竹の皮脱ぐ(たけかわぬぐ/たけかはぬぐ) 三夏
【子季語】
竹の皮脱ぐ/竹の皮散る/竹の皮
【解説】
筍は大きくなるに従い鱗片状の皮を根元から落とし若竹となる。昔はこの皮を用いて草履や笠を編んだり、防腐を防ぐために物を包んだりした。
【科学的見解】
身近なところに生育する竹類は、マダケ、ハチク、モウソウチク等が知られている。それらの新芽である筍の出る時期は、種により異なり、春先に出るのはモウソウチクである。マダケとハチクの筍は、初夏から仲夏にかけて伸びてきたものが食される。その筍が生長する過程で、新芽を保護していた皮は剥がれ落ちていき、そのことが竹類の大きな特徴になっている。笹類は、生長の過程でも皮は茎に残されたままとなる。外来のモウソウチクの皮には、多数の毛が付着しているので、この皮が利用されることはあまりない。一方、古い時代より日本に生育しているマダケは、皮表面は無毛であり、より幅広く大きいため、竹皮細工の材料やおにぎり・羊羹等を包む役割として一部で利用されている。(藤吉正明記)
【例句】
脱ぎ捨ててひとふし見せよ竹の皮
蕪村「常磐の香」
竹の皮朝々人に落ちるなり
近嶺「何袋」