに「本命」と言って渡すことができず、「余った」チョコと嘘をついてしまった。照れてくさい気持ちがとても伝わってきます。下の句の「嘘をつく」と表現したところに気持ちが集約されている一句です。

せんせいにあかちゃんできるあきのそら 江東区立豊洲北小学校 一年 太田真帆
大好きな先生に赤ちゃんが生まれると知り、嬉しいけれど、寂しい。秋の空のように晴れ渡っているけれど、同時に切なさを感じる。一言では表せない気持ちと、季語とが響き合っている句です。

夜食とる母の愛情重すぎる 仙台市立郡山中学校 三年 黒田春美
試験勉強をする作者に対して、お母さんが夜食を届けます。母の子を思う愛情と、いつの間にか成長している作者の母を思う微妙な心情との交錯が伝わってきます。

せみとったぼくよりよろこぶおじいちゃん 京都女子大学附属小学校 二年 浮村聡一
作者は祖父に蝉捕りの極意を学んだのでしょう。木に止まっている蝉をうまく捕獲できた喜びは格別なもの。自分より興奮している祖父とそれを見つめる作者。二人の関係がよく伝わってきます。

風船が空に吸われて終戦日 大分市立大在小学校 五年 秦野琥羽
風船は希望・平和な日常・人の命などの象徴でしょう。その風船が「空に吸われる」という表現に、戦争は終わったけれど、戦争によって大切なものをなくした喪失感や虚しさが伝わってきます。

かくれんぼトンボはぼくを見つけてる 徳島文理小学校 四年 中村健汰
かくれんぼをしている時のこと。鬼役の友だちは自分のことをまだ見つけていませんが、トンボとは静かに目が合っています。息をひそめて隠れている様子がよく表現されています。

引っぱるなふとんのとりあい二回戦 江戸川区立北小岩小学校 四年 内田花音
兄妹で布団の取り合いをしているのでしょうか。寒い時期は、布団がより恋しくなります。近くで寝ている家族と、ふとんを取り合う微笑ましい様子が想像できます。

弟が生意気になる夏休み 大分市立大在小学校 五年 太田美結
夏休みになり、弟と過ごす時間が長くなる作者。家で、旅先で、様々な場面で、弟の成長を感じます。「生意気になる」の表現に弟への複雑な気持ちが伝わる一句です。

五月雨弁慶眠る巌かな お茶の水女子大学附属中学校 三年 鈴木文華
修学旅行で平泉の中尊寺に行ったのでしょうか。弁慶の墓の前で歴史に思いを馳せている様子が目に浮かびます。「五月雨」の季語が弁慶を偲んでいるようです。

ばあちゃんち跣であるく木の廊下 山口大学教育学部附属光中学校 三年 長沼美波
おばあちゃんのお家には、昔ながらの木の廊下があるのでしょう。「跣」の足裏の木の感触。少しひんやりとした心地よい感触は、おばあちゃんの思い出と共にずっと心に残ることでしょう。

髪洗ふ今日の失敗流れゆく 鹿児島市立坂元中学校 二年 住本愛恵
「髪洗ふ」は元々夏の季語。かつては特別な行事でもあったそうです。高温多湿の日本では、特に気持ちがさっぱりします。失敗した悔しさや悲しさまでもシャワーで洗い流されていく様子がよく伝わります。

しかたなくおふろにはいるこどもの日 都立立川国際中等教育学校附属小学校 二年 AMGALAN BILIG
不思議な句です。楽しい一日でお風呂に入りたくないのか、菖蒲の香りは苦手だけど伝統だからしかたないのかなど、「しかたなく」の言葉で様々なことを想像させます。

いますぐにはしりだしたいとかげかな 世田谷区立桜丘小学校 三年 濱﨑 葵
このとかげは少し臆病なのか、それともまだ幼いのか。シュッと逃げることはしないけれども、すぐにも逃げたそう。作者は、とかげの様子をじっと見て、今のとかげの気持ちを読み取りました。

砂利道で日焼けしたうで祖母に貸す 江東区立平久小学校 六年 小松原彩
足元の悪い道を、祖母と一緒に歩いている。小さい頃は手を引かれていたのに、今は日に焼けた自分の腕が祖母を支えている。誇らしいような、照れくさいような夏の日のひとコマが見える句です。

蚊の声で夢の続きを逃したり お茶の水女子大学附属中学校 二年 杉本那瑠
もうすこし寝たいけど、蚊の羽音に邪魔されて、起こされてしまいました。折角素敵な夢を見ていたのに、続きを見られなくなってしまった残念な気持ちが素直に表されています。

父がつくる雑煮の味は母の味山 口大学教育学部附属光中学校 三年 久保めぐみ
ご両親仲睦まじく過ごしていた様子が目に浮かびます。父がつくるお雑煮は自然と母の味になっていたのでしょう。特別なお雑煮ですね。家族思いの優しいお父さん。心和む俳句です。

令和6年能登半島地震 見舞金のお願い

きごさいBASE 投稿日:2024年2月19日 作成者: dvx223272024年2月25日

石川県立輪島漆芸技術研修所
所 長 小森邦博

 日頃より当研修所の事業にご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。今回の地震の報道に、皆様さぞお心を痛めていらっしゃることと思います。私を含め職員、講師の先生方、研修生達も胸が張り裂けそうな思いです。

 地震以降、見舞金、寄付金に関するお問い合わせが数多く寄せられております。見舞金の受け付けについて、次のとおりご案内いたします。集まった見舞金は研修生の生活再建や道具購入等、有効に活用させていただきます。

1・見舞金額 任意
2・振込口座 北國銀行 七尾支店(ホッコクギンコウ ナナオシテン)普通 60859
口座名義 輪島漆研被災研修生見舞金(ワジマシッケンヒサイケンシュウセイミマイキン)

恋の俳句大賞(2023年後期)大賞は澤谷さん

きごさいBASE 投稿日:2024年2月18日 作成者: dvx223272024年2月25日

【大賞】
あの人の手紙よく燃ゆ寒昴     澤谷美咲
【作者のコメント】
負の気持ちで生み出した句が、このような形で返ってきて、とても嬉しいです。これで手紙も成仏したと思います。

☆村松二本 選
【特選】 
隠しとほせしかコートの襟をたて  小栗正子
失恋は僕の血となり肉となり    北村友一
あの人の手紙よく燃ゆ寒昴     澤谷美咲
【入選】 
冬薔薇枯れても薔薇でいたかった  井上秀子
初恋の大願成就初詣        髙橋基
きみの首筋ゆふぐれと檸檬の香   秋さやか
嘘を付く君の唇冬薔薇       円美々
友達に戻る時間の銅鑼が鳴る    松田早苗
きっかけを探るりんごの咀嚼音   足立有希
かささぎの橋のたもとで逢ひませう 鹿沼湖

☆趙栄順 選
【特選】 
デートは七時初漁は初みやげ    山下守
春待つや癌生還の妻に恋      岩田勇
君がそう言うなら春はクリームパン 八田昌代
【入選】 
革ジャンの右肩ばかり濡れて駅   げばげば
好きならば離してはだめ風船    城内幸江
ソーダ水愛も減っていくのかしら  矢入榮留
薫風の学食しずか初デート     折田祐美子
恋も手編みのセーターも解く夜   高津佳子

☆長谷川櫂 選
【特選】 
初恋のレモンソーダ注文中     小林寛久
晴れ予報のバレンタインデーららら 遠藤玲奈
雪こそは真冬の恋のキューピット  峯岸泰希
【入選】 
初恋は三寒四温のもどかしさ    石井秀一
春待つや癌生還の妻に恋      岩田勇
霜柱あなたザクザク恋の音     井上秀子
新しき出会いの春の片思い     紅紫あやめ
失恋を未だ知らざる虹なりき    田中目八
好きならば離してはだめ風船    城内幸江
レース編むやさしい恋の終わり方  綾竹あんどれ
あの人の手紙よく燃ゆ寒昴     澤谷美咲
りんご飴向こうとこっちより舐める 熊本芳郎
シクラメン十八からの想ひ人    益田信行

3/16(土) ズームできごさい+ 「心ときめく雛祭りの菓子」

きごさいBASE 投稿日:2024年1月6日 作成者: dvx223272025年9月25日

さまざまなジャンルから講師をお迎えして季節や文化に関わるお話をお聞きする「きごさい+」。
今回の講師は、きごさい+ではおなじみの虎屋文庫の中山圭子さん。

会場で開催の時は虎屋さんのご協力でお菓子付きの講座でしたが、今回もZoomを使ったオンライン開催のため残念ながらお菓子は配れません。講師の中山さんから「雛菓子とお茶を傍らにご参加いただけましたら幸いです。」とコメントをいただいております。
講演の後、句会もあります。(選者:中山圭子、長谷川櫂)

演 題 : 心ときめく雛祭りの菓子
講 師 : 中山 圭子(なかやま・けいこ)
プロフィール:
東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。四季折々の和菓子のデザインの面白さにひかれて、卒論に「和菓子の意匠」を選ぶ。
現在、和菓子製造販売の株式会社虎屋の資料室、虎屋文庫の主席研究員。
著作に『事典 和菓子の世界 増補改訂版』(岩波書店)、『江戸時代の和菓子デザイン』(ポプラ社)、『和菓子のほん』(福音館書店)など。
菱餅 (写真提供:虎屋文庫)

講師のひと言
3月3日は女子の健やかな成長を祝う雛祭り。愛らしい雛人形はもちろん、菱餅や雛あられほか、色とりどりの雛菓子が魅力的な、心ときめく行事です。今回は雛菓子の歴史や意匠などについてお話ししたいと思います。
3日を過ぎる開催になりますが旧暦で雛の節句を祝う地域もありますので、雛菓子とお茶を傍らに、楽しんでいただけましたら幸いです。

日 時:2024年3月16日(土)12:30~15:00  (12:15~ Zoom入室開始)
12:30~13:45  講演
13:50~14:20  句会(選句発表)
14:20~15:00  長谷川櫂(きごさい代表)との対談、質疑応答
今回はいつもより1時間早い12:30開始です。ご注意ください。

谷口智行さんのHAIKU+ 概要

きごさいBASE 投稿日:2023年11月26日 作成者: dvx223272023年11月26日

現在ご活躍中の俳人・俳句研究者をお迎えして、俳句の未来を考えるHAIKU+
第7回は、俳句会「運河」主宰の谷口智行さんをお迎えして、11/23オンラインで開催されました。
谷口智行さんから当日のご講演の概要をいただきましたのでご覧ください。

季語と暮らし
           谷口智行(運河・里)

僕は郷土史家でも歴史学者でもありません。熊野という地の一生活者です。人々との出会いや暮しの中から僕自身、日々「熊野」を学んでいます。
本講演では、そうした日常における四季の移ろい、生活の中に溶けこんだ「季語」の豊かな世界、風土の上に展開される暮しとその背景について、師や仲間の句を提示しながら拙論を述べてゆきたい。

新年
●歯固(はがため)
正月三箇日、鏡餅・猪・鹿・押鮎・大根・瓜などを食べる新年行事。
歯固にこは陳ものの猪の肉    茨木和生
●初うらら
正月の穏やかな好天に万象が輝くさま。
日の歌をうたふに海の初うらゝ  松瀬青々
年よりも若いと言はれ初麗    茨木和生
相伝の山当ての山初うらら      智行
●福(ふく)藁(わら)
正月の神を祀っている間、不浄を取り払うため家の門口に新しい藁を敷いたもの。「ふくさ藁」とも。
ふくさ藁敷きたる家も村になし  茨木和生
●井(せい)華(くわ)水(すい)
立春の日の早朝に初めて汲む水。後、元旦に汲むようになった。一年の邪気を除くとされる。若水。
固まりし筆先ほぐす井華水    畑下信子

春
●大逆忌(たいぎやくき)
一月二十四日。「大逆事件」で処刑された医師・大石誠之助の忌日。一九一〇(明治四十三)年、多数の社会主義者・無政府主義者が明治天皇暗殺計画の容疑者として逮捕。二十六名が大逆罪で起訴。翌年、幸徳秋水、大石誠之助ら十二名が処刑された事件。
渦巻けるうしほのけぶり大逆忌    智行
 大逆忌近し蒼天続きをり     中村盛春
●お灯(とう)祭(まつり)  子季語:上り子、火祭
立春を二日ほど過ぎた二月六日の夜、神倉神社で催行。

上り子の滑落リボン流るるやう    智行
隠国のこの闇にして火の祭    松根久雄
火となりて走る男やお燈祭    平松竈馬
●西ようず
ようずは雨催いの生ぬるい南風のこと。西から吹いてくるときは「西ようず」。近畿、中国、四国地方の言葉。
海底は沈木の森西ようず       智行
●後架(こうか)虻(あぶ)
ミズアブ科。体が細く黒色で腹に白紋がある。便所やごみ箱付近に見られ、幼虫は汚物を食する。便所蜂とも。
深吉野のこは珍しき後架虻    茨木和生
●酒(さか)星(ぼし)
獅子座の右下に三つ並んで見える星を酒屋の旗とみた中国名。李白の漢詩「月下独酌」の「天若し酒を愛さざれば酒星天に在らじ。地若し酒を愛さざれば地まさに酒泉なからん」で有名。
酒星をこれと示せる人をらず   茨木和生

閑話休題①
*甘(あま)潮(じほ)
海水の濃度が低くなること。特に伊勢湾の深くは甘潮になり、石蓴などが育ち、旨味があるという。
甘潮に育つ石蓴の旨みかな   石橋山野子
*付子(つけこ)
鶯や頰白などの鳴き声の良い鳥の傍に同類の鳥を付けておき、その音色を習わせること。また、その付けておく鳴き方の未熟な鳥をいう。
鳥籠の付子四代目日脚伸ぶ    山内節子
*坪枯(つぼが)れ
浮塵子などの生息密度が高い圃場が枯れること。
稲刈機坪枯れ区別せず進む    山口哲夫
*パッカー車
パッカー車はごみ収集車のこと。「詰め込む」を意味する「Pack」由来の和製英語である。 
短夜や銀座を走るパッカー車  大久保 樹
*ターレー車
ターレー車は円筒状の動力部が前方に付いた三輪の運搬車。
露しとど築地市場のターレー車 たなか 游

夏
●豆回(まめまは)し
鵤の別名。春から夏にかけて日本に渡来。木の実を口に含んで回しながら割る習性により、「豆転がし」「豆うまし」「豆割り」とも。
豆回し来鳴ける日差し若菜摘む  山内節子
●山(やま)虎魚(をこぜ)
「山虎魚」は細長くて珍しい煙管貝などを指すことが多い。海の神が山中のそれを欲しがると考え、漁民は呪物として尊んだ。本態は地域によってさまざま。
熊本県…山中の湿潤な沢にいる油(あ)身魚(ぶらめ)
高知県…山螺(やまにし)(山の田螺の意?)
岩手県…山野の湿地に棲息する細長い巻貝の一種
宮崎県…鹿の耳朶の割れて変化したもの。
鼬、蝮、毛虫などを指す場合もある。
山虎魚こんなところに隠れをる  芳野正王
●杜(と)仲(ちゆう)若葉(わかば)
杜仲はトチュウ目トチュウ科を構成する唯一の種。現在、中国原産の一種類しか存在しない。
恐竜期生き来し杜仲若葉かな   田中久幸
●毒(どく)瓶(びん)
昆虫採集に用いる容器。薬品を染み込ませた脱脂綿などとともに昆虫を入れ、あとで標本作成を行う。
少年が来る毒瓶を首に吊り    茨木和生
●飯(めし)笊(ざる)
竹で編んだ飯櫃のこと。飯籠。夏は飯が饐えやすいので風通しを良くしておく必要がある。
飯笊や昏き水屋の夕の風     木村蝸牛
●集(あつ)め汁(じる)
端午の節句に食す汁物。邪気を払う。大根、牛蒡、芋、豆腐、竹の子、干魚などを一緒に煮込み、味噌汁またはすまし汁にしたもの。
夕厨冷めたる集め汁啜る     木村蝸牛
●小いとゞ忌(白紙忌(はくしき))
平松小いとゞは大正五年生まれ。昭和十九年六月七日逝去。享年二十七。新宮市出身。父・平松竈馬(「熊野」主宰)の影響の下、高濱虛子に師事、時にユーモアを交え、繊細で家庭的な温もりを持つ作風。京大法学部進学後は京大ホトトギス会を牽引。戦争で繰り上げ卒業後出兵、中国河南省で敵軍の銃弾に斃れた。
紙白く書き遺すべき手あたゝむ  小いとゞ
の作品は出兵に際しての遺書とも取れ、命日は「白紙忌」と名付けられた。戦地ではこう詠んだ。
緑蔭より銃眼嚇と吾を狙ふ    小いとゞ
弟・故平松三平氏(元「かつらぎ」同人)の庭には、
水仙黄母に似し妻もたまほし   小いとゞ
の句碑がある。
白紙忌や荒れまどひせる波の音    智行
小いとゞのかの緑蔭と違へども
●晒(さらし)鯨(くぢら)
鯨の尾羽毛や皮を薄く切り、熱湯をかけて脂肪分を除き、冷水に晒したもの。
晒鯨ちちははが居て夫が居て   松井トシ
●山あげ・はりか山
栃木県那須烏山市の夏祭。日本一の移動野外歌舞伎。「山揚げ」の「山」は「はりか山」のことで、網代状に竹を組んだ木枠に烏山特産の和紙を貼ったもの。
平畑静塔は昭和五十一年「野州烏山夏祭」で、
  山揚にまことの雲も道具立     静塔
として句集『漁歌』に採りあげ、「山あげ」を初めて夏祭の一種、季語として詠んだ。後に(季語にならないことに気づき)、昭和五十六年には季語を別に入れて句集『矢素』に発表。
山揚にかみなりは須佐之男の声   静塔
 驟雨もろともはりか山たたみけり 本郷をさむ
柝を入れて山揚げの夏はじまれり 
●海亀(うみがめ)
交換す紀の海亀と猪を        智行
●群青忌(ぐんじやうき)
水原秋櫻子の忌日、七月十七日。「滝落ちて群青世界とどろけり 秋櫻子」から。
群青忌那智火祭の余韻あり    松山睦子

閑話休題②
*洞(うろ)
槁木の洞雷鳴をとよもせる      智行
*焼け石・鳴沢
焼け石は火に焼いた石。鳴沢は激流や落石で鳴動する渓谷。
焼け岩の鳴沢なせる山の火事     智行
*墓嫁入り
味噌搗いて墓嫁入りはせぬといふ   智行
*皆地(みなち)笠(がさ)
和歌山県知事指定の伝統工芸品。 源平の戦に敗れ、熊野に隠れ住んだ平家の公達は紀州の良質の檜材を使った笠を編み出し、これが熊野詣の人々に愛用された。身分の高低に関係なく広く愛用されたため「貴賎(きせん)笠(ぼ)」とも称される。
皆地笠土用隠れの鮎を追ふ    松山睦子

秋
●餞暑(せんしよ)
餞(はなむけ)の暑さ。残暑、残る暑さ、秋暑し、秋暑。
六波羅へ餞暑の町を抜け来たる  塩見道子
●芋(いも)水車(すいしや)
水車式芋洗い器。小型の水車の中に入れた芋を、川や水路の岸に軸を渡した水車を回す。
大川に芋水車掛け見せ呉れし  大久保和子
●田(た)五(うこ)加(ぎ)
キク科の一年草。田や畔、水田、湿地などに生える。丈は一m近くにも及ぶ。筒状花の黄色の花を枝先につける。実は扁平で二本のトゲを持ち歯のような形をしている。
九体寺の田五加の付き易きこと  矢野典子
●施餓鬼(せがき)幡(ばた)
施餓鬼の法会で使われる「緑・黄・赤・白・紫」の五色の幡。「幡」は旗、色紙。五如来の御名が記され、その力により心身が清められ、餓鬼道への恐怖が除かれるとした。
施餓鬼幡外し忘れて寺眠る    杉山 睦
●十七夜(じふしちや)
立待月。旧暦八月十七日の月、また新月から十七日目の月。月が現れるのは日没から一時間四十分後。
機首の灯や夜戸出に待てる十七夜 吉川美登里
●小田刈(をだかり)月(づき)
陰暦九月の異称。田の稲を刈りとる月の意。
神輿行く小田刈月の畦踏みて   松村幸代
●臀呫(となめ)の蜻蛉(とんぼ)
「臀呫」は蜻蛉の雌雄が交尾しながら輪になって飛ぶ様。「臀」は「おしり」「(物の)底」の意。「呫」の音読みは「チョウ・ショウ」、意味は「すする」「なめる」「ささやく」「はなす・しゃべる」。
血洗池に臀呫のとんぼ冬ぬくし 宇田多香子
●鹿(しか)
牡鹿(をが)の角月の光をかへしけり     智行
恋の牡鹿角の股数鳴くといふ
ぞんぶんに楤の芽喰うて角落す
●星(ほし)糞(くそ)
 ふんだんに星糞浴びて秋津島     智行
●健次(けんじ)の忌
小説家。昭和二十一年生まれ。平成四年八月十二日没。享年四十六。和歌山県新宮市生まれ。新宿でのフーテン生活の後、羽田空港などで肉体労働に従事しながら作家修行。昭和五十一年『岬』で第七十四回芥川賞を受賞。紀伊半島を舞台にした数々の小説を描き、独特の土着的な作品世界を作り上げた。
新宮をぐるぐる回り健次の忌     智行
健次忌の新宮高校後輩われ
かの路地を知る人なけん健次の忌

冬
●寝(ね)べら
瀬戸内海のべらは海水温度が下がると砂に籠って越冬する。冬季は夜間に驚くほど潮が干く。「寝べら獲り」は砂に籠っているべらを鍬で搔き出して採取する。
火を点けて砂を搔きをる寝べら獲り 芳野正王
●叩(たた)き網(あみ)漁(れふ)
福井県若狭町三方(みかた)湖(こ)で四百年以上続く伝統の網漁。「かち網漁」。冬、青竹で水面を叩いて湖底に潜む魚(主に鯉や鮒)を驚かせ、仕掛けた刺網に追い込む。
若州のたたき網漁寒に入る    勝山純二
●鱶晒(ふかさらし)
鱶(=鮫)の刺身を熱湯に通して冷水に晒したもの。鱶さらし食べて不器男を偲びけり 福田とも子
●鮫(さめ)膾(なます)・花の内
秋から冬が旬の味覚。正月や人の集まる席で食べる。青森県などの郷土料理。
花の内なるみちのくの鮫膾    松村富雄
●雪ずり
「雪垂り」「垂り雪」は枝からくずれ落ちる雪。屋根からどどどっと落ちるのは「雪ずり」。
どどどどと落つ雪ずりの二階より 西垣冨紀子
●帯解(おびとき)
十一月十五日、幼児の着物の付紐を取り、初めて帯を締める祝いの儀式。帯(おび)直(なほし)・紐解・紐直・紐落などの子季語がある。吉方に向けて子を立たせ、晴着に帯を結ぶ。氏神に詣り、親類などを招いて祝い膳をする。
帯解の昼の電車をはなやかに   福嶋 保
●干(ほし)秋刀魚(さんま)
鼻先に凍る血しづく干秋刀魚     智行
●干鱓(ほしうつぼ)
干うつぼ一夜に肛門(アヌス)開きけり     智行
●辰巳(たつみ)正月(しやうぐわつ)
新仏(あらぼとけ・しんぼとけ・にいぼとけ)を偲ぶ師走行事。十二月の辰の日の深夜から巳の日、または巳の日から午の日にかけて行う。この風習は四国、瀬戸内海の島々、とりわけ愛媛県の東予・中予地方に色濃く残っている。
はらからの辰巳正月餅配る    山田悦子

* * * * * * * *

季重なりについて
四季の移ろいの中で、ありのままの情景を写し、それを詠み込めば、季が重なることは当然有り得る。季重なりは「移ろいの妙」でもあり、決して不可侵の法則ではない。確かに、無思慮な季重なりは避けねばならないし、十七音しかない詩型に季重なりは勿体ない。 
僕自身も季重なりを避ける工夫と努力をしている。しかしそのことだけに拘っていては、却って句が痩せてしまうこともある。無理やり一つの季語で詠むと、中身がスカスカになる場合もある。それを句の余白とは言わないだろうし、読み手の想像力がないとも言えない。
山あげについて
山あげは国の重要無形民俗文化財、ユネスコ無形遺産となっている。すでに国や世界が認めているということだ。平畑静塔、黒田杏子両氏も山揚げが夏の季語に定着することを望まれ、かねてより茨木和生「運河」名誉主宰もそのご意向であった。
「那須烏山市・山あげ俳句全国大会」の実行委員長・鈴木美江子さんの熱意に対し、長谷川櫂氏は「気長にたゆまず」と励まされ、「但し季重なりでは、歳時記に採りあげ難い」と話された。その通りだと思う。山あげを夏の独立季語として扱うなら、「他の季語は一切入れない」という覚悟が必要となってくる。現在はその移行期である。佳句を生み続けるしかない。

熊野について
熊野三山の聖地の興りは熊野川流域にある。上流の本宮と河口の速玉においてそれぞれ川の脅威を鎮める役割を果していたことが熊野信仰の出発点であり、自然への畏れがすべての始まりと言える。
熊野三山が一体化したのは平安時代末期の十一世紀頃であって、神々の時代から熊野三山があり、当初より三山が形成されていたとするのは歴史的事実と異なる。
六世紀に伝来した仏教が日本に普及していく過程で、次第に神道との融和が図られてゆく。その先駆けは奈良時代の役行者を開祖とする「修験道」である。
森羅万象に生命や神霊が宿るとする「アニミズム」と日本古来の「山岳信仰」が習合し、さらに中国の陰陽道、道教とも結びついた。修験道とは、自然との一体化による即身成仏を重視する日本独自の宗教、「日本仏教の一派」と定義付けられる。
聖地も時代とともに変遷してきた。
当初人々が徒歩で聖地を訪れるには、明日香の東に位置する多武(とうの)峰(みね)がせいぜいであり、吉野や熊野は最初から聖地ではなかった。聖地の変遷は、多武峰→吉野→熊野といった流れである。
交通手段のなかった当時、明日香の都人にとって吉野・熊野は地理的にも空間的にも彼らが認識できる範囲を超えていた。ことに「熊野」は都からは想像を絶する最遠の地であった。やがて貴人や庶民が、癒しと再生を求め熊野をめざしたが、熊野に暮す人々が癒されてきたわけではない。
 長谷川櫂氏が対談の最後で「地の匂いのする講演でした」と仰って下さった。熊野では「地の匂い」と「血の匂い」は同義であることを再認識した。

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