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季語と歳時記

きごさい歳時記

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ぬめり草(ぬめりぐさ) 初秋

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【子季語】
粘り茅
【解説】
イネ科の一年草。葉を揉むとぬるぬるするためこの名がある。本州からアジアの熱帯林まで広く分布する。田の畔や少し湿った所を好む。茎は直立し二十センチから四十センチくらいになる。秋その先に長さ六センチから十センチの紫褐色の花序をつける。
【科学的見解】
ぬめり草として知られている種は、標準和名としてハイヌメリグサと呼ばれており、本州から沖縄の湿地を好んで自生している。世界のヌメリグサ属のほとんどは、熱帯から暖帯に分布しており、全て湿った場所に生育している。(藤吉正明記)

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小水葱の花(こなぎのはな) 仲秋

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【子季語】
子葱の花/花こなぎ/細水葱の花
【解説】
ミズアオイ科の一年草。名の由来は小形のナギ(ミズアオイ)で、水田においては根強い雑草として嫌われる。二センチくらいの紫色の花は自花受粉し、葉よりも花茎が低い。東南アジア原産で稲作に伴って渡来した帰化植物。水路などに大量発生することもある。
【科学的見解】
コナギは、ミズアオイ科の一年草で、本州から沖縄までの水田付近の湿地に生育している。葉は光沢があり、心形から長楕円形をしている。花は、六枚の紫色の花弁を持ち、葉柄の付け根に複数つける。本種は、水田内の湿り気のある環境に最も適応した種である。近縁種としては、同じ属にミズアオイが存在するが、ミズアオイは近年多くの都道府県において激減している絶滅危惧種であるため、ほとんど見かけることはない。(藤吉正明記)
【例句】
なまぐさし小葱が上の鮠の腸
芭蕉「笈日記」

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沢桔梗(さわぎきょう/さはぎきやう) 初秋

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【子季語】
ちょうじな
【解説】
キキョウ科の多年草。全国の山野の湿った所や湿原に生え、群生することもある。高さは一メートルくらいにもなり、茎は中空。葉は互生して笹形。花期は八月から九月頃で濃紫の唇形花を房状につける。
【科学的見解】
サワギキョウは、北海道から九州の湿地に生育する多年草である。キキョウに似た紫の花を咲かせ、水辺に生えることからその名がついた。近年、全国的に個体数が減少している。特に、平野の湿地では、その姿をほとんど見られなくなった。(藤吉正明記)
【例句】
村雨や見る見る沈む沢桔梗
幾葉「卯辰集」

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大文字草(だいもんじそう/だいもんじさう) 初秋

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【解説】
ユキノシタ科の多年草。日本全国の山地の湿った岩場に自生。七月から十月にかけて、三十センチくらいの花茎の先に、白い花をまばらにつける。五弁の花びらのうち下の二弁が大きく、その様子が大の字に似ているためこの名がある。葉は腎円形で浅く、五から十裂し、裏面は白色か紫色をおびる。
【科学的見解】
ダイモンジソウは、ユキノシタ科の多年草で、北海道から九州までの湿り気のある主に岩上に生育している。五枚ある花弁が漢字の大の字に似ていることから名が付けられた。しかし、本種と同じく花が大の字に見える種はジンジソウ、モミジバセンダイソウ、ユキノシタ、ハルユキノシタなど複数存在するため、識別には注意が必要である。(藤吉正明記)

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鍾馗蘭(しょうきらん) 仲秋

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【子季語】
鍾馗水仙
【解説】
全国の深山の樹林下、笹原などの柔らかい土を好むラン科の多年草。名の由来は花の形を烏帽子をかぶった鍾馗の姿に見立てたもの。花茎の鱗片状の葉はほとんど目立たない。七月頃淡紅色の美しい花をつけるが、緑葉をもたない寄生ラン。
【科学的見解】
ショウキランは、北海道西南部から九州・屋久島に分布するラン科植物である。本種は、土壌中に生息する菌類と菌根と呼ばれる共生体を形成し、養分の全てをそれらに依存して生きている。種子繁殖のため、開花の時期のみ地上に姿を現す。同属の近縁種としては、全体黄褐色になるキバナノショウキランが知られている。(藤吉正明記)

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矢の根草(やのねぐさ) 初秋

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【子季語】
矢の根葛
【解説】
タデ科の一年草。全国の水田やその脇、溝、畔、などに自生。葉がやじりの形に似るためこの名がある。高さは五十センチくらい。九月から十月ころ金平糖のような形の花をつける。アキノウナギツカミやミゾソバなどに良く似ている。
【科学的見解】
ヤノネグサは、タデ科の一年草で、北海道から九州までの湿地に生育している。茎の上部には逆向きの刺があり、他の植物に引っかかりながら茎を細長く伸ばしていく。葉には、疎らに星状毛を有している。近縁種としては、同じ湿地に生育するホソバノウナギツカミやナツノウナギツカミ、ナガバノヤノネグサなどが複数存在する。(藤吉正明記)

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山薊(やまあざみ) 仲秋

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【子季語】
大薊/鬼薊/秋薊/真薊
【解説】
西日本、四国、九州の山野に生える多年草。高さは二メートルにもなる。太い角ばった茎は直立し二十センチから三十センチの棘の多い葉をびっしりとつける。八月から十月茎に直接花をつける。頭花は小形の穂状でアザミに似る。
【科学的見解】
狭義の意味では、ヤマアザミという種が存在している。本種は、キク科の多年草で、四国と九州の山地に生育する。別名は、ツクシヤマアザミと呼ばれている。頭花は、筒状花のみで構成されており、紅紫色が印象的である。日本にはアザミ類が四十種以上自生しており、そのうち山地に生育するものを広義の意味で山薊と呼ぶこともある。(藤吉正明記)

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狐の剃(きつねのかみそり)初秋

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kitunenokamisori【解説】
日本各地の山地に自生するヒガンバナ科の多年草。春先、水仙に似た葉を出すが夏になると葉は枯れる。花期は八、九月ころで百合に似たオレンジ色の花は目立つ。名の由来は、花の色と狐の毛の色とが似ているため、葉がカミソリに似ているためなど諸説ある。有毒植物。
【科学的見解】
キツネノカミソリは、ヒガンバナ科の多年草で、本州から九州までの山野に生育する。近縁のヒガンバナ(別名:マンジュシャゲ)やショウキラン(別名:ショウキズイセン)と同じように、開花後の秋から春にかけて葉を展開し、夏には葉を枯らし夏眠する特徴がある。ヒガンバナやナツズイセンなどは種子を形成しないことで有名であるが、近縁の本種は球形の大きな種子を形成する。(藤吉正明記)

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富士薊(ふじあざみ) 初秋

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【子季語】
富士牛蒡/須走牛蒡/薊牛蒡
【解説】
キク科の多年草。日本のアザミの中で最も大きく、富士山周辺に多い。長さ七十センチ近くの羽状の大きな葉には棘があり、根もとにあつまる。八月から十月にかけ、六センチから十センチの紅紫色の花をつける。
【科学的見解】
富士薊(フジアザミ)は、関東及び中部地方に分布する、大型のアザミ類である。花(頭花)は、下向きに咲くのが特徴である。根系は、ゴボウと同じ仲間であるため、直根性の太い根を形成し、食用となる。(藤吉正明記)

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麝香草(じゃこうそう/じやかうさう) 初秋

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jakousou【子季語】
鈴子香
【解説】
シソ科の多年草。山地の湿ったところや、沢沿いなどに自生。高さ二十から三十センチほどで葉、茎に細毛がある。花期は八、九月頃。花は淡い紅紫もしくは白色で唇形をしてをり、香気がある。茎や葉にも香りがあり、乾燥させたものは、薬用にまた香辛料にもちいる。
【科学的見解】
麝香草(ジャコウソウ)は、北海道から九州の山地の谷間に生育する多年草である。近縁種としては、タニジャコウソウが存在し、ジャコウソウの花柄が短いのに対して、タニジャコウソウは三から四センチメートルと著しく長い。(藤吉正明記)

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