鷹渡る(たかわたる) 三秋
【子季語】
秋の鷹/鷹柱
【解説】
おもに秋に南方へわたる鷹をいう。また、冬鳥として秋に北方から渡来する鷹もさす。
【科学的見解】
鷹類の渡りとしては、北方からの冬鳥としての南下も含まれるが、主に日本で夏鳥として繁殖に来ていた種が、秋になり越冬のために南下する移動のことをさす場合が多い。それは、後者の方が種数及び個体数ともに多いことに由来するのかもしれない。秋の鷹類の渡りとして有名な種としては、サシバやハチクマ、ノスリ、ツミ等が有名である。南方への渡りは長距離であるため、なるべくエネルギー消費を少なくする工夫をしている。その方法としては、羽ばたくことは極力控え、上昇気流が発生するポイントでその気流に乗って旋回しながら高度を上げていき、そこからグライダーのように好きな方向に滑空して移動し、その動作を繰り返すことで長距離移動を行っている。この渡りの方法については、鷹類だけではなく、ツルの仲間やコウノトリ等の大型の鳥類が得意とするやり方である。上昇気流は山地周辺で起きるため、その気流が発生している場所では複数種の鷹類の渡りが観察される。その時、複数の個体が群れで上昇している様が柱のように見えることから鷹柱と呼ばれ、渡りの観察の醍醐味となっている。(藤吉正明記)