海亀(うみがめ) 三夏
【子季語】
赤海亀/青海亀
【解説】
熱帯、亜熱帯に広く分布するカメ科の大きな亀で、四肢が櫂状扁平、体長は一メートルにも達する。日本近海にはウミガメ科のアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメオサガメ科のオサガメがいる。毎年五月ごろ主にアカウミガメが関東以南の砂浜に産卵の為に上陸し、百五十個程の卵を産む。八~十週間で 孵化した子亀は集団で海に向かう。
【科学的見解】
海亀は、ウミガメ科に属する爬虫類で、体を硬い鱗で覆われ、大型の甲羅を持ち、オール状の前肢で海域生活に特化したカメ類の総称である。特にアカウミガメは、暖流性の黒潮を利用して太平洋を回遊しており、その北限ルートの日本列島付近(本州関東以西から沖縄八重山諸島)の砂浜では多数産卵が行われているため、最も馴染みのある種になっている。産卵回数の多い場所としては、鹿児島県の屋久島と種子島から宮崎県の沿岸地域であり、この地域だけで日本全体の産卵の約七割を占めているとのことである。産卵時期は五月から八月までであり、ゴルフボール程の卵を一度に百個程度産卵し、それらは五十日から七十五日で孵化する。興味深いことに、個体の雌雄の性決定については、卵付近の地中の温度が大きな影響を与えることが知られており、卵の細胞分裂発生中期に高い温度にさらされると雌になり、低い温度では雄になることが知られている。その性決定において雄と雌の割合が等しくなる温度(臨界温度)は約二十九度とされており、近年地球温暖化の影響か、アカウミガメの場合は雌が生まれる割合が増えているとのことである。アカウミガメの食性は雑食性であり、藻類や甲殻類、貝類等を採食する。一方、九州屋久島以南のより暖かい海域に分布しているアオウミガメは、幼体の時には甲殻類等を捕食しているものの、成体になると基本植物食となり、海藻類やアマモやウミショウブ等の海草類を食す。その他、日本へ稀に来遊するウミガメ類としては、タイマイ、オサガメ、ヒメウミガメ、クロウミガメ等が記録されている。(藤吉正明記)
