【解説】
日祭りのことをいう。終夜寝ずに日の出を待って拝する。一般には一、五、九、十月の吉日を選んで行う。正月は三日、十三日、十七夜、二十三夜、二十七夜などを選んで行われる。また京都の吉田卜部家では十五日に禁裏の日待ちを修した。家の主人は斎戒沐浴して眠らず、親戚、知人などが集まりさまざま遊興、飲食をして日の出を待つ。
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鶴岡八幡宮御璽頂き(つるがおかはちまんぐうごはんいただき/つるがをかはちまんぐうごはんいただき) 新年
【子季語】
御判行事
【解説】
鎌倉の鶴岡八幡宮に伝えられている神事。元旦から七日までの間、舞殿で執り行う。ふだんは本殿の御神座近くに納めてある御神印を、額に押し当てることで病気平癒、厄除け、無病息災、学業成就を祈念、牛王宝印と呼ばれる神符を授与する。鎌倉時代の武将は出陣の際に詣でて御神印を受けたと伝えられる。
玉せせり(たませせり) 新年
【子季語】
玉せり祭/玉取祭/玉せり
【解説】
福岡市の筥崎宮で一月三日に行われる祭。「玉取祭」「玉競祭」ともいう。起源ははっきりしないが五百年くらい前の室町期に始まったとされている。午後一時、木製の陽玉(直径二十八センチで重さ八キロ)と陰玉(直径三十センチで重さ十一キロ)が本宮での玉洗い式で祓い清められた後、二百五十メートルほど離れた末社の玉取恵比寿神社に運ばれる。ここで陽玉の争奪戦が始まる。裸に締め込みの男の競り子たちが陸側と浜側に分かれて、水を浴びながら激しく奪い合う。玉に触れると悪事災難に遭わないとされ、肩車に乗った競り子たちがくんずほぐれつ、最後に奪い取った側が本宮の楼門に立つ神職に手渡し、陽陰両玉が再び揃って神事は終わる。陸側が渡せばその年は豊作に、浜側が渡せば豊漁になるとされている。
玉の由来は定かでないが、一説には筥崎宮の祭神である神功皇后の三韓征伐の際、龍神の捧げた満珠(海水につけると水を満ちさせるという珠)と干珠(海水につけると水を干上がらせるという珠)にあやかったとされる。ほかにも海上に浮かぶ二つの玉を人が見つけて、筥崎宮に奉納したという説もある。
裏白連歌(うらじろれんが) 新年
【子季語】
裏白俳諧
【解説】
室町末期から江戸時代にかけて例年正月三日に、京都北野神社の連歌会所で行われた百韻連歌。百韻の連歌はふつう四枚の懐紙の裏表両面に書きつけるところ、八枚の懐紙の片面だけを使い、裏面は白紙のままで行った。そのはじまりは執筆が間違って懐紙の一枚目の裏に書かずに二枚目の表に記したことによるという。
太占祭(ふとまにまつり)新年
【解説】
正月三日、東京都青梅市の御岳山頂上(標高九百二十九メートル)の御岳神社で行う神事。現在は日本で二社のみで行われているという奇祭。男鹿の肩骨を斎火で焙り、できた割れ目の位置でその年の農作物の豊凶を占う。我が国最古の占いの形式で、早稲、晩稲、粟、黍、じゃがいも、にんじんなど二十五種類を占う。秘事とされ、一般には公開されていないが、三日午後には結果が頒布される。御岳神社のホームページによれば、骨の中心から離れたところにヒビが入った作物は不作になるという。
【例句】
太占祭御師が幾度も酒運ぶ
皆川盤水「祭り俳句歳時記」
毘沙門の使(びしゃもんのつかい/びしやもんのつかひ)新年
【子季語】
愛宕の神事/愛宕の使/お事の使
【解説】
一月三日(あるいは二十四日)に東京芝愛宕神社で行われた神事。毘沙門の使いが麻裃を着て、昆布でつくった兜に羊歯を前立に、昆布の鎧をつけて七尺の太刀を佩き、擂木を腰に差し、大杓子を右手に従者とともに現れる。僧たちが居並び強飯を食べている中に出て、大杓子で三度俎を叩き、強飯の口上を述べたという。女坂の上にある愛宕やという水茶屋の主が使いの役をつとめた。
七高山詣(しちこうざんまいり/しちかうざんまゐり) 新年
【解説】
長崎で行われる正月神事。正月二日から十五日頃までに市中の人々が草鞋がけで七高山を詣るもの。七高山は金比羅山、七面山、秋葉山、烽火山、彦山、豊前坊、愛宕山、あるいは岩屋山などを一日で登る。「七五三(七高山)」という縁起のよい数を頼みに巡拝を楽しんだ。
熊野連歌始(くまのれんがはじめ) 新年
【子季語】
熊野連歌
【解説】
陰暦正月二日、和歌山県の熊野権現本宮の拝殿で社家と地下人によって百韻連歌が興行された。社家の祖先が宿直した夜に「この山のあるしは花の梢かな」の発句を神託で得て、その脇句を社家がつくったと伝えられる。
大日詣(だいにちまいり/だいにちまゐり) 新年
【子季語】
大日堂祭堂(だいにちどうざいどう)/祭堂(ざいどう)/大日堂舞楽神名手舞(かなてまひ)/駒舞/烏遍舞(うんまひ)/工匠舞(くしょうまひ)五大尊舞(ごだいそんまひ)
【解説】
正月二日に秋田県鹿角市の大日霊貴神社(おおひるめむちじんじゃ、通称「大日堂」)で行われる祭り。大里、小豆沢、谷内、長嶺の四地区の人々によって伝承されてきた約千三百年の歴史を持つ県内最古の舞楽。養老二(七一八)年に大日堂が再建されたに都から遣わされた楽人が舞楽を奉納したものが起源とされる。重要無形民俗文化財。
川苔(かわのり/かはのり)三秋
【子季語】
川海苔
【解説】
渓流に生ずる緑藻植物の一種。関東以南の太平洋側の河川の上流に育成する。採取時期は八月から十一月。渓流の岩の面に着生しているものを指でつまむようにして採取する。浅草のりほどの香気はないが、茶懐石などで珍重される。
【科学的見解】
カワノリは、カワノリ科に属する淡水性の藻類であり、山間の渓流中岩上に着生している。本種は、緑藻類であり、食用として味噌汁や酢の物などに利用される。また、広義の川苔としては、九州北部の河川で採取されるスイゼンジノリが知られており、こちらも食用として刺身のつまや酢の物に利用されている。このスイゼンジノリは、前者とは異なり、藻類ではなくラン藻類と呼ばれる別の生物群に位置づけられている。(藤吉正明記)
