馬の仔(うまのこ) 晩春
【子季語】
仔馬/馬の仔生る/孕馬
【解説】
春に生まれた仔馬をいう。馬は前年の春の発情期に受胎し、約一年間の妊娠期間を得て出産する。出産後は過ぐに立ち上がり、母親について歩きまわるようになる。
【科学的見解】
ウマは、ウマ目(奇蹄目)ウマ科の哺乳類で、主に草を食べる草食動物である。運搬や農耕などを目的として大陸から古墳時代頃に導入されたそうである。その後、日本各地に広がり、明治維新後に導入された西洋馬と交配されることなく守り続けられてきた馬を日本在来馬と称し、地域の名を冠した在来馬が現在八つの地域で系統保存のために飼育されている。北から北海道の北海道和種(道産子)、本州唯一の在来馬である木曽馬、四国の野間馬、九州の対州馬、御崎馬、トカラ馬、沖縄の宮古馬と与那国馬である。
北海道和種は大陸の蒙古馬やアラブ馬の影響を受けているため、平均体高などは日本の在来馬の中では最も大きくなっているが、その他の在来馬は体高が百から百三十センチメートルと低く、小型であることが特徴である。西洋馬は、体高が百六十から百八十センチメートル程になる。家畜馬の祖先としては、野生種であるタルパンやモウコノウマとされている。ウマは日が長くなる時期(春から初夏)に繁殖期を迎え、繁殖後約十一ヶ月の妊娠期を経て、翌年春に一仔を出産する。(藤吉正明記)