【子季語】
蜘蛛の巣、蜘蛛の網、蜘蛛の糸
【解説】
蜘蛛は糸を分泌して粘着力のある網を張り、網にかかった昆虫な どを捕食する。巣の形、大きさ、作り方、など種類によって異な るが、きわめて巧緻である。森の中や水の上、縁の下、室内など どこにでも囲を張る。露のついた巣、光に輝く巣などは美しい。
【例句】
眼前に蜘の巣かかり夕山河
川端茅舎「春水光輪」
塵取の手にも夕べの蜘蛛の糸
鈴木花蓑「同人句集」
【子季語】
【解説】
氷上のスケート競技の一種。六人一組の二チームが、木製のステ ィックを使ってバック(ゴム製の黒い円盤)を敵ゴールに入れ、 得点を競う。
【子季語】
年越す、大年越、年移る
【解説】
大晦日の夜、眠らずに新しい年を迎えること。除夜の鐘を聞きな がら年越そばを食べるというのもこの夜の慣わしの一つ。古くは 節分の夜のことをいった。
【例句】
あたなしに打越す年や雪礫
宗因「宗因発句集」
年越の夢路にさへや老の坂
風虎「一字幽蘭集」
年こしや余り惜しさに出てありく
北枝「草庵集」
【子季語】
鯨突き、鯨見、一番銛、二番銛、勇名取、捕鯨船、鯨番
【解説】
日本の捕鯨のはじまりは江戸時代の初めで、紀州太地浦で行なわ れた。肉は食用、脂肪からは油をとる。鯨の古名は勇名といい、 銛突や網による勇壮な勇魚取であった。最近は資源保護のため捕 獲が制限されている。鯨は、冬になると日本の近海に回遊してく る。
【例句】
一番は逃げて跡なし鯨突き
太祇「太祇句集」
突留た鯨や眠る峰の月
蕪村「落日庵句集」
山おろし一二のもりの幟かな
蕪村「落日庵句集」
【子季語】
菊の枕、幽人枕
【解説】
干した菊の花を入れて作った枕。摘んだ花を陰干しにしてよく乾 かし枕の中味にする。ほのかに菊の香る枕は、安眠の効用もある。 虚子の長寿を願い、菊枕を贈った杉田久女 のことはつとに知ら れている。
【例句】
比の千代を今日の馳走よ菊枕
季吟「庵桜」
白妙の菊の枕を縫ひ上げし
杉田久女「杉田久女句集」
ちなみぬふ陶淵明の菊枕
杉田久女「杉田久女句集」
菊慈童の思ひに菊の枕かな
青木月斗「時雨」
【子季語】
残る蠅、後れ蠅
【解説】
夏は特にうるさいと思われる蠅も、秋冷の頃ともなれば、流石に 元気を失い弱々しい。その存在感もうすれ、じっと止まっている のを見ると、何やらもの悲しくなる。
【例句】
草庵の弱りはじめや秋の蠅
丈草「幻の庵」
寝ころべば昼もうるさし秋の蠅
桃隣「古太白堂句選」
飯もれば這って来るなり秋の蠅
蓼太「蓼太句集初編」
屏風はる糊のかはきや秋の蠅
雨柳「野梅」
薬つぎし猪口なめて居ぬ秋の蠅
杉田久女「杉田久女句集」
【子季語】
ぼうふり、棒振虫
【解説】
蚊の幼虫で溝、池、水槽などの淀んだ水にすむ。尾に呼吸管をも ち、棒を振るような格好で浮いたり沈んだりするので、ぼうふり とも言う。一週間位で羽化し成虫となる。
【例句】
身やかくてぼうふり虫の尻かしら
路通「草庵集」
ぼうふりやなまなか澄める腐れ水
太祇「太祇句選後篇」
ぼうふりの水や長沙の裏借家
蕪村「新花摘」
棒振や少し日のさすたまり水
嘯山「葎亭句集」
孑孑や日にいく度のうきしづみ
一茶「七番日記」
孑孑や松葉の沈む手水鉢
正岡子規「季語別子規俳句集」
孑孑のかがやく尻を水のうへ
高田正子「花実」
【子季語】
瓜冷す
【解説】
もともとは真桑瓜を冷したもののこと。今では冷蔵庫などで冷す が、井戸水や清水で冷す瓜やメロンにこそ格別の味わいがある。
【例句】
人来たら蛙となれよ冷し瓜
一茶「一茶俳句集」
冷し瓜二日立てども誰も来ぬ
一茶「文化句帖」
瓜冷す井を借りに来る小家かな
几董「井華集」
故郷や瓜も冷して手紙書く
長谷川零余子「雑草」