鳰(かいつぶり)三冬
【子季語】
におどり、むぐり、羽白鳰、赤襟鳰、耳かいつぶり
かいつむり、鳰、いよめ
【解説】
湖や沼に棲み、水に潜っては浮き上がってくる。毛糸玉のような小型の水鳥である。鈴をふる鳴き声は「にをの笛」という。古くは「鳰の海」と称された琵琶湖の水辺によく見かける鳥。
【科学的見解】
カイツブリは、カイツブリ科の水鳥で、全国的に留鳥として池や湖沼等の止水環境で繁殖するが、北海道と本州北部の個体は冬になると越冬のため南へ移動する。本種は、潜水能力が高く、水中の小魚や甲殻類、軟体動物等を捕食する。植物質の餌も稀にとるとのことである。近縁種としては、属は異なるものの、カンムリカイツブリ、アカエリカイツブリ、ミミカイツブリ、ハジロカイツブリ等が知られている。(藤吉正明記)
【例句】
かくれけり師走の海のかいつぶり
芭蕉「色彩原」
鳰とりや顔見合はせて又もぐる
蝶夢「草根発句集」
湖や渺々として鳰一つ)
正岡子規「子規句集」
かいつぶりさびしくなればくゞりけり
日野草城「昨日の花」
淡海いまも信心の国かいつむり
森澄雄「鯉素」