恋の俳句大賞(2023年前期)大賞は該当作なし
☆村松二本 選
【特選】
蛤や君の心を開きたい 相沢はつみ
「蛤や」という詠嘆が斬新。
蚊帳吊つて恋の日暮となりにけり 武田百合
「恋の日暮」が艶めかしい。
【入選】
飛花落花繋ぎしこの手離すまじ 岡山小鞠
呼び捨てがくすぐったくて小鳥くる 綾竹あんどれ
門限を破るふたりの熱帯夜 矢作輝
手花火の玉の震へる別れかな 山田蹴人
サンダルを二足並べて由比ヶ浜 彩香
このままでいいのと揺れる水中花 星影りこ
☆趙栄順 選
【特選】
好き過ぎて憎らしくなるかき氷 たいらんど風人
愛憎は裏表の恋。
会いたいって私風邪ひいたって君 くぅ
本当は彼の愛が醒めているのを知っている私。
雪の中から恋一つ蕗の薹 武田百合
初々しい恋がひとつ生まれる。
きみと解く連立方程式夕立 澤田 紫
これからの恋のゆくえを解くような方程式、夕立は突然来る。
死ぬる日もきみのとなりに大昼寝 川辺酸模
究極の愛のかたちですね。
恋の字の心ぐらぐら揺れて春 酒井春棋
春なのに恋心が激しく揺れる。
【入選】
お揃いの白のネイルや夏の海 小西美里
熱燗で 娘は父の 恋を知り 河上輝久
雪玉を緩く結んで追いかける 熊本芳郎
古希過ぎて二人揃ひのアロハシャツ 川辺酸模
呼び捨てがくすぐったくて小鳥くる 綾竹あんどれ
図書室の席にぬくもりヒヤシンス げばげば
あはよくばあなたのことも蛍狩 石村まい
☆長谷川櫂 選
【特選】
ときどきは妻との恋も土用干 川辺酸模
恋の土用干。この余裕が笑いを生む。相手もそう考えてますよ。
【入選】
孫連れた君と今夜は金魚釣 益田信行
ひなあられ(恋の数だけ食べてよい) 深谷健
ビールって苦いだけじゃん夏の恋 GONZA
私の恋いや私たちの恋晩夏 益田信行
愛の告白どこにでもある稲荷寿司 鍬塚聰子
マスクの上の瞳に恋する春 後藤大
あはよくばあなたのことも蛍狩 石村まい
サングラスかけて目の合う二人かな 永井和子
唇を封づる春の人さし指 長谷川淑子
雷来たり夕立来たり恋来たり 田中目八
春の闇恋は盲目金平糖 安藤亮
桜散るあなたを偲ぶオムライス 遊語明人