芭蕉の花(ばしょうのはな/ばせうのはな) 晩夏
【子季語】
花芭蕉
【解説】
中国原産、日本では中部以西で栽培。七月から九月、美しい大きな葉の間から太い花茎を首をもたげるように伸ばす。穂の上に雄花、下に雌花をつけ、やがてバナナのような実がなるが食べられ ない。
【科学的見解】
バショウは、バショウ科の多年草であるが、稀に木質化することがあるとのことである。バショウ科は、熱帯地域を中心に五十種以上が知られているが、日本にはそのうちの二種が自生している。本種は、耐寒性があるため、関東以西の地域で庭木として栽培されている。本種は、雌雄同株であり、花序の先端に雄花が、基部の方に雌花が形成される。果実は、バナナ状で、長さ六センチメートルほどになるが、種子ができることは稀である。近縁種として、沖縄にはリュウキュウバショウが生育しているが、本種の高さが約五メートルになるのに対して、リュウキュウバショウは二メートルほどでより小型である。(藤吉正明記)
【例句】
法の世や在家のばせを花が咲く
一茶「九番日記」
島の子と花芭蕉の蜜の甘き吸ふ
杉田久女「杉田久女句集」
県庁や訴人もなくて花芭蕉
日野草城「雑詠選集」