いかなご 晩春
【子季語】
玉筋魚、こうなご、かますご、かますじやこ、しわいかなご、いかなご干す、いかなご舟
【解説】
関西のいかなごは関東では小女子(こうなご)。五、六センチの小魚で、佃煮や釘煮にして食べる。四月ころ産卵のために浅海に来るのを捕らえる。
【来歴】
『新季寄』(享和2年、1802年)に所出。
【実証的見解】
イカナゴは、イカナゴ科イカナゴ属の硬骨魚。北海道から九州にかけて広く分布し、きれいな砂や砂礫のある浅海に大群で生息する。とくに、明石の近くの明石海峡から西に広がる播磨灘のきれいな浅瀬は、イカナゴのかっこうな産卵場になっている。体は銀白色で、親魚は二十センチ以上になる。シンコ呼ばれる四、五センチのイカナゴの稚魚は価格が高く、佃煮や釘煮、塩干物などに利用される。
【例句】
いかなごが烏の嘴に生きてをり
星野立子「實生」
飛び跳ねるまま小女子を釘煮かな
長谷川櫂「虚空」