鷺の巣(さぎのす) 三春
【解説】
鷺の営巣は、単独で行うものと、小鷺などシラサギ類や五位鷺などのように一ヵ所に集まって集団で行うものがある。この集団営巣地は「鷺山」として知られている。繁殖期はだいたい三月下旬から四月下旬頃で、巣は高い木の枝上や竹藪などにつくる。材料は主に木の小枝、ほかに竹の枝や葉、藁など。薄い皿形で、粗い作りのためあまり堅固ではない。
【科学的見解】
日本で留鳥もしくは夏鳥として飛来してくるサギ類は、サギ科に属し、十数種が知られている。そのうち身近な環境で見られる種は、コサギ、ダイサギ、アオサギ、ゴイサギ、ミゾゴイ等である。それらの繁殖期は、四月から九月までであり、年一回の繁殖が普通である。一般的に巣は、地上の敵から雛を守るために、針葉樹や広葉樹の樹上や梢付近に作ることが多いが、水辺の浮島等外敵の侵入がないような繁殖地では地上で営巣する場合もある。(藤吉正明記)
【例句】
鷺の巣に見覚えぬ木はなかりけり
鳧石「発句題叢」