【子季語】
冬浪、寒濤
【解説】
冬場は西高東低の気圧配置になり大陸方面からの西風や北風が強まる。このため海や湖、沼、川など波が高く大時化となることが多い。岩に激しく砕け散る白波は、寒さとあいまって見る者を不安にかきたてる。
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処暑(しょしょ)初秋
【子季語】
処暑の節
【解説】
二十四節気の一つ。立秋の十五日後で、八月二十二、二十三日ごろ。「処」は暑さが収まる意だが、実際はまだまだ暑い日が続く。台風が頻繁にやってくる時期にもあたる。
冬の雲(ふゆのくも)三冬
神の留守(かみのるす)初冬
【解説】
陰暦十月は神無月と呼ばれ、全国の八百万の神様がこぞって出雲大社に集まる。神が留守となった神社の氏子たちは不安を覚え、恵比寿様などを留守神として祀る。信心の厚さゆえか、「神の旅」「神送」「神迎」、神が集まる出雲は逆に「神在祭」など類似の季語も多い。
【例句】
留主のまに荒れたる神の落葉かな
芭蕉「小文庫」
何人のいひひろげてや神の留主
北枝「柞原」
開山忌となりは留主のいなり山
浪化「有磯海」
なら山の神の御留主に鹿の恋
一茶「八番日記」
うつせみの羽衣の宮や神の留守
正岡子規「子規句集」
神の留守立山雪をつけにけり
前田普羅「新訂普羅句集」
通ひ路の一礼し行く神も留守
松本たかし「たかし句集」
冬日(ふゆひ)三冬
【子季語】
冬日向、冬日差、冬日影、冬日没る、冬落暉
【解説】
冬の一日と冬の太陽の両方の意味で使われる。歳時記によっては「冬の日」「冬日」と別立てのものもある。冬は日照時間が短く、すぐに暮れてしまう。それだけに昼間の日差しをいっぱいに浴びたいという思いがこもる。雪の日の多い日本海側と乾燥した日の多い太平洋側とで、はこの季語のもつ印象はおのずと異なろう。
【例句】
あたたかに冬の陽は寒き哉
鬼貫「すがた哉」
冬の日や馬上に氷る影法師
芭蕉「笈の小文」
竹の葉やひらつく冬の夕日影
惟然「藤の実」
稲干のもも手はたらく冬日かな
北枝「風月藻」
身をよする冬の朝日の草のいほ
太祇「太祇句選後篇」
冬の日のさし入る松の匂ひかな
暁台「暁台句集」
冬の日や障子に蘭の葉の移る
蝶夢「草根発句集」
たまたまに鳥なく冬のひなたかな
大江丸「俳懺悔」
冬の日の刈田のはてに暮れんとす
正岡子規「子規句集」
どこまでも丸き冬日とあんこ玉
加藤楸邨「雪起し」
大佛の冬日は山に移りけり
星野立子「立子句集」
水のごとき冬日の当たる椅子二つ
高田正子「玩具」
菱の実(ひしのみ)晩秋
口切(くちきり)初冬
【子季語】
壺の口切、口切茶事、口切茶会
【解説】
その年の新茶を葉のまま陶器の壺に入れ、口を封じて保存する。冬にその封を切り、茶臼でひいて茶をたてる。口切の茶事として客を招いてふるまう。もっとも晴れがましい茶会として、しつらいや装いに気を配る。
【例句】
口切や今朝はつ花のかへり咲く
風虎「江戸蛇之鮓」
口切に堺の庭ぞなつかしき
芭蕉「深川」
口切のとまり客あり峰の坊
太祗「石の月」
口切りや湯気ただならぬ台所
蕪村「落日庵句集」
口切りの庵や寝て見るすみだ河
几董「井華集」
口切りや寺へ呼ばれて竹の奥
召波「春泥発句集」
口切りに残りの菊の蕾かな
松瀬青々「明治俳句」
猩々袴(しょうじょうばかま、しやうじやうばかま)晩春
雪晒(ゆきざらし)仲春
【子季語】
布晒
【解説】
二月から三月にかけての晴天の日に、平らな雪の上に布を広げて晒すこと。雪が溶けて発生する水蒸気に強い紫外線が当たるとオゾンが発生し、その効果で布が白くなるといわれている。
稲の花(いねのはな)初秋
【子季語】
富草の花
【解説】
花穂に綿毛のような花を付ける。開花時間は通常十時~十二時、終わった花が田の面に浮遊するのは風情がある。農耕の民にとって稲の花は米の出来高と直結することであり、祈りを持ってみつめる花である。
【科学的見解】
イネの花は、穂状花序となり、小穂を複数つける。小穂には花弁がなく、開花時には雄花と雌花が突き出し、風により受粉が行われる。小穂には苞頴がなく、護頴と内頴が一般的に籾殻と呼ばれる部位である。(藤吉正明記)
【例句】
稲の花吸はぬを蝶の艶かな
言水「言水句集」
稲の花これを佛の土産かな
智月尼「猿蓑」
先づ入るや山家の秋を早稲の花
惟然「有磯海」
稲の花大の男の隠れけり
一茶「一茶句帖」
此上に年を積むべし稲の花
梅室「梅室家集」
馬買ひてつなぐまがきや稲の花
才麿「花の市」
白河はひくき在所や稲のはな
蝶夢「草根発句集」
湯治二十日山を出づれば稲の花
正岡子規「子規句集」
赤ん坊の乳に吸ひつく稲の花
長谷川櫂「天球」



