懸巣鳥(かけす) 仲秋
【子季語】
橿鳥(かしどり)/樫鳥/懸巣
【解説】
スズメ目カラス科の留鳥で日本各地の山地に棲む。鳩くらいの大きさで、額から頭のてっぺんまでが白と黒のまだら模様。尾羽は黒く、羽は美しい瑠璃色。「ジュー、ジュー」と鳴くが、他の鳥の鳴き声を真似たり物音を真似たりする。
【科学的見解】
カケスは、カラス科の野鳥で、鹿児島県屋久島以北の地域で留鳥として生息している。生息環境は、低山の落葉もしくは常緑広葉樹林から亜高山帯の針葉樹林まで様々なタイプの樹林環境を好み、稀に林縁近くの農耕地や果樹園等にも姿を現す。食性は雑食性であり、樹上もしくは地上の昆虫やクモ類、または木の実や種子等を採食する。秋になると、ブナ科の堅果(ドングリ)を土の中に隠し、冬から春までの食料として利用(貯食)することが知られている。近縁種としては、カケスの亜種であるミヤマカケスが存在するが、ミヤマカケスは北海道に生息し、頭部が赤褐色になる点がカケスと異なる。また、別種としてルリカケスが存在するが、ルリカケスは鹿児島県奄美諸島の限られた地域にしか生息していなく、頭部と翼、尾羽が瑠璃色になる点が特徴である。ルリカケスは、国の天然記念物に指定されている。(藤吉正明記)
【例句】
かし鳥に杖を投げたるふもとかな
其角「句兄弟」