【子季語】
涅槃吹、涅槃嵐
【解説】
涅槃会「陰暦二月十五日」はお釈迦様の入滅の日にあたり、この頃に吹く風の事をいう。美しい響きからも西方浄土が想象される季語である。時期的には春の彼岸前後にあたり、一般的に浄土からの迎え風などとも言われる。
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冬の空(ふゆのそら)三冬
居待月(いまちづき、ゐまちづき)仲秋
【子季語】
座待月、居待の月、居待、十八夜の月
【解説】
陰暦八月十八日の夜の月である。立待月より少し遅れるため、居待月と言う。居待は「座して」待つの意味である。
【例句】
居待月起きて守らん枕挽
智月尼「藤の実」
冬三日月(ふゆみかづき)晩冬
【子季語】
寒三日月
【解説】
冬の三日月のこと。寒空に細くかかる三日月には刃物のような鋭い印象がある。
雪起し(ゆきおこし)三冬
【子季語】
雪の雷、雪雷
【解説】
北の地方で雪が降り出しそうな時に鳴る予兆のような雷のこと。地響きのような重い音がし、激しい雷光と雷鳴の後、雪が降り出す。
【例句】
納豆するとぎれやみねの雪起
丈草「小文庫」
空風(からかぜ)三冬
【子季語】
からっ風
【解説】
晴れた日に吹く北西の乾燥した季節風。ことに上州の空っ風は有名である。日本海側に雪を降らせて乾燥した風が、山脈をこえて関東平野に吹き荒れる。
【例句】
から風の吹きからしたる水田かな
桃隣「古太白堂句選」
雪は来でから風きほふ空凄し
曾良「いつを昔」
立待月(たちまちづき)仲秋
【子季語】
立待、十七夜
【解説】
陰暦八月十七日の月のこと。名月のあと、しだいに月の出が遅くなり立待月の頃には、名残りの月の感が深くなってくる。
【例句】
さらぬだに月に立ち待つ惣嫁かな
一茶「寛政句帖」
あさがほのかげかすかなり十七夜
大江丸「裸麦」
子規逝くや十七日の月明にの
高浜虚子「贈答句集」
逗留や立待月に立ちまじり
松本たかし「第二同人句集」
釣瓶落し(つるべおとし)三秋
【解説】
井戸底にすとんと釣瓶が落ちるように、瞬く間に暮れてしまうこと。
雪晴(ゆきばれ)晩冬
虎落笛(もがりぶえ)三冬
【解説】
厳寒の夜空を、風がヒューヒューと音を立てて渡ること。「虎落」とは竹を立て並べて作った柵や竹垣のこと。それが烈風に吹かれて、笛のように音を立てることに由来する。
【例句】
炉の端に月のさしけり虎落笛
吉田冬葉「故郷」
燈火の揺れとどまらず虎落笛
松本たかし「火明」
日輪の月より白し虎落笛
川端茅舍「川端茅舍句集」
虎落笛塵取に塵はなかりけり
五十崎古郷「古郷句集」
縁の下に梯子をしまひ虎落笛
長谷川櫂「果実」