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季語と歳時記

きごさい歳時記

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神田祭(かんだまつり) 初夏

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【子季語】
神田明神祭、天下祭
【解説】
東京の神田明神の祭礼で、江戸三大祭りのひとつ。大祭は二年に一度、五月の第二日曜をはさんで、約一週間行われる。昔は旧暦の九月十五日、関が原で徳川家康が勝利を収めた日にちなんで行われた。五月の第二土曜日に時代行列といわれる神幸祭、翌日曜日に約九十基の神輿の宮入がある。神輿かきが売り物の威勢のいいの祭りである。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。

カテゴリー: 1基本季語, e行事

夏痩(なつやせ)三夏

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【子季語】
夏負け
【解説】
暑さに参ってしまい食欲がなくなり、体重が極端に減ってしまうこと。油っこいものが食べられないので、そうめんや冷麦などで すませてしまうことも多い。
【来歴】
『世話盡』(明暦2年、1656年)に所出。
【例句】
夏痩か見えすくばかり原の里
宗因「糸屑」

夏痩や能因ことに小食なり
其角「名月集」

夏痩の我骨探る寝覚かな
蓼太「続明烏」

なつやせや西日さし込む竹格子
大江丸「俳懺悔」

夏痩や雷嫌ひの乱れ髪
一茶「寛政句帖」

夏痩の骨にとゞまる命かな
正岡子規「季語別子規俳句集」

カテゴリー: 1基本季語, d生活

昼寝(ひるね)三夏

季語と歳時記

【子季語】
午睡、昼寝覚、昼寝起、昼寝人、三尺寝
【解説】
夏に仮眠をとること。夏は寝不足や暑さによる食欲不振などで衰弱することが多く、回復のために昼寝をする。弁当を終えた仕事師などが、ちょっとした日陰を選んで横になっているのは三尺寝。日陰が三尺ほど移る間の短い眠りであるところからこういわれる。
【来歴】
『季寄大全』(享和三年、1803年)に所出。
【文学での言及】
『邯鄲の夢』(中国唐代の小説『枕中記』の故事)
【例句】
ひやひやと壁をふまえて昼寝哉
芭蕉「笈日記」

昼寝して手の動きやむ団扇かな
杉風「続猿蓑」

親方の見ぬふりされし昼寝かな
一茶「享和句帖」

糊ごはな帷子かぶる昼寝かな
惟然「続猿蓑」

足しびれて邯鄲の昼寝夢覚めぬ
正岡子規「子規句集」

松の木に庭師来て居り昼寝覚
前田普羅「普羅句集」

屋根瓦ずれ落ちんとして午寝かな
渡辺水巴「水巴句集」

探しても妻の居らざる昼寝覚
日野草城「人生の午後」

昼寝覚うつしみの空あをあをと
川端茅舎「川端茅舎句集」

魂の抜けはててゐる昼寝かな
星野立子「實生」

松風に近江商人昼寝かな
村上鬼城「鬼城句集」

すぐ覚めし昼寝の夢に鯉の髭
森澄雄「鯉素」

禅僧とならぶ仔猫の昼寝かな
長谷川櫂「蓬莱」

カテゴリー: 1基本季語, d生活

汗(あせ)三夏

季語と歳時記

【子季語】
玉の汗、汗ばむ、汗みづく、汗みどろ、汗水
【解説】
皮膚にある汗腺から出る分泌物。暑いと盛んに出て皮膚を濡らすが、風が吹くと、汗が体温を下げので涼しい。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【実証的見解】
汗は、汗腺から分泌する液体でほ乳類特有のもの。ほとんどは水分であるが、わずかに塩分を含む。おもに暑いとき、体温を下げるために分泌されるが、緊張時や興奮状態にあるときにも分泌される。成人では夏、一日に二から三リットルもの発汗量をみる。汗自体は無臭であるが、皮膚にある菌の影響で臭いを発するようになる。
【例句】
汗水は暑さよりわく湯玉かな
季吟「山の井」

美しき詞にも似ぬ玉の汗
杉風「百曲」

汗の香に衣ふるはな行者堂
曾良「雪まろげ」

汗入れて妻わすれめや藤の茶屋
蕪村「夜半叟句集」

三時打つ烏羽玉の汗りんりんと
川端茅舎「川端茅舎句集」

税吏汗し教師金なし笑ひあふ
加藤楸邨「山脈」

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端居(はしい、はしゐ) 晩夏

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【子季語】
夕端居、縁台
【関連季語】
納涼
【解説】
夏、縁側などに出て涼を求めてくつろぐこと。「端」とは家屋の端で、つまり縁側のようなところ。夜分とは限らないが、夕方や夜のことが多い。風呂から上がって浴衣に着替え、涼しい風にあたってほっとするひとときである。「納涼(すずみ)」は外に出て涼を求めることが多いが、端居は家にいて涼を得るのである。
【来歴】
『線車大成』(寛政11年、1799年)に所出。
【例句】
端居して池を浚へん心あり
青木月斗「月斗句集」

ふけわたる草木の風に端居かな
日野草城「青芝」

ゆふべ見し人また端居してゐたり
前田普羅「飛騨紬」

小鼓の稽古すませし端居かな
松本たかし「松本たかし句集」

いふまじき言葉を胸に端居かな
星野立子「笹目」

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泳ぎ(およぎ) 晩夏

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【子季語】
水練、遊泳、競泳、遠泳、水泳、浮袋、立泳ぎ、犬掻、背泳ぎ、平泳ぎ、川浴、水浴
【解説】
夏、川や海、プールなどで泳ぐこと。夏の代表的な遊び。涼をもとめ海や川で泳ぐのは爽快。海で泳ぐと一年中、風邪をひかないともされ、古くから健康法ともされたきた。スポーツとしてはクロールや平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライが一般的だが、ぬき手や片ぬき手などの古泳法もある。
【来歴】
『四季名寄』(天保7年、1836年)に所出。
【例句】
とも綱に蜑の子ならぶ泳ぎかな 
正岡子規「子規句集」

汐蒼く人流れじと泳ぎけり
前田普羅「普羅句集」

泳ぎ出て天の高きをたゞ怖る
大谷碧雲居「碧雲居句集」

泳ぎ子に西日まだある河原かな
島田青峰「青峰集」

遠泳や舟に上がれば風の音
長谷川櫂「天球」

君といふ青き島へと遠泳中
稲垣雄二(第七回恋の俳句大賞)

カテゴリー: 1基本季語, d生活

納涼(すずみ) 晩夏

季語と歳時記

yuusuzumi【子季語】
涼む、門涼み、橋涼み、涼み舟、納涼船、宵涼み、夕涼み、夜涼み
【関連季語】
端居
【解説】
夏、縁側や庭先、橋の上、舟など風が来るところで涼を求めること。縁台で将棋をさしたり、夜店をのぞいたりするのも納涼の風景である。とくに夕風に当たることを夕涼みという。
【来歴】
『山の井』(正保5年、1648年)に所出。
【文学での言及】
聞くにさへ涼しくなりぬ若松のもりの梢の風のしらべは 源顕仲『永久四年百首』
【例句】
京酒に一月はやき涼みかな
来山「津の玉柏」

あつみ山や吹浦かけて夕すゞみ
芭蕉「奥の細道」

命なりわづかの笠の下涼み
芭蕉「江戸広小路」

飯あふぐかゝが馳走や夕涼
芭蕉「笈日記」

夕すヾみあぶなき石にのぼりけり   
野坡「炭俵」

板塀に鼻のつかへる涼みかな
一茶「文化句帖」

涼み居て闇に髪干す女かな
召波「五車反古」

僧一人水かみへ行くすずみかな
麦水「葛箒」

涼みけり実のまだ青き梨のもと
森鴎外「うた日記」

肌のものほのかに白し夕涼み
長谷川櫂「松島」

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簗(やな)三夏

季語と歳時記

【子季語】
簗打つ、簗さす、簗瀬、簗番、簗簀、簗守
【関連季語】
上り簗、下り簗、崩れ簗、鮎
【解説】
鮎を獲るための仕掛けのひとつ。石を積んで流れを導いた瀬に杭を打ち、その杭に竹の簀を渡したもの。竹の簀が、泳いできた鮎を掬うように受けとめる。竹の簀を飛び跳ねる鮎は、簗番、簗守といわれる人ががつかまえて生簀に放す。近くの鮎の宿では、捕らえたばかりの生きた鮎を塩焼きにして客に食べさせる。簗を設えることを、「簗打つ」「簗さす」という。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【例句】
目通りの岡の榎や簗さかひ
其角「五元集」

簗打や罪の淵瀬を知らぬ人
浪化「浪化上人発句集」

石川や簗うつ時の薄濁り 
桃隣「句兄弟」

手に足に逆まく水や簗つくる
西山泊雲「ホトトギス雑詠選集」

大簗のとどろく上に立ちにけり
松本たかし「石魂」

カテゴリー: 1基本季語, d生活

鵜飼(うかい、うかひ)三夏

季語と歳時記

【子季語】
鵜川、鵜匠、鵜遣、荒鵜、鵜籠、鵜篝、鵜飼火、鵜舟、鵜松明、鵜縄、疲れ鵜
【関連季語】
秋の鵜飼
【解説】
飼いならした鵜を使う鮎漁である。鵜舟の先に鵜篝を焚き、鵜匠と呼ばれる漁師が鵜を操って鮎を獲る。鵜が呑んだ鮎は鵜縄を引いて吐かせる。岐阜市の長良川、犬山市の木曾川などが有名。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
婦負(めひ)川の早き瀬ごとに篝さし八十伴(やそとも)の男は鵜川立ちけり 大伴家持『万葉集』
大丈夫が鵜河の瀬々に鮎とると引くしら縄のたえずもあるかな 源俊頼『家集』
【実証的見解】
鵜には魚を丸呑みにし雛に与える習性がある。これを利用して、生きたまま鮎を捕らえる。岐阜県長良川の鵜飼がが有名で、鵜を操る鵜匠は風折烏帽子に腰蓑姿で、十二羽もの鵜をさばく。毎年五月中旬から十月半ばまで満月の前後数日を除いて毎夜行われる。鵜飼は月明を嫌うので満月の前後は休漁になる。長良川の鵜飼で使う鵜は野生の海鵜を訓練したもので、体長八十センチほど。二三年かけて使える鵜に育て上げる。長良川の鵜匠は代々世襲制で、宮内庁から「式部職鵜匠」という職名を与えられている。
【例句】
おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな
芭蕉「曠野」

細道に篝こぼるる鵜舟かな
許六「初蝉」

うしろから月こそ出づれ鵜飼舟
蓼太「蓼太句集二編」

夜やいつの長良の鵜舟嘗て見し
蕪村「安永五年句帖」

うしろより月になりゐる鵜舟かな
正岡子規「季語別子規俳句集」子規

巌が根をこがしてはゆく鵜船かな
原石鼎「原石鼎全句集」

鵜飼の火川底見えて淋しけれ
村上鬼城「鬼城句集」

鵜を入れしまま干してある鵜籠かな
長谷川櫂「天球」

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繭(まゆ) 初夏

季語と歳時記

【子季語】
新繭、白繭、黄繭、玉繭、繭干す、繭煮る
【関連季語】
夏蚕、秋繭、天繭(やままゆ)、糸取、蚕の上蔟、蚕飼
【解説】
蚕の作る繭のことで、とくに、春蚕の作った繭を指す。色は白や薄茶、形はくびれた俵形や楕円形、球形などで生糸の原料になる。俳句では夏に分類。夏蚕や秋蚕の繭には、別途、秋繭という季語がある。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
垂乳根の母が養(か)ふ蚕の繭ごもりいぶせくもあるか妹に相はずして 作者不詳『万葉集』
【実証的見解】
蚕は孵化したときは蟻蚕とよばれ蟻のように小さいが、大量の桑を食べて成長し、四週間ほどの間に体重が一万倍ほどになる。十分発育して桑を食べなくなると蚕の体は透きってくる。これが繭を作り始める兆候であり、この蚕を、一つ一つ拾い分けて蚕簿(まぶし)に移し替える。これが蚕の上蔟(あがり)と呼ばれる。蚕は蚕簿のなかで絹糸をはいて繭玉を作り、蚕自身は繭玉の中で蛹になる。上蔟から一週間ほどで蚕簿から繭をもぎとる。これが繭搔である。もぎ取った繭は生繭といわれ、これを日に干してなかの蛹を殺す。これが繭干しである。この繭を煮て絹糸をほぐれやすくしてから糸を取る。
【例句】
道ばたに繭干すかぜのあつさ哉
許六「句兄弟」

繭烹や身をかざるべきことでなし
蘭更「半化坊発句集」

まゆひとつ仏のひざに作るなり
一茶「七番日記」

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