河鹿(かじか)三夏
【子季語】
河鹿蛙、河鹿笛
【解説】
清流に美しい声で鳴くかえるの一種。古く「かはづ」と呼ばれたのはこの河鹿のこと。
【来歴】
『俳諧通俗誌』(享保元年、1716年)に所出。
【実証的見解】
蛙の一種で、本州、四国、九州などの渓流、森林などに生息する。全体的に灰色。夏に繁殖期を迎え、雄はさかんに鳴いて雌を呼ぶ。四センチくらいの雄に対して、雌は一回り大きく六センチくらい。山の鹿に対し、その声をめでて河の鹿といった。
【例句】
河鹿きく我衣手の露しめり
杉田久女「杉田久女句集」
河鹿鳴いて石ころ多き小川かな
正岡子規「子規全集」
笠を手にいそぐ夕べや河鹿鳴く
正岡子規「子規全集」
河鹿啼く水打つて風消えにけり
臼田亜浪「旅人」
鳴きやんでまなこ寂しき河鹿かな
日野草城「花氷」