杏子(あんず ) 仲夏
【子季語】
杏/からもも
【解説】
春に紅の花が咲き、六、七月頃、梅より少し大きい黄赤の実をつける。甘酸っぱく、生で食べられるほか、ジャムや缶詰にも加工される。古く薬用として中国から渡来したとされ、「杏仁」は種を干したもので漢方薬。「杏林」は医師のこと。
【科学的見解】
アンズは、バラ科の落葉木で、中国から薬用として導入された後、現在では果樹として生食・加工用に栽培されている。別名はカラモモとも呼ばれている。同じ中国原産のウメによく似ているが、ウメとは別種である。近縁のものとしては、ヨーロッパ産のセイヨウアンズが知られている。花は、ウメが白色に対して、アンズは桃色・薄紅色をしており、ウメより開花期は遅い傾向である。(藤吉正明記)
【例句】
医者どのと酒屋の間の杏かな
召波「春泥発句集」
花の痩はどこへやら往て杏かな
嘯山「葎亭句集」
杏子や供笥をこぼるる敷きがはら
暁台「暁台句集」