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季語と歳時記

きごさい歳時記

作成者アーカイブ: dvx22327

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飴山忌(あめやまき)仲春

季語と歳時記

【子季語】
實忌
【解説】
三月十六日。俳人飴山實の忌日。一九二六年石川県小松に生れる。十八歳で俳句を始める。句集に『おりいぶ』『少長集』『辛酉小雪』『次の花』『花浴び』『飴山實全句集』などがある。やわらかな言葉づかいと平明な作風が特徴、一九九三年より二〇〇〇年まで朝日俳壇選者。化学者でもあり、山口大学、関西大学などで教授を務めた。二〇〇〇年没、享年七十三歳。

日向ぼこ(ひなたぼこ)三冬

季語と歳時記

【子季語】
日向ぼこり、日向ぼっこ、日向ぼこう、負喧
【解説】
冬の日射しを浴びてじっと暖まること。風のない陽だまりで浴びる日射しは、ことのほか暖かい。お茶を飲んだり世間話をしたり、楽しいひと時である。
【例句】
雪落つる光飛び来ぬ日向ぼこ
鈴木花蓑「鈴木花蓑句集」

病間や破船に凭れ日向ぼこ
杉田久女「杉田久女句集」

うとうとと生死の外や日向ぼこ
村上鬼城「定本鬼城句集」

日向ぼこ父の血母の血ここに睦め
中村草田男「時機」

けふの日の燃え極まりし日向ぼこ
松本たかし「火明」

見るかぎり煙草むらさき日向ぼこ
石橋秀野「桜濃く」

新松子(しんちぢり)晩秋

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【子季語】
青松笠
【解説】
今年できた松毬をいう。鱗片がすきまなくきっちりとつまり、匂いたつようである。瑞々しく、清しい。
【例句】
かしこまる膝の松子ぞこぼれける
才麿「椎の葉」

松笠の青さよ蝶の光り去る
北原白秋「竹林清興」

枯葉(かれは)三冬

季語と歳時記

【解説】
冬になって枯れてしまった葉のこと。まだ枝に付いているもの落ちたものなどさまざま。枝に付いているものは風に乾いた音をたてる。青葉の時よりそれぞれの葉の形や厚みなどの特徴が際だつようだ。
【科学的見解】
落葉樹は、寒い冬から身を守る手段の一つとして、秋から冬にかけて葉を落葉する。地面に落ちた葉は、水分が蒸発し枯葉となる。落葉時には、葉柄内に離層を形成し、葉を落とす仕組みになっているが、一部の種はその離層形成がうまくいかないのか、枯れた葉が落葉せず、そのまま枯葉がついた状態で冬を越す。そのような仲間には、カシワ、ダンコウバイ、クヌギ等が知られているが、これらの種は、春の新芽が芽吹く直前に場所を譲るかのごとく、一斉に落ちてしまう。落ちた枯葉は、植物にとってはいらないものであるが、土壌動物や微生物にとっては栄養源になり、自然界の栄養循環の大切な材料になっている。(藤吉正明記)
【例句】
夕照にひらつく磯の枯れ葉かな
去来「初蝉」

しがみ付く岸の根笹の枯葉かな
惟然「藤の実」

鉢の木の枯葉うごいて暮れやすき
野田別天楼「改造文学全集」 

包まれて乾酪眠れる枯葉かな
長谷川櫂「初雁」

無月(むげつ)仲秋

季語と歳時記

【子季語】
中秋無月、曇る名月、月の雲
【解説】
陰暦八月十五日の名月の夜、空が曇って月が隠れている様子。待ちわびた月が隠れて見えないのは残念だが、かえって風情があるともいえよう。雲の厚さや動きによって雲間より月の光が漏れるのもよい。
【例句】
五六疋牛ひきつるる無月かな
村上鬼城「定本鬼城句集」

曼珠沙華無月の客に踏まれけり
前田普羅「普羅句集」

山濤や無月の空の底明り
志田素琴「山萩」 

隼(はやぶさ)三冬

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【子季語】
稚児隼、長元坊
【解説】
ハヤブサ科の猛禽類。鷹よりも小型。冬に海岸、河口、湖沼畔、原野などの開けた場所に住み、飛んでくる鳥を上から急降下して捕らえる。鷹匠の狩に使われることもある。
【科学的見解】
ハヤブサは、ハヤブサ科の野鳥で、全国的に繁殖を行っているが、冬の寒さが厳しい地域の個体は、越冬のためより南方へ移動する。夏の繁殖期には、海岸付近の断崖絶壁等で営巣を行い、冬の非繁殖期になると海岸も含め河口や草原等開けた見通しの良い環境で生活するようになる。捕食行動としては、飛んでいる鳥を上から急降下して足で蹴って捕らえる習性があり、直線的に飛ぶハト類等が狙われやすい。稀に地上でネズミ類やウナギ等も捕らえるとのことである。近縁種としては、チゴハヤブサが知られており、本種よりやや小型である。本種は、胸の斑紋が横斑に対して、チゴハヤブサは縦斑であるところが異なる点である。(藤吉正明記)

寒の水(かんのみず、かんのみづ)晩冬

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【子季語】
寒水、寒九の水
【解説】
寒中の水はその冷たさ極まった様子から、神秘的な力があると信じられている。飲むと身体に良いとされ、ことに寒中九日目の水(寒九の水)は効能があるといわれている。その水で餅を搗いたり、酒を造ったり、布を晒したりする。
【例句】
寒の水をあぶる湯殿の行者かな
季吟「山の井」

見てさへや惣身にひびく寒の水
一茶「文化句帖」

汲かへていとゞ白さや寒の水
浮流「類題発句集」

焼け跡に透きとほりけり寒の水
石田波郷「雨覆」

寒月(かんげつ)晩冬

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【解説】
厳寒の空にさえざえとある月。満月に近い寒月の夜は、冷たい月光が降り注ぎ建物の影や自分の影が地面に黒々と落ちる。いよいよ寒さが身に滲みて、帰宅の足も自ずと早まる。
【例句】
寒月や開山堂の木の間より
蕪村「新五子稿」

寒月や門を敲ば沓の音
蕪村「夏より」

寒月や僧に行き合ふ橋の上
蕪村「新選」

寒月や我ひとり行橋の音
太祗「太祗句選」

寒月の門へ火の飛ぶ鍛冶屋かな
太祗「太祗句選」

寒月に照りそふ関のとざしかな
几董「井華集」

寒月や喰ひつきさうな鬼瓦 
一茶「七番日記」

寒月のおおいなるかな藁廂
星野立子「笹目」

同じ湯にしづみて寒の月明り
飯田龍太「忘音」

避寒(ひかん)晩冬

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【子季語】
避寒宿、避寒旅行、避寒地
【解説】
冬の寒さを避けるために温暖な地や温泉などへ出向いて一時期を過ごすこと。夏場の避暑のようには混雑しない。老人や病人向けといえるであろう。
【例句】
大浪の打つ暖かき避寒せり
河東碧梧桐「碧梧桐句集」

舟寄せて漁翁の見舞ふ避寒かな
河東碧梧桐「碧梧桐句集」

縋り乗る避寒の宿の馬かりて
河東碧梧桐「碧梧桐句集」

橙に天照る日ある避寒かな
松本たかし「松本たかし句集」

佳きひとの髪を結はざる避寒かな
日野草城「昨日の花」

炭焼(すみやき)三冬

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【子季語】
炭焼小屋、炭馬、炭車、炭焼夫、炭負い、焼子、炭負女、炭橇
【解説】
木を伐採し炭窯で焼いて炭を作る仕事、またそれを行う人。かって、炭は暖をとるために欠かせないものであったから、農家が農閑期を利用して行うことが多かった。
【例句】
炭焼や心易さの足袋雪駄
来山「熊野烏」

炭焼のひとりぞあらん釜の際
其角「雑談集」

炭焼きに汁たうべてし峰の寺
蕪村「落日庵句集」

炭を焼く長き煙の元にあり
中村草田男「長子」

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