【解説】
糞を食用とするコガネムシ科の昆虫は糞虫と呼ばれる。その中の一部は糞を転がして運び、幼虫を育てるために糞を蓄える。これが糞ころがしである。体長は3mmくらいなのであまり目につかない。
【例句】
バビロンに生きて糞ころがしは押す
加藤楸邨「鶴と煙突」
季節文化を発信
NPO法人「きごさい」(季語と歳時記の会)は、ネット歳時記「きごさい」を中心に季節文化を発信する仕事をしています。その活動はボランティアのみなさんの力で運営されています。賛同される方はご参加ください。
【解説】
糞を食用とするコガネムシ科の昆虫は糞虫と呼ばれる。その中の一部は糞を転がして運び、幼虫を育てるために糞を蓄える。これが糞ころがしである。体長は3mmくらいなのであまり目につかない。
【例句】
バビロンに生きて糞ころがしは押す
加藤楸邨「鶴と煙突」
【子季語】
去ぬ燕、巣を去る燕、帰る燕、帰燕、秋燕、残る燕
【解説】
春に渡って来た燕は秋に南方へ帰ってゆく。夏の間に雛をかえし、九月頃群れをなして帰ってゆくと、淋しさが残る。
【例句】
馬かりて燕追ひ行くわかれかな
北枝「卯辰集」
落日のなかを燕の帰るかな
蕪村「夜半叟句集」
乙鳥は妻子揃うて帰るなり
一茶「九番日記」
頂上や淋しき天と秋燕
鈴木花蓑「鈴木花蓑句集」
身をほそめとぶ帰燕あり月の空
川端茅舎「川端茅舎句集」
燕はやかへりて山河音もなし
加藤楸邨「火の記憶」
【子季語】
おけら鳴く
【解説】
螻蛄は体長三十ミリぐらいの茶褐色の昆虫。田畑の土中に穴を掘って棲み、雄がジーと低い音で鳴く。秋の夜の淋しさがつのる。昔の人がその声を蚯蚓と誤り、「蚯蚓鳴く」の季語が生まれた。実は螻蛄が鳴いていたのだ。
【例句】
夜のおけら耳朶を聾するばかりなり
原石鼎「花影」
【子季語】
虫老ゆ、虫嗄る、虫絶ゆ
【解説】
秋美しい声で鳴いていたこおろぎなども寒くなると、短く弱々しく縁の下などで鳴いている。絶えゆく前の声はあわれを誘う。
【子季語】
馬蛭、山蛭、血吸蛭、扁蛭
【解説】
湿地帯に棲息する環形動物で、ヒル綱に属する。体の前後の腹部に吸盤を持ち、人や動物に張りついて血を吸う。
【例句】
人の世や山は山迚蛭が降る
一茶「七番日記」
山深し若葉の空に蛭の降る
几董「晋明集五稿」
蛭ひとつ水縫ふやうに動きけり
花史「西歌仙」
炎帝の下さわやかに蛭泳ぐ
原石鼎「花影」