【子季語】
ごめ帰る/残る海猫/海猫残る
【解説】
繁殖が終わっった海猫が、繁殖地のコロニーから去ることをいう。海猫は四月から七月にかけ、コロニーを作って繁殖する。繁殖期が終わると、海上で過ごすことが多い。
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鶴来る(つるきたる) 晩秋
【子季語】
鶴渡る/田鶴渡る
【解説】
シベリヤなどの寒冷地で繁殖した鶴が、晩秋、日本の暖地に飛来すること。越冬地としては鹿児島県出水市荒崎が有名。
【科学的見解】
日本へ越冬のために渡来してくるツルの仲間は、ナベヅル、マナヅル、クロヅル、カナダヅル、アネハヅル、ソデグロヅル等が知られている。その中でも渡来個体数の多い種は、ナベヅルとマナヅルである。近年の渡来地としては、西日本に限られており、島根県宍道湖・中海や山口県八代盆地、徳島県吉野川流域、高知県物部川流域、長崎県諫早干潟、鹿児島県出水平野水田周辺等である。特に、鹿児島県出水平野では両種合わせて一万羽以上の個体が毎年渡来している。日本には両種の複数の渡来地があるものの、現状としては鹿児島県出水平野に集中しすぎている状態である。特定の場所に集中し過ぎてしまうと伝染病の蔓延や農業被害につながる可能性も考えられるため、多くの地域での分散越冬が望まれている。(藤吉正明記)
尾越の鴨(おごしのかも/をごしのかも) 仲秋
【解説】
尾根を越えて飛来する鴨のこと。「たかとびすること稀にして、数百群れをなし」『滑稽雑談』て山を越え来る鴨、というような記述もある。
【例句】
朝風や尾を越す鴨を吹き下し
花朗「新類題発句集」
尾を越しぬ北斗を跡に鴨の声
嘯山「葎亭句集」
初鴨(はつがも) 仲秋
【子季語】
鴨渡る/鴨来る
【解説】
九月ころに渡って来た鴨をいう。多くはないので、静かな沼に五羽六羽と見るくらいである。
【例句】
初鴨や刈らぬ水田に波をたて
雲道「新類題発句集」
鴇(とき) 三秋
【子季語】
朱鷺/桃花鳥
【解説】
コウノトリ目トキ科の鳥。体長は約七十センチで全身白っぽい。朱色の顔で、下方に湾曲した黒く長い嘴を持ち、春から夏にかけて繁殖する。かっては日本各地に多く生息していたが、乱獲がたたって激減した。現在、野生では中国のみに生息し、中国と日本で人工繁殖が進められている。
【科学的見解】
トキは、トキ科の野鳥で、日本産の個体は絶滅してしまったが、中国から贈られた個体で人工繁殖が成功し、現在では環境保全活動の一環としてそれら個体の放鳥が行われている。そのトキの野生復帰に向けた活動では、放鳥された個体同士で繁殖が行われ、野生化での個体数も近年増加しており、令和四年には五百個体以上の定着及び生存が確認されている。トキは、繁殖期の四月から六月頃頭部から翼にかけて灰黒色の色合いとなるが、非繁殖期である秋から冬にかけてはその暗色がなくなり、羽毛全体が橙紅色を帯びた美しい姿となる。近縁の種としては、クロトキが知られているが、日本への渡来は不定期かつ極めて個体数が少なく、また頭部全体が黒色となることから容易に区別できる。(藤吉正明記)
諸聖人祭(しょせいじんさい) 晩秋
【子季語】
万聖節/聖徒祭/聖人祭
【解説】
十一月一日。キリスト教には数多くの聖人がいるが一人一人祝うことが出来ないので、祝日をもうけて一斉に祝う。カトリックにとって秋を代表する大切な祭日である。
聖体行列(せいたいぎょうれつ/せいたいぎやうれつ) 晩秋
【解説】
聖体とはキリストの体であり、パン(体)と葡萄酒(血液)に姿を変えて現在に復活するとされる。聖体行列は、聖体と共に歩み、聖体を礼拝するという行事。日本では十月の最後の日曜日に行われる。
ロザリオ祭(ろざりおさい) 晩秋
【子季語】
ロザリオの月
【解説】
ロザリオの聖母の日で十月七日。一五七一年のこの日、強大なトルコ海軍にキリスト海軍が大勝利を得たのは、信者の熱心なロザリオの祈りによるものとされ、これが由来となった。
天使祭(てんしさい) 晩秋
【解説】
十月二日に定められた「守護の天使の記念日」であり、神の使者であるあまたの天使を祝う日である。天使は、神と人間の橋渡しをするものであり、人間を悪魔から守ってくれるものとされる。
聖霊降臨祭(せいれいこうりんさい/せいれいかうりんさい) 仲夏
【子季語】
聖霊祭/五旬節/ペンテコステ
【解説】
イエスの復活・昇天から五十日後、使徒たちの上に神からの聖霊が降ったという出来事を記念する祝日。聖霊によって力を得た使徒たちが死と復活の意味について語り、多くの人を信仰に導いたという。
