猫の子(ねこのこ) 晩春
【子季語】
子猫、猫の親、親猫、孕猫、子持猫、猫の産
【関連季語】
猫の恋
【解説】
春に生まれた猫の仔をいう。生まれたばかりの仔猫の愛らしさは無類である。これから味わうであろう世の荒波を思えば哀れでもある。
【科学的見解】
ネコは、ネコ目(食肉目)ネコ科の哺乳類で、愛玩動物として世界中で飼育もしくは一部逃げ出したものが野生化している。その飼育されているもしくは野生化しているネコには、一般的な呼び名としてイエネコやノネコという言葉が使用されている。
それらの妊娠期間は二ヶ月程度である。出産は、春から夏にかけて年一回、もしくは栄養条件が良ければ多産となる。一回の出産で生まれる数は五仔ほどであるが、多い場合は十五から十九仔という報告もある。生まれた仔は早ければ半年ほどで繁殖が可能になり、繁殖サイクルが早いことも特徴の一つである。(藤吉正明記)
【例句】
猫の子や秤にかかりつつじやれる
一茶「おらが春」
猫の子のくんずほぐれつ胡蝶かな
其角「五元集」
捨仔猫地に手をついてもうこれまで
中村草田男「時機」
百代の過客しんがりに猫の子も
加藤楸邨「雪起し」
さまざまな恋の果なる子猫かな
長谷川櫂「虚空」