啄木鳥(きつつき)三秋
【子季語】
木突、けらつつき、けら、番匠鳥、赤げら、青げら、小げら、山げら、熊げら三趾げら、蟻吸、木たたき
【解説】
小げら、赤げら、青げらなどキツツキ科の鳥の総称。留鳥。餌を採るときの木を叩く音と、目立つ色彩が、晩秋の雑木林などで印象的。
【科学的見解】
キツツキ科の鳥類は、日本で十二種確認されているが、身近な野山のキツツキ類はコゲラやアオゲラが挙げられる。コゲラは、スズメ大の小さなキツツキであり、全国的に留鳥として分布している。秋から冬になると、山地から低地へ移動するものやシジュウカラやヤマガラ等のカラ類と共に行動するものもいる。アオゲラは、ヒヨドリ大のキツツキであり、本州から屋久島の低地及び低山の林に留鳥として分布している。キツツキ類は、枯れ木又は生きている樹の幹に嘴で穴をあけ、繁殖のための巣穴として利用するとともに、樹の中にいる昆虫類を捕食している。(藤吉正明記)
【例句】
木啄の入りまはりけりやぶの松
丈草「有磯海」
木つつきのつつき登るや蔦の間
浪化「柿表紙」
手斧打つ音も木ぶかし啄木鳥
蕪村「明和八年句稿」
木つつきの死ねとて敲く柱かな
一茶「文化句帖」
啄木鳥の月に驚く木の間かな
樗堂「萍窓集」