風蘭(ふうらん) 晩夏
【解説】
ラン科の常緑多年草。太い根を伸ばし樹木などに生える野生のラン。厚く細長い葉をつけ、七月頃に白い五弁の花を開く。よい香りを漂わせる。園芸品種として鉢植えもされる。高いところに吊られているのをよく目にする。
【科学的見解】
フウランは、本州関東南部以西から琉球までの常緑広葉樹林内の高木もしくは岩上に着生する多年草である。多肉質の葉の付け根から芳香性の強い純白の花が出てくる。近年、発達した常緑広葉樹の森が減少していることから、本種の個体数も減少し、本種は国の絶滅危惧種に指定されている。(藤吉正明記)
【例句】
来る人に風蘭おろす軒端哉
言水「小弓集」
風蘭の先や蘇鉄の八九本
曾良「田植諷」