嘉定喰(かじょうぐい/かぢやうぐひ) 晩夏
【子季語】
嘉祥喰/かつう/かつうの祝/嘉定銭/嘉定菓子/嘉定頂戴/嘉定縫/袖止
【解説】
菓子を食べて厄除けする行事。起源には諸説あるが、室町時代には弓の試合で負けたものが、勝ったものを宋銭の嘉定通宝で購入した菓子でもてなしていた。江戸時代には、幕府、宮中を中心に盛大に行われ、一部民間にも知られた。餅や菓子を十六個用意し、食して疫病除けとした。また、銭十六文で好きなものを買って食べれば疫病にかからぬとも信じられていた。明治時代には廃れるが、この行事にちなみ、1979年(昭和54)年、全国和菓子協会は、六月十六日(太陽暦、仲夏)を「和菓子の日」とした。 嘉祥行事についての研究も今後さらに進むことだろう。
【例句】
月こよひ食したまふや嘉定食
貞徳「山の井」
物安きむかしゆかしや嘉祥餅
素丸「素丸発句集」
子のぶんを母いただくや嘉定喰
一茶「文政八年句帖」