蝮(まむし)三夏
【子季語】
赤蝮、蝮捕、蝮酒
【解説】
トカゲ目クサリヘビ科の爬虫類。日本固有の毒蛇で卵胎生。マムシとは「真虫」の意という。体長四十~六十五センチ。頭が三角形で首が細く尾が短い。全身に独特の銭形の斑紋がある。焼酎に漬けて蝮酒にする他、干して強壮の薬として用いたりもする。
【科学的見解】
蝮は、クサリヘビ科に属する爬虫類で、ニホンマムシとツシママムシが知られている。ニホンマムシは、北海道から九州まで全国的に分布しているのに対して、ツシママムシは長崎県の対馬にしか生息していない種である。ニホンマムシは、温帯域の代表的な毒蛇であり、一個体の毒で七百五十個体のマウスを殺せるだけの毒の量を備えているとのことである。本種の目と鼻の間には左右一対のピットと呼ばれる器官があり、その器官で赤外線を感知することができる。哺乳類や鳥類等の恒温動物は赤外線を発しているために、本種はそのピット器官を使用して獲物の位置を把握し、捕えている。繁殖期は八月から十月で、直接幼体を産む胎生で、五個体程度出産する。体色は、幼体・成体ともに赤褐色から黒褐色で、銭型模様を有するところが特徴である。(藤吉正明記)
【例句】
曇天や蝮生き居る罎の中
芥川龍之介「我鬼句抄」
平凡の長寿願はず蝮酒
杉田久女「杉田久女句集」
