恋の俳句大賞(2017年後期)は山中すみえさんの次の句に決まりました。中山さんにはイニシャル入り銀製ペーパーナイフ(CHRISTOFLE)を贈呈します。
【大賞】
君とゆく君のふるさと山桜 山中すみえ
《作者のコメント》桜を心待ちにする頃になると思い浮かぶ桜がいくつかあり、その中の一つに信州の山桜があります。四月も末、山道のカーブを曲がるとダム湖のほとりに一本の山桜が見えてきます。そして、その先にはまだ雪に被われた真白の御嶽山が現れます。御嶽の麓の村にある忘れられない山桜を心に浮かべて一句にしました。
☆趙栄順選
【特選】
君とゆく君のふるさと山桜 山中すみえ
*桜咲くふるさとに行けば幼い日の君に逢える。そして二人の将来も見える。
君の目の奥の宇宙に気づく夏 橋本朝
*恋をしても人は一人。君を一個の人間として尊重する。
恋といふ重荷おろして蟇 野上卓
*一抹の寂しさと安堵と。
初弓の的ははるけき君の胸 佐々木まき
*まだ始まらない恋。初々しくも切ない思い。
毛糸編む恋知り初めし娘かな 丸亀葉七子
*思春期の娘を見るお父さん?それともお母さんかな?はらはらしながらも温かいまなざし。
【入選】
初めての恋に悴む二人かな 川辺酸模
初詣恋人がまだできません 小島寿々
初雪や恋とも知らず消えました 加藤正子
春ショール肩に君の手あるような 加藤正子
野を駆けて君を攫ひにゆく四月 光畑勝弘
星冴ゆる地球にふたり観覧車 川辺酸模
一人過ごす 恋は休みのクリスマス 加々美 登
日向ぼこようやく君と打ち解けた 横溝麻志穂
うかうかと恋に落ちたる海鼠かな 川辺酸模
恋ひとつ跳ね越えてゆく白兎 佐々木健一
☆長谷川櫂選
【特選】
珈琲をくるくる君が居ない冬 小島寿々
*軽快な恋の句。
君とゆく君のふるさと山桜 山中すみえ
*ほのぼのと心が遊んでいる。まさに恋のように。
【次点】
大きめのコートに二人入りけり 相沢はつみ
君の目の奥の宇宙に気づく夏 橋本朝
【入選】
僕から俺に変え告白する夏 中原壱朋
あなたへと五百マイルの大夕焼 矢作輝
雪だるま あなたと共に 消えていた 近藤己順
キスよりもホットココアが欲しい風邪 小島寿々
鈍感な背にビーサンを投げつける 内藤保幸
*投句数=944句