恋の俳句大賞(2022年後期)は高津佳子さん
【大賞】
あきらめなさい金魚がささやいた恋 高津佳子
【受賞者の略歴とコメント】
<略歴>
遡ること高校2年生の現国の授業でした。先生が俳句の世界の面白さを話してくださり、私の俳句との出会うきっかけとなりました。それ以降俳句は、季語を入れるのを忘れて忘れたことも気付かないといったスタートでしたが、好きだったんですね。途中仕事や子育てに追われていた時期でも、俳句を細々と作っていました。20代の頃に俵万智さんの「サラダ記念日」に衝撃をうけ「恋の句」を意識するようになりました。それから長い月日が流れましたが数年前、季語を探している時にきごさい歳時記で調べたことが、この恋の句大賞に応募するきっかけとなりました。現在はリモートで仕事をしている夫と2歳の猫と生活しています。
<コメント>
恋の悩みを飼っている金魚に日々聞かせていた女性。金魚は何を聞かされてもひょうひょうとゆったりと泳いでいる。意中の人とは結ばれることはないと悟ったある日、金魚のパクパクとした口が「あきらめなさい」とささやいているように見えた。そんな金魚と女性のユーモラスで可愛らしい様子を詠んでみました。
☆村松二本 選
【特選】
うららかや調子外れのきみのうた 綾竹あんどれ
道ならぬ恋を弔う花野かな 池谷勝利
【入選】
聖樹の灯あなたは白い嘘をつく げばげば
老の恋皺の谷間の寒椿 教野道雄
あきらめなさい金魚がささやいた恋 高津佳子
レモンスカツシユそれから新しい恋も 田中目八
狼になれないオレはにゃーと鳴く 千葉文智
☆趙栄順 選
【特選】
あきらめなさい金魚がささやいた恋 高津佳子
生れたての恋やマフラーきつく巻く 山田蹴人
流れ星見てゐる君を見てをりぬ 井出久美子
【入選】
ぶらんこの止まれば君に伝えやう 田中目八
ライオンの像と君待つ聖夜かな 矢作 輝
雑踏に君をみつけてクリスマス 倉森信吉
秋夕焼け明日また逢えるさようなら 大野 喬
小春日やシチューとろとろ恋してる 城内幸江
冬木立抜けてふたりの通学路 森 佳月
☆長谷川櫂 選
【特選】
アイロンで伸ばす初恋秋麗 伊庭直子
あきらめなさい金魚がささやいた恋 高津佳子
観覧車二人の月の沈みゆく 十音
恋終へし人へぶらんこ貸出中 げばげば
【入選】
私のキューピッドになれ雪礫 村上ヤチ代
春立つや口では勝てぬ恋女房 川辺酸模
百歳になつても君とバレンタイン 石川桃瑪
風船の割れない距離を保つ恋 澤田 紫
忘れ方教えて消えろシャボン玉 吉田里香
狼になれないオレはにゃーと鳴く 千葉文智