芹(せり)三春
【子季語】
根白草、根芹、田芹、芹摘む、芹の水
【解説】
芹は春の七草の一つで、若菜を摘んで食する。七草粥が代表的だが、ひたし、和え物にしたり香味料として吸い物に用いたりする。
【科学的見解】
芹(セリ)は、在来の植物であり、田圃や池付近など湿り気のある場所に生育する。花期は、七月~八月であり、小さな白い花がたくさん集まった花序を形成する。名前は、水辺に群がって「競り(せり)」合うように増え、また花が咲くと草丈を「競り(せり)」合うことに由来する。(藤吉正明記)
【例句】
我がためか鶴はみのこす芹の飯
芭蕉「続深川」
これきりに径尽たり芹の中
蕪村「蕪村俳句集」
古寺やほうろく捨るせりの中
蕪村「蕪村句集」
薄曇る水動かずよ芹の中
芥川龍之介「澄江堂句集」
せせらぎつつ揺れつつ芹の生ひにけり
松本たかし「松本たかし句集」
左右には芹の流れや化粧坂
松本たかし「松本たかし句集」
東大寺伽藍の中を芹の水
長谷川櫂「虚空」