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季語と歳時記

きごさい歳時記

作成者アーカイブ: dvx22327

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野稗(のびえ) 初秋

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【子季語】
犬稗/毛犬稗/水稗/草稗
【解説】
イヌビエの別称として野稗さすこともあるが、概はヒエ属の野生種を総称してノビエという。
【科学的見解】
野稗は、日本の野生種であるヒエ属全体をさす広義の意味とその一種のイヌビエのみをさす狭義の意味が含まれる。栽培穀物であるヒエに対して、日本のイネ科ヒエ属の野生種は五種(変種を含む)存在しており、その代表がイヌビエである。イヌビエは、本州から琉球までの水田周辺に生育し、小穂に長い芒がある個体から無芒まで変異の幅が広いため、識別に苦労する。その他には、小穂の大きいタイヌビエや小穂が小さいワセビエ、またヒメタイヌビエ、ヒメイヌビエが存在する。(藤吉正明記)

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茜草(あかね) 初秋

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【子季語】
あかねかづら
【解説】
アカネ科のつる性他年草。中国、朝鮮、日本各地の山野、林道脇などに自生する。蔓性であるが巻きつくより、四角い茎に生えた棘を利用して他の植物を引っかけたり、からみつたりして成長する。各節に四枚の葉が輪生し八、九月頃白色の小花をつける。根から赤い染料を採る。生薬の茜根(せいこん)は止血剤として用いられる。
【科学的見解】
アカネは、本州から九州の山野に普通に見られる多年草である。茎や葉には逆向きの刺があり、ハート型をした四枚の小葉を輪生につけるところが特徴である。つる性植物の這い上がり戦略はいろいろ方法があるが、本種は植物体全体に存在する刺を利用し、周辺植物に頼りながら伸長し、光を受け取っている。同属近縁種としては、小葉が六から八枚輪生するオオアカネが知られている。(藤吉正明記)

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思草(おもいぐさ/おもひぐさ) 仲秋

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nanbangiseru【子季語】
きせる草/オランダぎせる/南蛮煙管
【解説】
イネ科やカヤツリグサ科のススキ、ミョウガ、サトウキビなどの植物に寄生する一年草。花の姿からその名がつけられた、別名ナンバンギセル。日本を始め中国、アジアに広く分布する。七、八月頃淡紫色の筒型の花を横向きにつける。万葉集にもその名が出てくる。
【科学的見解】
思草の標準和名は、ナンバンギセルであり、北海道から沖縄まで広く分布する寄生植物である。ふつう日本では、ススキに寄生している場合が多く、秋にススキの株元付近で花が見られる。ナンバンギセルは、根に寄生し、宿主の光合成産物を受け取ることで大きくなり、開花の時のみ地上に現れる。(藤吉正明記)

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苦参(くらら) 仲秋

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【子季語】
草槐/狐ささげ
【解説】
マメ科の多年草。「眩草」(くららぐさ)は根をかむとくらくらする程苦いため。漢方では「苦参」(くじん)といい健胃薬とし、茎や葉の煎汁は殺虫剤として用いる。日当たりの良い草原や山野に自生。クサエンジュの別名がある。六、七月頃淡黄色のエンジュ(アカシア)に似た花をつける。
【科学的見解】
クララは、本州から九州に分布するマメ科の多年草である。茎の基部が木質化するため、低木のように見える。花が紫色の一型をムラサキクララと呼び、区別することがある。本種は、国の絶滅危惧種に指定されている蝶・オオルリシジミの幼虫の食草になっている。(藤吉正明記)

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錦草(にしきそう/にしきさう) 初秋

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【子季語】
地錦/乳草/いちぐさ
【解説】
トウダイグサ科の一年草、本州から九州に広く分布。道端、荒地、畑などどこにでも生育する。地面を這って広がり茎は細く赤味を帯びる。コニシキソウとは葉が長楕円形で斑点をもたないことで区別される。六月から九月に、葉の脇に淡い赤紫の杯状花をつける。茎を傷付けると白色の液を出す。秋になると紅葉する。
【科学的見解】
ニシキソウは、本州から九州及び東アジアからヨーロッパの温帯に広く分布するトウダイグサ科の一年草である。似た種としては、葉に斑紋が入るコニシキソウや茎が立ち上がるオオニシキソウなどが存在する。両種ともに外来植物である。(藤吉正明記)

横たわす柄杓の露や錦草
惟然「己が光」

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巴草(ともえそう/ともゑさう) 初秋

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【子季語】
鞆絵草
【解説】
オトギリソウ科の多年草で、日当りの良い山地や草原に生える。高さは五十センチから一メートルを越えるものもある。葉は対生し茎を抱く。五弁の花びらが軽くねじれ「卍」の形に見えることからこの名がある。多数のおしべが目立ち未央柳の花に似ている。花期は七、八月。
【科学的見解】
トモエソウは、オトギリソウ科の多年草で、日本各地の日当たりの良い山野草地に生育している。名の由来は、五枚の花弁が渦巻状(巴状)となっているため、その名が付けられた。近縁種としては、オトギリソウやフジオトギリ、ビヨウヤナギなどが存在し、どの種も黄色の花弁となるが、本種ほど花弁が渦巻いていないため、その点で区別することができる。(藤吉正明記)

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弟切草(おとぎりそう/おとぎりさう) 初秋

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【子季語】
おとぎりす/薬師草/青薬/小連翹
【解説】
平地や山地の道ばた、草原に自生するオトギリソウ科の多年草。七月から八月ころ枝分かれした先に、一・五センチくらいの一日限りの黄色い花をつける。広披針形の葉は対生する。利尿、虫下し、切り傷、止血、神経痛などの薬効がある。物騒な名前の由来は、兄が秘密にしていた鷹の傷薬を弟が他人にもらしたため、怒った兄が弟を切り殺してしまったという平安時代の伝説による。
【科学的見解】
オトギリソウは、北海道から琉球に分布するオトギリソウ科オトギリソウ属の植物である。葉腋から出た茎先に黄色の花を多数つけるのが特徴である。本種には変種が多く存在し、茎が数本束生するフジオトギリ、ガク片に黒い点がほとんどないシナノヤマオトギリ、本州中北部に分布するオクヤマオトギリ、北海道大雪山に分布するエゾヤマオトギリなどが知られている。(藤吉正明記)

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松虫草(まつむしそう/まつむしさう) 初秋

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【子季語】
山蘿蔔/輪鋒菊/高嶺松虫草
【解説】
マツムシソウ科の多年草で、日本各地の高原や低山に生育する。丈は六十センチから七十センチくらいで、初秋うす青紫色の花を柄の先端につける。四センチくらいの花は中心が菊のように筒状花となり、周縁を花びらが取り巻く。一説にはマツムシの鳴く頃咲くのでこの名があるといわれる。西洋松虫草のように園芸化されたものもある。

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菜の花蝶に化す(なのはなちょうにかす/なのはなてふにくわす) 晩春

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【解説】
蝶々の黄を菜の花の精にたとえたもの。菜の花の花びらが風に舞って、それがいつしか蝶となって飛び回る。
【例句】
菜の花の化したる蝶や法隆寺
松瀬青々「妻木」

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草牡丹(くさぼたん) 初秋

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【解説】
葉の形がボタンに似ることからこの名がついた、キンポウゲ科の落葉半低木。茎は木質で高さ1メートル程に直立する。北海道から本州にかけての山地、林道脇などに分布する。八月頃茎の先や葉の脇から柄を出し、鐘形(ベル)のような花をまばらに付ける。
【科学的見解】
クサボタンは、本州全域に分布し、林縁や草原などに生育するセンニンソウ属の植物である。センニンソウ属の多くは、つる性となるが、本種は基部が木化した低木類である。似た近縁種としては、九州や四国の主に石灰岩地はえるツクシクサボタンや茎は上部まで木化し葉が大きくなるオオクサボタンなどが存在する。(藤吉正明記)

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