鶉(うずら、うづら)三秋
【子季語】
片鶉、諸鶉、鶉の床、鶉斑、駆鶉、鶉野
【解説】
体長約二十センチのキジ目キジ科の鳥。川原の草むらに隠れてなかなか出てこない。鳴声が特徴的で、その鳴声で秋の情趣を感じる。食用・採卵用に飼育される。
【科学的見解】
ウズラは、キジ科の鳥類で、本州中部以北で繁殖し、本州中部以南で越冬する。本種は、草原環境を好み、地上に落ちている草の果実や種子、昆虫やクモ類等を採食する。繁殖期は、四月から九月で、草むらの茂みや低木の根元等に草の葉で囲う程度の粗雑な巣を作る。産卵数は、五から十二個程度で、雌のみが抱卵し、約二十日で孵化する。秋になると越冬移動のために、低地の草原や農耕地、河川敷等で見られるようになるが、近年では個体数が減少し、環境省のレッドリストに絶滅危惧種として掲載されている。(藤吉正明記)
【例句】
鷹の目もいまや暮ぬと鳴鶉
芭蕉「芭蕉庵小文庫」
夢に聞くはうつら鶉のねみみかな
季吟「山の井」
伏見には町屋の裏に鳴く鶉
鬼貫「大悟物狂」
桐の木に鶉鳴くなる塀の内
芭蕉「猿蓑」
瓦やく烟にむせて啼くうづら
許六「正風彦根躰」
夕暮をおもふままにも啼く鶉
惟然「泊船集」
縫物に針のこぼるる鶉かな
千代女「千代尼句集」
鶉野や聖の笈も草がくれ
蕪村「明和七年句稿」