落鮎(おちあゆ)三秋
【子季語】
鮎落つ、錆鮎、渋鮎、下り鮎、とまり鮎、秋の鮎
【解説】
鮎は九月から十月頃産卵のため三百グラムほどにもなり、下流へと下る。その頃になると腹は赤みをおび鉄が錆びたような色になる。錆鮎ともよぶ。産卵した鮎は、体力消耗して、多くは死んでしまう。それゆえ、一年魚ともされる。
【例句】
一とせの鮎もさびけり鈴鹿川
鬼貫「犬居士」
水音も鮎さびけりな山里は
嵐雪「杜撰集」
鮎落ちていよいよ高き尾上かな
蕪村「蕪村文集」
落ち落ちて鮎は木の葉となりにけり
前田普羅「普羅句集」
鮎落ちて水きれぎれに吉野川
長谷川櫂「蓬莱」