恋の俳句大賞(2024年前期)大賞は田中さん
【大賞】
白息のあふるるたつたひと言に 田中目八
【作者のコメント】
普段恋の句を詠むことはないのですけれど、ラブコメや切ない話が好きで『恋の俳句大賞』を知ってから毎回応募し続けていました。折しも誕生日を迎えて友人たちにお祝いしてもらった翌日、大賞の連絡にプレゼントをいただいた心持ちです。これからも恋の句を追いかけてゆきたいと思います。ありがとうございました。
【選評 趙栄順】
大賞受賞,おめでとうございます。彼,彼女への熱い思いは,白い息となってあふれる。そして思いは,たったひと言に結ばれる。たったひと言,何と言ったか。それは,それぞれの読み手の想像に任される。想像によって詠まれ,想像によって読まれる。短詩文芸の理想型。
☆村松二本 選
【特選】
サルビアをくわえるごとき愛撫かな 箔塔落
堕ちてゆく覚悟を決める花火かな 益田信行
【入選】
あの人が灰になるまで春の夢 折田祐美子
蛍の夜このままゆけばゆきどまり 三上悦子
かみなりに奪はれまいと抱きしめる 田中目八
君のへそ鍵穴みたい夜のプール げばげば
ラブレターひと晩冷やす冷蔵庫 八田昌代
☆趙栄順 選
【特選】
結婚をしようか君と豆ごはん 綾竹あんどれ
夏、君を冷凍したいぐらい好き 深谷健
初浴衣君になるまで君を待つ 城内幸江
恋をして体浮きたる柚湯かな 綾竹あんどれ
白息のあふるるたつたひと言に 田中目八
染まりたく染まりたくなく白木槿 春海のたり
【入選】
雨の日の蜜豆恋は実りそう 矢作輝
曼殊沙華悪い男と判りつつ 若林明良
駈けてくるバレンタインの夜の君 加々美登
恋に落ち恋に溺れる夏休み 山川成久
最後の恋だよ飛び込みの大飛沫 蓮井理久
もう一度君にふられてみるビール 綾竹あんどれ
☆長谷川櫂 選
【特選】
玉の汗引くを待たずに告げにけり 田中目八
ケンカしてはなれて同じ街に虹 悠雲憂季
初恋の真っ最中の受験かな 森 佳蓮
【入選】
日焼けした腕と寝癖とあと全部 げばげば
風花が君の睫毛にふれて恋 綾竹あんどれ
君といた夏よ沈まぬ太陽よ 江川ゆみ
君のへそ鍵穴みたい夜のプール げばげば
包丁も悲恋の証夏芝居 貴田雄介
ラブレターひと晩冷やす冷蔵庫 八田昌代